「留年や中退は決して人生の破滅ではない」 京大の手引「留年について」が挫折した学生を優しく導く名文
留年や中退などは多くの人が経験するごく普通の出来事としたうえで、向き合い方を優しく記しています。
京都大学のカウンセリングルームによる手引き「留年について」が、心優しい名文と注目を集めています。公式サイトに掲載されているもので、留年を悲観的にとらえずに向き合うべきと、学生を優しい文章で導いています。
文部科学省の調査によると、4年制学部を4年で卒業するのは、入学者の約8割弱とのこと。京大でも事情はほぼ等しく、学部全体では約2割の学生が留年するそうです。同学は、これだけの人数に及ぶ留年や退学は、単に個人の失敗としてのみとらえるべきではないとし、「現在の日本の社会において、大学というシステムは一定数の留年や退学を生み出すようにできている」ことを指摘。そこには入試や企業の採用のあり方など、さまざまな要因が多重に関与していることを理解したうえで、留年に取り組むべきと提案しています。
留年に至るケースには、学業面の困難や修学意欲の喪失など、不本意な要因によるものもあります。この場合、留年が留年を呼ぶ悪循環があるとして、同学は「留年を繰り返させる行動や考え方のパターン」をまとめ、そこから抜け出すための方策を示唆。「うしろめたさから留年を家族や友人に隠した結果、周囲から孤立」「一気に挽回しようと多数の科目を履修し、かえって疲弊して失敗」など、6つのパターンを提示しています。
特に4つ目の「卒業しなければ生きていけないと考える」では、社会全体の問題をも提起。「卒業しなければ破滅だ」と、極端に悲観的な考えに陥る学生に「あせりをもたらし、かえって修学意欲を窒息させてしまう」と警鐘を鳴らしています。そして、留年や中退、退職などは人生において多くの人が経験するごく普通の出来事であり、「これらに不寛容な社会はチャレンジを抑制するものであり、不健全」と指摘。いつでもやり直しがきく社会作りが必要としています。
「留年脱出のためのちょっとした工夫」の項では、「毎日缶コーヒーを買いにいく程度の習慣をつけることで、大学に行けるように」「大学外でいいので普通の生活を続け、“ぼちぼち”大学について考える」など、具体的な方策を提示。留年がもとで授業が同じ知り合いがなく、相談相手がいない場合では、京大のコミュニティサイト「kyoto-u.com」で情報を入手するなど、ネットの活用も提案されています。
最終項「留年・中退というキャリア」では、留年や中退のデメリットについて言及しています。「企業の採用方針の狭量さゆえに就活で不利になる」ことは認めながらも、「かといって中退したら人生が終わりだとか破滅だとかいうわけでは決してない」と明言。「当たり前に普通に働いてこの社会を支えている大学中退者はいくらでもいる。留年経験者なら、なおのこと」と勇気づけています。
こうして「留年・中退=破滅」という固定観念から学生を解放するように文章は結びへ向かい、大学生活に意味を感じられなくなったならば、「やめる」選択肢もあるとも提案。「続ける」という選択を支えている根拠の大きな部分が、周囲の期待や学費の問題など「やめられない」という理由にあるのなら、「一度、やめるという選択肢を落ち着いて現実的に考えてみては」と、学生の視点で親身につづられています。
「大学における進路変更がより自由に安心してできるような社会をみんなで実現していきたいものです」と、社会全体へ向けて締めくくられた文章は、ネットで大きな反響を呼びました。Twitterでも大勢が言及していますし、はてなブックマークでは1500件を超すブックマークがつけられています。
「学生時代に読みたかった名文」「心が追い詰められてる学生向けの優しい文体」「学生向けではあるけど、社会人になっても通じる」など、社会人からのコメントも多数。「社会の不寛容さにも言及して、いっしょに住みよい社会を作っていこうと呼びかけているところがすばらしい」との意見が核心と筆者は考えますが、みなさんはどう思いますか?
(沓澤真二)
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