「4人に1人が本気で自殺したい」「5人に1人が身近な人を自殺でなくす」――日本財団が自殺に関する調査結果を発表

「自己有用感」「社会問題解決能力」「共感力」が自殺のリスクを抑える要因との分析も。

» 2016年09月08日 15時39分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 公益財団法人日本財団が、9月10日の「WHO世界自殺予防デー」に合わせて、自殺意識に関する大規模調査の結果を発表した。8月2〜9日、全国の成人男女約4万人を対象に実施したもの。4人に1人が「本気で自殺したいと思ったことがある」、5人に1人が「身近な人を自殺でなくしている」といったデータが、10のファクトとしてまとめられている。


公式発表 日本財団の発表

資料 主要な調査の概要

 全体の25.4%に「本気で自殺したいとの思考」(以下「自殺念慮」)があり、若年層ほどその傾向が高いことが判明。男女別では、男性(22.6%)よりも女性(28.4%)の割合が高くなっている。就学・勤務先や経済、健康の問題など、幅広い原因があり、自殺念慮者の65.5%が、2つ以上を挙げた。特に男性は勤務問題、女性は家庭問題を主要因とする傾向がある。


自殺念慮 20〜30代の自殺念慮者が、それぞれ30%超

原因 男性は経済面、女性は家庭面が原因となる傾向

 視点を自殺未遂経験者に移すと、過去1年以内で全国推計53万人超。その原因は自殺念慮者と同様に複合的で、81.4%が2つ以上を挙げている。自殺念慮者の場合、各原因の割合は均一的であったが、自殺未遂経験者の場合は家庭問題と健康問題が突出する結果となった。


自殺未遂 過去1年の自殺未遂経験者推計

原因 自殺未遂経験者においても、男性が経済面を挙げる傾向が見られる

 全体の21.7%が、身近な人(家族、友人、恋人)の自殺による死別を経験。その経験者は自殺を意識しやすいことも分かった。恋人を自殺でなくした人のなかで、自殺念慮者は59.4%、自殺未遂経験者は38.6%。同居中の家族をなくした人では、それぞれ40.2%、16.1%。喪失感による自殺の可能性が浮き彫りにされている。


身内の自殺 身内の自殺死がもとで自殺を意識した者のデータ。恋人が原因となるケースが突出して多い

 世代別では、20〜39歳の若者層が最も自殺のリスクが高いと分析。自殺未遂経験のある若者層の多くが、男女ともに被虐待や貧困、ひきこもりなどに直面していた。男性では離婚や事業不振、女性では家庭内暴力や育児不安といった要因が見られる。


ライフイベント 若者層の自殺未遂経験者が直面していたライフイベント。被虐待や介護疲れなど、近年社会問題となっている要素も多い

 自殺のリスクを抑える要因は、「自己有用感」(言い換えると「自信」)と「社会的問題解決力」(問題を解決できる能力があるというポジティブ志向)、「共感力」(「人間は理解や共感ができる」と考えている)との分析も。これらを備えた者は、過去の被虐待や現在の生活苦があっても、自殺のリスクが低いとのデータが示されている。


抑制要因 「家族に居場所がある」と実感している人ほど、苦境にあっても自殺のリスクは低いとのデータ

 全体の過半数が「自殺のことで相談しない」、居住者の満足度が高い地域ほど自殺リスクが低いといったデータも。日本財団は今回の調査結果をふまえて、自殺のリスクが高い若年層や自殺未遂者への支援強化や、「生き心地の良い地域作り」など、自殺対策の方向性へ提言。「日本財団いのち支える自殺対策」プロジェクトを強化すると表明している。


低リスク地域 自殺への意識は、居住環境によっても左右される

提言 調査結果に基づく、自殺対策への提言


(沓澤真二)


※初掲載時、「5人に1人が身内を自殺でなくす」としていましたが「身近な人」の誤りでした。お詫びして訂正します。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた