選挙投票は特殊紙「ユポ」の書き心地を味わうチャンス? その特性やコストをメーカーと選挙管理委に聞いてみた
なめらかな書き心地を楽しむために投票へ。そんな動機があったっていいんじゃない?
7月10日は参議院議員通常選挙の投票日。「投票用紙の独特な書き心地を味わうためにも選挙は行くべき」――Twitterではそんな意見が注目を集めています。言われてみると、確かにあの滑らかな書き心地は気持ちいい。納得させられたので、投票用紙についてくわしく調査してみました。
投票用紙に用いられている特殊紙「ユポ」は、ユポ・コーポレーションの登録商標。通常の紙と違って原料に木材を使わず、ポリプロピレン樹脂を使った合成紙です。水や薬品に強く、破れにくくて表面も滑らかなのが特徴です。また、燃やしても有毒ガスは発生せず、リサイクルも可能と、環境に優しい製品でもあります。
ユポには数多くの種類があり、投票用紙に用いられているのは「BPコート」というもの。書き心地がいいうえ、折り畳んでも戻る特性があり、投票箱に入れると内部ですぐに開きます。1986年ごろから一部の地方自治体で採用されています。
基本的に小売販売を行っておらず、その意味でもユポは貴重といえます。Amazon.co.jpなど一部のサイトで流通していますが、A4サイズ10枚入りで約1100円前後とけっこうなお値段です。では、実際の投票用紙のコストはどれくらいなのでしょう?
投票用紙は各都道府県の選挙管理委員会が個別に製作しています。千葉県の選挙管理委員会に問い合わせたところ、予算には点字投票用紙や輸送費も含まれているため、正確な数字は出せないものの、1枚あたり2.26円とのこと。A4サイズの小売価格を見たあとでは安く感じますが、千葉県の有権者数は約510万人。単純計算で用紙のコストだけでも1000万円を軽く超えます。今更ながら、選挙の運営ってお金かかるんですね……。
「一票の価値」が取り沙汰される昨今ですが、投票用紙1つとっても莫大な予算が使われていることを考えると、コストの観点でも投票の重みは大きいといえます。ユポの書き心地を試すなど、きっかけは何であれ、投票には行くべきですね(もちろん投票先の選択は慎重に)。
(沓澤真二)
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