「テールランプ切れてるよ」ウソをついて車から降ろすのはアリ? 警察学校で採用されている実務書が物議、警視庁は実質回答拒否
“尾灯等を軽く叩きながら『片方切れているよ。ちょっと降りて確認して』などと、降りざるを得ない状況を演出する”。
警察官は職務質問でウソをつくのがマニュアル化されてた――。警察官が行う職務質問の実務を紹介する本に「『ランプが切れている』と偽った内容で声をかけ、それをきっかけに職務質問に入る」という旨の記述があったことがTwitterで指摘され、「ウソをつくのがマニュアル化されている」として物議を醸しています。
この本の書名は「クローズアップ実務1 職務質問」。立花書房が2007年に発売し現在も販売中。正式な教科書ではないものの、補助教材として警察学校での使用実績もあるそうです。立花書房によると、著者にあたる警察実務研究会については匿名としており、どういった組織・人物なのかは明かせないとのこと。具体的には「尾灯等を軽く叩きながら『片方切れているよ。ちょっと降りて確認して』などと、降りざるを得ない状況を演出する。降りてきたら『ああ、点いたよ。接触が悪かったんだね』と、しらをきり職質に入る」と記述されています。しかし、この手法で収集された証拠は、違法に収集された証拠として見なされ証拠能力を失う可能性も指摘されています。
こういった職務質問をすることはあるのかについて、元警察官のAさん(仮名)に伺ったところ、「犯人の目撃情報に似ている人がいても『強盗しましたか?』とは聞けない。『夜遅いですがどちらに行かれますか?』など本来聞きたいこととは別の質問からアプローチすることはある」と認めながらも、「基本的に職務質問でウソをつくということはない」と語っています。しかし、Twitterには「この手法で職務質問をされた」とするユーザーもいるようです。
問題の記述について、警察庁は「現場の警察官がどのように職務質問を行っているかは把握していない」と回答。警察庁への取材後、あらためて警視庁に対し「こういった手法で職務質問を行うことはあるのか」「実際に行ったとしたら違法に収集された証拠にあたると考えるか」「『この手法で職務質問を受けたことがある』という声もあるがそれについてどう考えるか」について10月26日に質問状を送付しましたが、「(いずれの質問に対しても)職務質問については、法に基づいて厳正に行っております」とだけ書かれたFAXが11月7日に送付され、明確な回答を避ける形となっています。
なお、このFAXでの回答について「こういった職務質問をしていると暗に認める回答ではないか」「(違法収集証拠に当たるかどうかに関しては)そもそも回答になっていないのではないか」と再度問い合わせましたが、担当者は「組織としてはこの文章以上の回答はできない。理解してほしい」と説明していました。
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