生きづらさを感じたら迷わずに マイノリティーのための相談窓口を置いておきますね
特に他意はありませんが、星井七億の連載「ネットは1日25時間」。
生きづらい世の中になりましたね。人間は生きているあいだ誰であっても、不条理な扱い、理不尽な誹りを受けてしまうものですが、そういった攻撃をより受けやすいマイノリティーに属する人にとっては、どうもこれまで以上に生きづらさを覚えやすい空気や風潮が、海の向こう側でも海からこっち側でも漂っているようですね。
別にどこかの国の政治や選挙がどうとかといった他意は特にありませんが、今回はそんな生きづらさを覚えたマイノリティーの方に是非利用してほしい、悲しみのはけ口や問題の解決策につながりやすい、信頼できる「相談窓口」をいくつか簡単に紹介したいと思います。もちろんここであげる窓口の中にはマジョリティーの方にも有益になる場所がありますので、万が一のための知識として押さえておくのも悪くないかもしれません。
性的マイノリティー専用相談窓口
日本には7.6%いるといわれている性的マイノリティー。昨今は地方単位での制度整備や企業によるアクションなど、ある程度理解が進んできた状況ではありますが、未成年はもちろん大人まで、いまだに偏見や不当な攻撃、自分の性が分からなくなるなどで悩みを抱える人は多く、悩んだ末の自殺というケースもあり、看過できる状況ではありません。
NPO法人動くレズビアンとゲイの会・通称OCCURのヘルプラインでは同性愛についてはもちろん、性別に関する悩みやHIV等に関する悩みまで、当事者や支援者といった専門のスタッフによる秘密厳守での電話相談を受け付けています。また、トラブルやゲイバッシングに関する法律相談も予約制で行っています。
また、もっとも分かりやすく、かつ多くの信用できる窓口が紹介されている場所として、NHKのEテレで放送されているドキュメンタリー番組「ハートネットTV」のお役立ち情報ページには、性的マイノリティーに関してはもちろん、貧困や性暴力、障害に至るまでさまざまな困難や悩みに関する多数の相談窓口を紹介してあります。悩みの形は人それぞれ。こちらも是非参考にしていただければと思います。
イスラム教徒専用相談窓口
勢力を拡大しながら世界中に惨劇の爪あとを残し、恐怖の対象となっている過激派組織ISILの暴走により、多くの無関係で罪なきイスラム教徒までもが冷たい視線や差別的扱いを受ける事態が起こっています。私のように無宗教かつ宗教に取り立てて詳しくない者であっても、特定の宗教に属していることを理由に不当な扱いを受けてはならないことは分かると思います。
日本に存在するイスラム教徒のための団体、宗教法人イスラミックセンタージャパンの相談窓口では、メールや電話などでイスラムに関することや日本での生活におけることなど、さまざまな相談を受け付けています。
イスラミックセンタージャパンは過去に日本人2人がISILに人質として拘束された際、ISILに対して抗議声明をあげるなど、ISILの姿勢を認めずに真っ向から否定する形を取っている機関です。イスラム教徒に関する相談窓口は現状とても少ないようですが、今後の情勢次第では、今まで以上に整備がなされるかもしれません。
人種差別専用相談窓口
人種差別問題は歴史認識や文化面の差異、思想間の激しい衝突が起きやすく、一朝一夕での解決とは程遠いものです。
法務省の人権擁護局では、インターネットや電話による受付はもちろん、地方の法務局においても常設相談所を設け、窓口での面接等で相談を受け付けています。
また法務省では外国人差別のみならず、虐待やいじめ、性差別など幅広い人権問題に対応しています。どのような問題に対応しているのか、もしかして自分の抱えている問題にも対応してくれるのではないかと思ったら、1つ調査や相談してみるのもいいかもしれません。
何かと動きづらい社会で私達のできる手段
他人に対して向ける「攻撃/否定をするな」という言葉や姿勢を、時として抑圧と受け取ってしまう人がいたり、また場合によっては本当に抑圧につながりかねない状況もあり、もちろん攻撃や否定をさせない姿勢やシステムは絶対に必要不可欠ではあるのですが、多様な人間同士の衝突である以上、悲しいことにそれをきっかけに問題がこじれたり深刻化してしまうケースも少なくありません。
また悩んでいる人に肩を貸そうとして共倒れになってしまったり、悩んでいる当事者が肩を貸してほしいことを言い出せずにいたり、肩を貸しているだけで不当な攻撃を巻き添えで受けてしまったり、また肩を貸したいと思っても、自分なんかに何ができるだろう、迷惑ではないだろうかと思い悩んだり、誰かの手を差し伸べることのハードルが高くなった時代でもあります。
そんな問題や軋轢(あつれき)が生まれやすい今の社会において、私達にできる最良の手段といえば、悩んでいる人、傷付いた人に対し、よりどころの存在をそっと教えてあげることなのではないかと思います。もちろんそのよりどころがある程度信頼のおける場所であることを調べておく必要はありますが、抑圧にも共倒れにもなることなく、目の前で悩んでいる人の助力になれるかもしれません。下手に動けば傷つけ合う社会には、どんな人にも駆け込み寺が必要なのです。
星井七億
85年生まれのブロガー。2012年にブログ「ナナオクプリーズ」を開設。おとぎ話などをパロディー化した芸能系のネタや風刺色の強いネタがさまざまなメディアで紹介されて話題となる。
2015年に初の著書「もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら」を刊行。ライターとしても活動中。
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