スピンオフ最新刊ではまさかの“ほぼ主役” 「ガルパン」逸見エリカのまっすぐすぎる青春あのキャラに花束を

しょんぼりシーン多い子だけど、頑張りやさんなんです。

» 2016年10月05日 18時00分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

謎の超人気、逸見エリカ

 「ガールズ&パンツァー(以下・ガルパン)」の中で、とりわけ愛され方の異常なキャラクターが逸見エリカ

 所属は黒森峰女学園。熊本にあり、ドイツ戦車を用いる、主人公・西住みほが元いた学校。姉の西住まほのいる名門校です。今はまほの元で副隊長をやっています。


「ガルパン」逸見エリカ 「リボンの武者」版・逸見エリカ。「だわ」とか「わよ」を強調する言葉遣いが特徴的。めっちゃかわいい(4巻100ページ)

 劇場版以降彼女の人気は、ネット上でうなぎのぼり。「不憫(ふびん)キャラ」やら「催眠ハンバーグ」やら「ドクターフィッシュに好かれる」やら「ゴスロリ」やら「ネットサーフィン」やら「ワニ」やら、どこまで公式でどこから二次創作なのか分からない、極めて混沌とした属性のキャラとして話題になり続けています。

 TVアニメと劇場版では出番そんなにないです。しかし公式スピンオフコミック「ガールズ&パンツァー フェイズエリカ」で、隊長でもない彼女が大抜擢(てき)され、ファンは騒然となりました。



逸見エリカってどんな子?

 アニメでのエリカは、ガルパンとしては珍しいヒールとして登場します。西住みほが黒森峰から転校し、戦車道をやめたいと言っていたのに対して、煽りに煽ったのがエリカ。試合でも煽る煽る。

 しかし劇場版では、すっかりしょんぼりキャラに。みほに文句を言うというキャラ付けは変わらないのですが、彼女が発言するとまほが全部否定。あからさまに悲しい顔をするのを何度も繰り返したため、不憫さがひときわ目立つキャラになりました。

 そもそも、彼女まほのこと大好きなんですよ。まほのために全力を尽くしているんですよ。でもでも、まほは妹のみほのことしか見ていない。みほとは確執が抜けず。

 かくして、不憫キャラとしてエリカは愛されまくるように。後にドラマCD3巻のパッケージでは、かみつき続けていたみほと手を振り合う仲になりました。よかった……!


「ガルパン」逸見エリカ 右上に注目。よかったねエリカ


逸見エリカは思春期

 ガルパン派生作品「リボンの武者」の4・5巻は、逸見エリカのことをかなり深く掘り下げています。特に5巻ではほぼ主役。


「ガルパン」逸見エリカ 「かっこいいエリカ」が見られます(5巻41ページ)

 西住まほは、西住流という戦車道の家元の娘。才能あふれる子です。彼女の元で副隊長を務めるエリカ、すごいですよ。確かに元副隊長はみほだったけど、入れ替わりとはいえ抜擢されているわけですから、みんなに実力を認められている。

 「リボンの武者」はタンカスロンという、乱入OKなほどのルール無用の軽戦車対決を描いた作品。礼節を守る戦車道とは全く別物です。よりえげつなく、蹂躙(じゅうりん)した方が勝ち。もちろん戦車道連盟非公認。黒森峰も参戦することになり、そのリーダーがエリカです。


「ガルパン」逸見エリカ そもそも真面目。黒森峰のためならなんでもする(4巻91ページ)

 まほはマイペースなので、戦闘と妹のこと以外はわりとマイペース。一方でエリカは、常に「黒森峰は」と言い続けます。

 TV版では執拗にみほのことを責め立てる彼女。それは黒森峰が今まで優勝し続け、みほのことがあって昨年は負けたことへのこだわりでした。

 みほが嫌いなわけじゃない。勝ちたかったんですよ。ものすごく。コミカライズ版「ガールズ&パンツァー」で、全国大会のあとに心の内を吐露します。

 「ここまで引っ張ってきていただいた西住隊長と……一緒に優勝したかったんです!」

 ボロボロと涙を流す彼女のこと、誰も責められないと思うんだ。まほも彼女を高く評価し「それでこそ次の黒森峰の主将だな……」と言っています。

 彼女の人気の一つは、思春期少女の青春がはっきり見えるところ。戦車道はスポーツです。嫉妬もするでしょう。涙も流すでしょう。憤りもするでしょう。彼女はその感情の振れ幅がとりわけ大きい。


