いまの霜降肉は脂肪多すぎ? 老舗すき焼き店が赤身とのバランスを考慮した「適サシ肉」提唱 他店でも使える商標に
脂肪が多すぎることなどから、消費者の“霜降離れ”が起こっているとか。
先日、明治13年創業の老舗すき焼き店「ちんや」(東京都浅草)が提唱したことで、話題を集めた「適サシ肉」(全体の約30%と適度な脂肪量の霜降肉)。同店がその商標出願を行い、他店でも無料で利用できる名称として運用する方針を明らかにしました。
近年「牛肉は脂肪が多ければ多いほど良い」という考え方が広まり、霜降肉の脂肪量が過剰になったせいで、消費者の“霜降離れ”が発生していると訴えていました。
ブログ記事によれば、日本人が霜降肉を重視する傾向が生まれたのは1980年代のこと。日米貿易摩擦の解消を目的に米国産牛肉の輸入規制が撤廃され、畜産業者がその対抗策として、日本で生産しやすい脂肪の多い牛肉を高級品として扱う格付けを導入したのだとか。そもそもは、国際競争を戦うためのアイデアだったわけです。
しかし、その後、牛をあえてビタミンA不足にさせる「ビタミンコントロール」という飼育法が採用されるようになったことで、脂がのっていてもおいしくない霜降肉が出回るように。また、現在、霜降肉とされるロースの脂肪量は平均50%、最高75%にまで達していることも味の低下や胃もたれの原因になっており、消費者が避ける傾向が現れているといいます。一方、「ちんや」が提唱した「適サシ肉」の脂肪量は約30%。これは1975年ごろの霜降肉の水準に該当し、専門家からも消費者からもおいしいとされるバランスなのだそうです。
「使用料を得るより、むしろこの言葉と考え方を普及させたい」という意図から、「適サシ肉」はその条件を守っている店舗が無料で使える表現として活用される予定です。なお、あくまでも「弊店に以前から見えている、お客様の御口に合う肉を仕入れたい」という動機で始めた取り組みであり「違う個性のお店さんが独自のやり方で繁盛なさることについて、何の意見も持ち合わせません」とのこと。
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