「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」ボビン監督の頭の中に意外な“ワンダ”

幻想的な世界を創り上げた監督の頭の中を知ると、作品がもっと楽しくなる。

» 2016年07月01日 15時30分 公開
[田下愛ねとらぼ]

 7月1日から公開の映画「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」。ルイス・キャロルの名作をティム・バートンが映画化し、大ヒットした「アリス・イン・ワンダーランド」待望の続編。そのメガホンをとったジェームズ・ボビン監督にお話を伺いました。

ジェームズ・ボビン監督 まず紅茶の飲み方からしてかっこいい英国紳士・ジェームズ・ボビン監督

―― 原作「不思議の国のアリス」はイギリス生まれの物語ですが、イギリス出身のあなたがメガホンをとったことで、ティム・バートンが前作で確立した「アリス」の世界にどんな要素が持ち込まれたのでしょう。

ボビン 「アリス」はイギリス人であれば、最も早く読み聞かせられる物語。私自身イギリスで生まれ育ち、原作の挿絵を描いたジョン・テニエルの絵がとても大好きで、今作では自分が好きだったその世界観を持ち込めると思いましたね。

テニエル、そして、ヴィクトリア朝の雰囲気を出した

 今作では、村やその住人など、いわゆる普通の人たちが前作よりもたくさん登場することもあり、それらに、テニエル、そして、ヴィクトリア朝の雰囲気を出したいと考えました。バートン監督が作った世界やキャラクターに敬意を払い、守りつつ、それらの要素を取り入れていきました。

ジェームズ・ボビン監督

―― 今作ではマッドハッター(帽子屋)の過去が重要なキーで、ハッターがよりエモーショナルに深く掘り下げられていますよね。ハッターを演じるジョニー・デップにはどんなことを求めましたか。

ボビン 前作のジョニーの演技を見て、見事にマッドハッターを演じていると感じました。単なる狂気でなく、どこかが壊れている、複数の人格がそこにいるような演じ方で、もろさや脆弱(ぜいじゃく)性を感じることができました。

 今作でも、もろさを感じさせるジョニーの演じ方がとても有効ではないかと思いました。なぜなら、マッドハッターはまさに心が壊れて危機的な状況にあり、それが物語のエンジンにもなっているからです。

 今回、ジョニーと「もともとマッドである人物が病むとどういう状況になるのか、それは正常になるのか?」といった話をしました。作品の最初に登場したとき、ハッターはいつもと違う状況になっていて、死にかかわる危機に面しているのですが、そんなハッターの感情的な面も含めてジョニーは信じられないほど見事に演じてくれました。

マッドハッター ジョニー・デップ演じるマッドハッター

―― 「タイムトラベル」も重要なモチーフとなっていて、時間をつかさどる人物「タイム」も登場しますよね。彼はどうキャラクター化させていったんですか?

ボビン タイムは、演じたサシャ・バロン・コーエンと話して、力強い人物だが完璧ではない欠陥がある、自信過剰で自分を大きく見せたがるキャラクターにしようと決めていきました。いわば自信満々の愚か者(笑)。最初に登場するシーンを見れば、自分をとても偉大に見せようとしているけれど、別にすごい人ではないというのをすぐに感じ取ってもらえると思います。

 キャラクターと環境はお互いを定義することがあります。タイムはとても虚勢を張りながら、内面は少年のようなところがあり、大きな城に住む彼が安らぐ部屋は温かみのあるやさしい空間となっています。

 タイムというキャラクターを作り上げるとき、彼の「孤独」な要素も大切だと思いました。一緒に過ごす相手もいない、とにかく孤独な彼は、だからこそほかの登場人物に利用されてしまうんです。

―― 監督は日本のビデオゲームもお好きだと聞きました。自身の感性や生み出す作品に、そうしたものから影響を受けている部分はありますか?

ボビン 興味深い質問だね(笑)。私がとても好きなゲームは、上田文人さんが手掛けた「ICO」と「ワンダと巨像」。これらはゲームでありながらも、どこか悲しい孤独で寂しくなる作品です。

―― ワンダと巨像! ワンダつながり! 作品を新たな視点で楽しめそうな気すらしてきました。ありがとうございます!

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅 白の女王(アン・ハサウェイ) 、マッドハッター、アリス(ミア・ワシコウスカ)

(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/27/news009.jpg しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  2. /nl/articles/2404/27/news020.jpg パパに笑顔を見せる4カ月の赤ちゃん、ママの顔を見ると…… あるあるな反応に「なんで?!」「ママをすごく信頼してる証拠」とさまざまな声集まる
  3. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  4. /nl/articles/2404/27/news003.jpg 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  5. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. /nl/articles/2404/27/news008.jpg 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  7. /nl/articles/2404/27/news010.jpg 巨大ウサギのデカさを伝えるため、2Lペットボトルを横に置いてみたら…… 衝撃の比較結果に「えっ、500mlじゃないんですか」「マジで大きい」
  8. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  9. /nl/articles/2404/26/news187.jpg 実写「シティーハンター」、最後まで見るとあるはずの仕様がない配慮「わかってる」「粋なはからい」「いい判断」
  10. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」