「ガルパン」逸見エリカ 彼女の青春は、西住流戦車道。自分の全てを、戦いにかけてます(5巻8ページ)

 西住姉妹といい、ダージリン、カチューシャ、島田愛里寿等々……まわりが天才すぎるんだもん。魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する世界ですよ戦車道。

 逸見エリカは努力に努力を重ね、歯を食いしばって、敗北も経験して、それでも天才まほの背中を追いかけ続けてきた。まほが卒業しみほが転校したとなったら、自分がそこにたたねばいけない。

 「努力」「次期隊長としての荷」の描写を一身に背負い、心理描写されているのがエリカ。高校生の部活動での苦しみ、喜び、悔しさ、成長を体現しているキャラクターです。



全力を出す逸見エリカ

 タンカスロンでの隊長になったエリカ。「リボンの武者」は劇場版の大学選抜チームとの戦いをへた後の話なので、だいぶ彼女成長しています。みほとの確執もきちんと乗り越え、今は「どう強くあるべきか」を明確なビジョンで持っています。

 こうなった彼女は、強いよ。


「ガルパン」逸見エリカ 牙をむいた逸見エリカは、怖いぞ(5巻33ページ)

 もっともビッグマウスなのは変わっていませんが、それも努力の末だと考えると、納得もできます。実際彼女の指揮は、あざやかです。

 今までの黒森峰は、砲力と防御力の高い、重厚な戦術に特化していました。しかし今回はII号F型軽戦車による、機動戦術。全員の戦い方をがらっと変えるのはあまりにも難しい。

 黒森峰初の試みを、彼女はこなします。「撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れない。鉄の掟、鋼の心。それが我ら西住流!」西住流の力を絶対的に信じ、戦術を身につけ、鋼の心を身につけたエリカ。しょんぼりしていた彼女は過去です。かつてはまほが完璧だったからあまりやることが無かったかもしれないけど、今は彼女が決めて、仲間を信じ、動く時だ。



みなを信じ、戦車道を守る逸見エリカ

 彼女はストリートファイトさながらなんでもありのタンカスロンでも、きっちり「戦車道」で戦うのが本当にステキ。

 主人公であるムカデさんチームは、ガソリンをまいて辺り一面の枯れ草を燃やし、挙げ句の果てに近隣の民家に火を放つという、鬼のような行動に出ます。ギャラリーが火に囲まれて逃げ出したため、エリカたちは戦車で動きが取れなくなる。そこで彼女は、自分たちの戦車にギャラリーを乗せる選択をしました。


「ガルパン」逸見エリカ とっさの判断でギャラリーを戦車に乗せる。この姿こそが新生黒森峰。みほが仲間を助けた以前の試合と、ちょっとした対比になってます(5巻74ページ)

 別に「ギャラリーを救わなきゃ!」という思いはありません。試合ではベストだと思っただけ。しかしこれが、彼女を一歩成長させる大切な体験になります。ギャラリーが、彼女に感謝を述べたのです。


「ガルパン」逸見エリカ 感謝されることにあまり慣れていません。誠実な彼女は、これからどんどん愛されると思う(5巻117ページ)

 彼女の身体に、「道」としての戦車道が身についている。だからギャラリーを乗せた。もっと横暴だって取れたはず。その内側から出る人柄に、ギャラリーはひかれた。必然です。みほがTV版で、仲間を救うために試合中戦車から降りたのと対になっているようにも見えます。

 どうしてもまほ・みほのことばかり追って、黒森峰にこだわっていた彼女は、自分の良いところに気付きそこねていました。彼女のプライドは「黒森峰のプライド」で、自分のプライドではない。でもそこが彼女のいいところ。黒森峰の仲間への信頼感が半端じゃないのです。

 加えて、ちゃかされてばかりいますが、相手チームもちゃんと彼女の実力は認めてます。


「ガルパン」逸見エリカ 目標がしっかりしていて、上昇志向の子。きっと強い隊長になるはず(5巻150ページ)

 試合のあとのエリカは、ほんと青春しています。頑張ったよ! あの姿を見たら、応援したくもなるよ!

 「リボンの武者」のキャラ設定とアニメ版の設定は必ずしもイコールではないです。しかし4巻5巻でものっすごく掘り下げられているエリカ描写はぜひ見て欲しい。

 多くの人に愛される要素いっぱいある子。願わくば彼女と黒森峰に、一度くらいは作中での勝利を。猛る彼女が、満面の笑みになるのが見たいんだ。


(C)Takeshi Nogami , Takaaki Suzuki
(C)GIRLS und PANZER Projekt


たまごまご


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料使用メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」