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» 2016年11月17日 22時00分 UPDATE

ねとらぼレビュー:アニメ映画界のボジョレー・ヌーヴォー 今年の映画「魔法つかいプリキュア!」も大傑作だった件

またも“最高”を更新。

[青柳美帆子,ねとらぼ]

 10月29日に公開した「映画魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!」が大傑作です。またもプリキュアが“最高”を更新しました。

 プリキュア映画は基本的に年に2本上映されます。春は“全員集合”のドリームムービー、そして秋はその年のプリキュアの活躍を描いた作品です。プリキュアファンは毎年春秋になるたびに「はー今年のプリキュアも傑作だった……」と言いがちな傾向があり、その姿はさながらボジョレー・ヌーヴォーの褒め言葉

 だからもしかしたら信じてもらえないかもしれませんが、とにかく今年のプリキュアは最高だったんですよ!

魔法つかいプリキュア! 「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」

その前に、プリキュアについておさらい(知ってる人は読み飛ばしてね)

 プリキュアは、毎週日曜日朝に放送されている女児向けの変身女子バトルもの。一生懸命な女の子が「プリキュア」として目覚め、仲間や大事な人のために戦い、時には世界を救ったりもする物語です。(ほぼ)毎年新シリーズが始まり、新しい魅力的なキャラクターが、ワクワクもんの新しい物語を紡いでいきます。

 2015年プリキュアのモチーフは「プリンセス」でしたが、2016年は「魔法つかい」。好奇心いっぱいの元気な女の子・朝日奈みらいがある日、魔法界の女の子・リコに出会い、“伝説の魔法つかい”プリキュアに変身するところから物語が始まりました。

 素直で一生懸命なみらい(キュアミラクル)と、時々意地っ張りになってしまう頑張り屋のリコ(キュアマジカル)。2人は親友になり、誰よりも深いキズナを築いていく――というのが前半の展開。

 中盤からは、変身アイテムから生まれた不思議な赤ちゃん「はーちゃん」が登場。彼女はいわば“みらいとリコの子ども”として育ち、3人目のプリキュア・キュアフェリーチェとして共に戦うようになります。「魔法つかいプリキュア!」は3人の関係をキュートに描きながら、終盤に向けて走り始めています。

 さて、プリキュアシリーズには彼女たちの一番の味方である“妖精”の登場がつきもの。ただ「魔法つかいプリキュア」はちょっとイレギュラー。みらいが小さなころから大事にしていたクマのぬいぐるみ・モフルンが、奇跡の力で話せるようになり、例年でいう“妖精ポジション”に着いたのです。

 今回の映画「奇跡の変身! キュアモフルン!」は、このモフルンというキャラクターにスポットを浴びせた作品です。映画のあらすじをご紹介しましょう。

 ――100年に一度復活して、“最も願いが大きい者”のどんな願いも叶えてくれるという「願いの石」。その復活を祝う「大魔法フェスティバル」に参加したみらいたち。願いの石はなんとモフルンを選んだ! しかし突然現れた謎のクマ・ダークマターにモフルンが連れ去られて……!? みらいたちはモフルンを取り戻すことができるのか?


魔法つかいプリキュア! 大ヒット公開中

アツいバトル、泣けるシナリオ、ありがとう映画魔法つかいプリキュア

 散々CMで告知されているのでネタバレにはならないと信じて書きますが、今回の映画、なんとモフルンがプリキュアに変身します。妖精がプリキュアになることはこれまでのシリーズで何度かありましたが、「レギュラーキャラクターが映画だけで変身する」という試みは、プリキュアの歴史の中でも初めてではないでしょうか。

 このモフルンがとにかくかわいい。かわいい上にめちゃくちゃ強い。監督は前年の「Go!プリンセスプリキュア」のシリーズディレクターを務めた田中裕太さん。プリキュアのバトルアクションは(知らない方も多いかもしれませんが)女児向けとは思えないくらい凝っています。特に今作はほうきを使ったアクションと拳バトルが魅力的。

 もちろん絵の力だけではなく、田中仁さんによる脚本もぐいぐい惹きつけてきます。今作のキーワードは「みらいとモフルンのキズナ」と、「ゲストキャラクターとモフルンの心の交流」です。

 女児向けアニメの劇場版は、「子どもに分かりやすい作品」「(子どもを連れてきた)お父さんお母さんの鑑賞に堪えうる作品」の間で揺れるさだめを持っています。しかも秋映画は、展開中のシリーズのクライマックスには差し支えない形で、劇場版にふさわしい大舞台や魅力的なゲストキャラクターを用意しなければならない……という制約があります。

 「ハートキャッチプリキュア!」(10年)、「ドキドキ!プリキュア」(13年)、「ハピネスチャージプリキュア!」(14年)の秋映画は、まさに“大人も楽しめる作品を”路線の極致。ファンの間で「最高傑作」との呼び声も高い作品です。

 しかしその一方で話がシリアスになりやすく、メインターゲット層にはやや難しい物語になっているというウイークポイントも指摘されています。また、“プリキュアの物語”ではなく、“ゲストキャラクターの物語”になってしまっている向きがあります。

 シリアスになりすぎず、また女児たちが飽きないようにするための“挑戦作”が15年の「Go!プリンセスプリキュア」秋映画。史上初の“3本立て”を展開しました。そして今年は、モフルンをキーにする大発明。半年以上一緒に走ってきたモフルンが、映画でしか見せない姿を現すスペシャル感はもちろん、モフルンのキャラクター性を初めから描き込む必要がない分、ストーリー展開や演出にパワーを込めることが可能になっています。

 プリキュア映画は、「どれが1番」というものではなく、「どれも最高」というものですが、今作は“分かりやすさ”と“大人にもウケる”を見事に両立させた大傑作です。小さいおともだちの「プリキュアー、がんばえー!」が聞こえる劇場で鑑賞すると楽しみもひとしおですので、ぜひ早いうちに劇場へ!

 なお文字数の関係で触れられませんでしたが冒頭のCGによる短編「キュアミラクルとモフルンの魔法レッスン!」も超かわいいです。


魔法つかいプリキュア! 2016年のボジョレー・ヌーヴォー。ねとらぼ編集部でおいしくいただきました

(C)2016 映画魔法つかいプリキュア!製作委員会

青柳美帆子

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