“残念女子”ソムリエによる残念女子マンガ3選 「手品先輩」「じけんじゃけん!」「マヤさんの夜ふかし」

「虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ!」。第78回目は、残念女子をこよなく愛するUK社主がオススメの残念女子マンガを3作品紹介。

» 2016年11月20日 11時30分 公開
[虚構新聞・社主UKねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 全国10万人(推定)の残念女子好きのみなさま、ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。虚構新聞の社主UKです。私がオススメのマンガを「ウソだと思って読んでみろ!」紹介するこの連載、第78回目となる今回は久々に残念女子が活躍するマンガの紹介です。

 残念女子とは何か。

 それは「言動がおかしい」「奇行が目立つ」など、「この人、おとなしくしていればモテるのにもったいない……」という考えがよぎらずにはいられない残念さが際立った女子のこと。つまり、残念なのは性格や行動といった中身であって、見た目(だけ)はかわいいことが多い。以前に紹介した駄菓子マンガ「だがしかし」の枝垂ほたるさんなど、まさに残念女子の典型です。

 常々「残念女子ほどステキな女子がいようか、いやいない!」と反語をまじえて熱弁しているのですが、周囲からは「ないわ〜」「普通の美人でいいだろ」と理解されないのが本当に歯がゆくてなりません。頭のてっぺんからつま先まで女子力でみっちり固めた人より、女子力をその浮ついた言葉ごとロードローラーで蹂躙していく女性の方が魅力的に決まってるじゃないですか!

 と言うわけで、今回はそんな残念女子が登場する作品を3作まとめて紹介。残念女子好き10万人(※推定)はもちろん、まだ残念属性を経験したことがない人にこそ、実際読んでその魅力を感じてもらいたいです。

見せる手品はどれも失敗! ドジっ子残念女子「手品先輩」

 まず1人目は、昨今残念女子好き界隈で話題になっているアズ先生のショートコメディ「手品先輩」(〜1巻、以下続刊/講談社)から、ヒロインの奇術部先輩(※名前は不明)です。

残念女子 マンガ残念女子 マンガ 手品先輩」第1巻と12月発売の第2巻。表紙にいるのが残念女子の奇術部先輩

 廃部寸前の奇術部存続のため、カードマジックから脱出マジックまでさまざまな手品で新たな部員を集めようとするも、下手すぎて失敗ばかりの先輩。もうこの時点でダメさを存分に醸し出していますが、その上人前に立つと吐くほどのあがり症という手品の神から見放されたとしか思えない彼女は、巨乳&ミニスカという恵まれたビジュアルにもかかわらず、その変な性格ゆえ友達はゼロ。まさに残念女子のお手本のような先輩、ステキ!

 そしてまた、成り行きで入部することになったしっかり者の後輩・助手君との掛け合いが彼女の残念っぷり(ほめ言葉)をさらに引き立てています。ちなみにわれらが助手君の視点で言えば、作中割とよく出てくる先輩のパンチラ・ポロリのようなラッキーエロスより、めったに見られない彼女のメガネ姿のほうが眼福だと思うのですがどうでしょうか、メガネ女子好きのみなさん(試し読みサイト)。

ミステリに夢中になりすぎる 盲目系残念女子「じけんじゃけん!」

 続いて2人目は、安田剛助先生の日常ミステリマンガ「じけんじゃけん!」(〜1巻、以下続刊/白泉社)から、ミステリ大好き白銀百合子先輩です。

残念女子 マンガ じけんじゃけん!」第1巻。表紙にいるのが残念女子・白銀百合子先輩

 黒髪ロングな白銀先輩の魅力は、ミステリのにおいを嗅ぎつけた途端、目の中にハートが浮かび上がって周りが見えなくなったり、小説の叙述トリックが見破れなかった悔しさでふくれっ面を見せたり、クール系美人が子どものように変わり果ててしまう残念さ。また、校内一の美女と評判の彼女が立ち上げたミステリ研究同好会には、彼女目当ての入部希望者が殺到するのですが、審査を厳しくし過ぎたせいで合格者はゼロ。彼女ひとりだけが在籍することになった結果、部未満の同好会として活動しているという残念さ。手品先輩といい、なぜ残念女子は物事に夢中になるとこうも冷静さを失ってしまうのか

 物語はそんな白銀先輩に一目ぼれした転校生の戸入君だけが、なぜか推理の才能を認められ、唯一のミステリ同好会会員として彼女と共に日常生活のささいなミステリを解決していきます(試し読みサイト)。

 手品先輩と白銀先輩、奇しくも両者は「残念な先輩」という点で共通していますが、彼女たちの残念さを引き立てているのは、助手君や戸入君という「しっかり者の後輩」の存在でしょう。困った先輩の一挙一動に振り回されて戸惑っているようだけど、実はそんなシチュエーションを楽しんでるよね、君たち? 「ああ、この人本当にダメだな……」と頭を抱えながら、実は心の中でフフッとほくそ笑んでいるその快感、分かりますよ……!

こたつPCで深夜チャットに興じる自称魔女 堕落系残念女子「マヤさんの夜ふかし」

 最後は、最も現実(リアル)に近い残念女子をご紹介。保谷伸先生の「マヤさんの夜ふかし」(〜1巻、以下続刊/徳間書店)から、自称魔女の主人公・マヤさんです。本作は、マンガ家を目指して作画に勤しむ豆山さんが入院中に知り合った「魔女」のマヤさんと、毎晩深夜に通話アプリ「スカイペ」を通じて雑談する、いわゆる「さぎょいぷ」コメディ

残念女子 マンガ マヤさんの夜ふかし」第1巻。こたつPCをしているのがマヤさん

 他2作とは異なり、キャラの個性より2人の対話のおもしろさを押し出した作品なのですが、第1話冒頭からマヤさんの生活臭がすさまじい。魔女と名乗りながらもジャージ+メガネ+座いす+こたつPCというスタイルで、深夜にカップラーメンを食べていいか豆山さんに真剣に相談する(で、当然食べる)姿に、「お前は俺か!」と。ソシャゲにハマって使用済み●Tunesカードがゴミ箱に散乱しているリアルなダメさを除いて、彼女に親近感を覚えずにはいられませんでした。

 ただしマヤさん、実は本物の魔女なのです。豆山さんは「そういう設定の人」と思い込んでいるけれど、「私は魔女だ」というマヤさんの言葉は残念要素ではありません。あしからず。

 手品先輩と白銀先輩は「黙っていれば美人なのにもったいない」ですが、飛び抜けて美人というわけでもないマヤさんの場合、「性格をこじらせてもったいない」という別の意味での残念さを醸し出しています。それにしても、みんな本当にもったいない……(にやにやしながら)。




 これまで本連載でも何度か語ってきたように、残念女子が持つ真の魅力とは「周りを気にせず自分の道を突き進んでいること」に他なりません。残念な彼女たちは、普通の人にとって逃れがたい「他人の目」という束縛から自由な、しっかりした自分の価値観を持った存在でもあるのです。

 「もったいないと思われながら生きること」は、実はマニュアル化した横並びの女子力なんかよりほどいばらの道。それをものともせずわが道を行く無頓着さに惹かれると言ってもよいでしょう。「残念」はほめ言葉です

 女っぽい/女っぽくないという二項対立の向こう側にいる残念な女子が、マンガの世界だけでなくリアルでももっと増えればよいなと思いつつ、今日はこの辺りで筆を置きます。

 今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた