フジ「嫌われる勇気」に日本アドラー心理学会が抗議 放映中止・脚本見直しを要求
ドラマ内におけるアドラー心理学の理解が「一般的な理解とはかなり異なっている」としています。
日本アドラー心理学会が、現在放送中のフジテレビ系ドラマ「嫌われる勇気」に対する抗議文をホームページに掲出。ドラマの内容に対して問題点を指摘し、放映の中止または脚本の見直しを求めていたことがわかりました。
同ドラマは、アドラー心理学の思想を物語形式で描いた書籍「嫌われる勇気 自己啓発の源流『アドラー』の教え」を原作とする作品。ただし本編では、香里奈さん演じるアドラー心理学を体現する刑事・庵堂蘭子が主人公の“刑事ドラマ”として大きくアレンジされています。
日本アドラー心理学会はフジテレビに対し「貴番組のアドラー心理学理解は日本及び世界のアドラー心理学における一般的な理解とはかなり異なっているように思えます」と所見を述べ、その内容が普及宣伝されるのは同心理学の啓発・普及に対して大きな妨げになるとしています。
問題点の一例として、“勇気”は“共同体感覚(他者と共同し協力して生活する能力)”と関係すると理解されているが、同ドラマの中では「『私はただ、感じたことを口にしているだけ』と言っている主人公を『ナチュラルボーンアドラー』として、『相互理解のための努力』や『一致に到達する努力』や『意見や信念を分かちあうための努力』の側面を放棄しているように見受けられます』」と指摘。
さらに専門家の意見として同学会所属のアドラー心理学指導者・野田俊作氏の言葉を引用。「自分の行為の結果が他者にどういう影響を与えるかについて、いつも配慮をしなければならないと思います。ドラマの中の考え方には『他者の利害』という見方が完全に欠落している気がします」として、アドラー心理学ではないという結論を示しています。
なお、抗議文の日付はドラマの第4話が放送された翌日「2月3日」で、原作の著者の1人で哲学者の岸見一郎氏には事情を伺った上で送られたことが書かれています。
(宮原れい)
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