かつて、吾妻ひでおは神だった
マイナー漫画の魅力にはまった筆者の30年来の思い出とともに。
コミケは燃えているか
いまや、コミケには50万人近い参加者が訪れる。その中心は10代から20代のアニメファン、マンガファンだ。そして、今から30年以上前、私が初めてコミケを訪れたときも、規模こそ小さかったが、その年齢層の若者が中心だった。
当時、宇宙戦艦ヤマトの大ヒットにより、アニメファンという連中がいることは世の中に知られていた。しかし、それ以外で一般の人々が思い描くアニメは「ムーミン」、マンガは「少年ジャンプ」がせいぜいといった時代だ。
マイナー漫画との出会い
コミック専門書店が近くにある者だけが、ジャンプやマガジンには決して載らない漫画家をそろえたマイナーな漫画雑誌の存在を知っていた。東京三世社の「少年少女SFマンガ競作大全集」、奇想天外社の「マンガ奇想天外」、朝日ソノラマ社の「月刊マンガ少年」はそのトップ3だ。大友克洋、板橋しゅうほう、さべあのま、高橋文子、高橋葉介、見知らぬ作家たちに混じり、手塚治虫や藤子不二雄も寄稿していたが、少年漫画で知る彼らとは異なる作風の漫画ばかりだった。
マイナー漫画の魅力にはまった私は、ある日、コミック専門書店でいつもとは異なる風情の雑誌に出くわす。漫画評論誌だ。なかでも「ふゅーじょんぷろだくと」は新宿三丁目のビルに同人誌専門の小さな本屋を営んでいた。今では同人誌の委託販売は、いくらでも見かけるが、そのハシリである。よりマイナーで刺激的なマンガを求めていた中学生の私は、その店の常連となり、同じくそこに通っていた年上の友人を次々と作っていく。もちろん、一人残らずオタクだ。
美少女マンガの出現
彼らの中で話題に上る同人誌があった。コミケで売られるたびに、すさまじい行列ができ、必ず完売する。バックナンバーはマンガ専門古書店で数万円で取引されている。その真っ黒な表紙の本には、かわいらしいタッチで描かれた美少女のあられもない姿のマンガばかりが載っている——などなど。「シベール」という書名と共に、その話は深く脳裏に刻み込まれた。結局、今に至るまで「シベール」そのものは手に入れていないが、やがて、後に続けとばかり、現在に続くかわいいキャラクターのエロ同人誌が一気に増えていった。
いつの時代も男子中学生の脳内はエロまみれだ。考えることの9割はエロ妄想、残り1割にその他の全てが詰まっている。ネットのない時代、紙媒体以外でエロは入手できない。だが、そのころのエロ漫画といえば、劇画調の汚い線とデッサンの狂ったキャラクターがぐちょぐちょぐちょと描かれた雑誌のみ。それらは本屋の奥の薄暗いスペースに置いてあり、中学生にはなかなか触れることができない。まず、年齢制限の壁はとてつもなく高かった。そして、手に入れても絵柄のせいであまりグッとこなかった。かといって、写真系のエロ本はセーラー服を着たおばちゃんばかりで、さらに厳しかった(実用的に)。
そこに降臨したのが同人誌即売会に出現したロリコン美少女マンガだ。そりゃ、小遣い貯めてコミケに行きますよ。
やがて、商業誌が目をつけて、同人誌の売れっ子作家を集めた雑誌「レモンピープル」が創刊される。しばらくして、大手出版社も彼らに食指を伸ばし始める。内山亜紀、みやすのんき、千之ナイフなどがメジャーに進出していった。
当時、そのロリコン美少女マンガの頂点に君臨していたのが吾妻ひでおだった。普通のマンガ好きには、少年チャンピオンでギャグマンガを連載する中堅マンガ家だったろう。だが、ロリコンマンガ業界では神のごとき威光を放つ存在だった。「シベール」の中心作家であり、キュートでエロいキャラクターが活躍する不条理ギャグに多くのエロガキが脳と股間をグチュグチュにされていた。
サイン会を開けば、暗そうな男どもばかりが長蛇の列をなした。同人誌即売会に参加すれば、汗だくの男どもばかりが1000円札を握りしめて殺到した。
また、吾妻ひでおは無類のSF読みであり、卓抜したSFセンスを備えていた。名作「不条理日記」は全国のSFファンにショックを与え、SF大会の企画イベントには、やはり男どもばかり我先にはせ参じた。
吾妻ひでおが開いたロリコン美少女マンガは、読み手書き手双方のリビドーに大きく作用して大きなムーブメントになった。その後、同ジャンルのマンガやアニメが大きく育ったのはご存じの通りだ。吾妻ひでお本人は、その後、アルコール依存症になり、失踪された末、無事にリハビリに成功してマンガ業界に戻ってこられた。コミケにも復帰されたようだ。
今では仕事半分だが、俺も相変わらずコミケに行き、同人誌を買っている。中学生の俺に、お前は30年後もコミケに行ってるのだと告げたら、絶望して首をくくるかもしれないが。いや、大丈夫、いつまでたっても、なかなかに楽しいよ。このジャンルは。
(コバヤシマル)
関連記事
- 過去最大規模のお姉さん祭り! 「コミックマーケット91」コスプレフォトリポート
コミックマーケット91会場からコスプレなど現地の様子を逐次リポートします。 - かわいすぎるだろ! 叶美香、コミケ当選を早とちりして落ち込みモード「しゅん…ってなっております」
正式発表は6月9日予定。 - 「私、ろりこんなんだと思います」 止まらないドキドキ“おねロリ”に目覚めた女子高生・野間みみかの迷走
小学生の貴女(柚子森さん)が好きです! - かわいさは凶器 「大家さんは思春期!」のチエちゃんに堕ちない男女はいない
世界よ、これが「ぐうかわ」だ。 - ラスボスこと小林幸子さんが人生初のゴスロリ衣装……だと……!? 「使い魔(15歳)」役でCM出演
普通に似合ってるのがすごい。 - 消費カロリーやピストン回数などセックス時のあらゆるデータを収集する「スマートコンドーム」登場
1回のセックスでどれくらいのカロリーを消費したか知りたい人に。 - 黒魔術師かな? 安田顕、衝撃の ”ゴスロリ姿“で気品と妖艶さを振りまく「お姉さまと呼ばせて」「夢に出てきそう」
ヤスケンなんでもいけるな。 - 神はいた Fカップグラドル・長澤茉里奈の八九寺真宵コスが20歳とは思えない反則的クオリティー
「合法ロリ」の有効活用。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
「玄関にでっかい亀梨居る」 亀梨和也がまさかの誤字に「なんかごめん」と謝罪 突然の本人登場に「これ笑ったw」「そりゃビックリする」
-
実家を探索中に発見した30年前のカーディガン、娘が着てみると…… 意外な結果に「昭和世代の服はガチモン」「おかあさん尊敬」
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
沖縄の「廃墟ホテル」をリノベ中、ミステリアスな事態発生→壁を壊してみると……「ヒェッ」 めげない投稿者に「ポジティブですごい」と称賛
-
【今日の計算】「6×11÷3−2」を計算せよ
-
「北朝鮮のアニメーターが関与疑い」報じられたアニメ制作元がコメント 「事実関係を調査中」
-
「虎に翼」出演俳優、桜井ユキの結婚相手は誰? 2022年にドラマ共演者と結婚発表
-
【今日の計算】「2+13×2−6」を計算せよ
-
東京メトロ、東西線の一部期間終日運休を“まさかの方法”で告知 「これで知らなかったとは言えない」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」