「倒産」「破産」「民事再生」「会社更生」 それぞれの意味の違いは?(1/2 ページ)
ニュースでよく聞く言葉、意味の違いが分かりますか?
2017年3月末、旅行代理店「てるみくらぶ」の経営破綻が話題になりました。負債額は150億円にも上るとみられ、今後どのように弁済していくのかに注目が集まっています。
また、2月には科学雑誌『Newton(ニュートン)』を発行している会社「ニュートンプレス」が破綻し、民事再生手続の開始を申し立てたと発表されました。同じく、国有地売却をめぐるスキャンダルで揺れた「森友学園」も、4月に民事再生法の適用を申請しています。
では、「民事再生」とは一体何でしょうか?
ニュースでは「倒産」「破産」「民事再生」「会社更生」といった似た言葉が使われて、それぞれの意味するところや違いについて理解できていないという人も多いと思います。
今回はこれらの「会社の破綻に関する用語」を分かりやすく解説していきます。
「経営破綻」と「倒産」
ここまで、「経営破綻」という言葉を主に使ってきましたが、「倒産」との違いは何でしょうか。
会社の借金(債務)が重なって、事業が立ち行かなくなった状況を「経営破綻」といいます。さらに、銀行から取引を断られるなど、「経営破綻」の中でもいくつかの特定の状況に陥ったものが「倒産」です。
つまり、経営破綻のほうが倒産よりも広い意味ということです。
これらはどちらも法律には定義がない用語ですが、実際の手続きで立ち行かなくなった会社を扱うときには「倒産」がよく用いられます。そして「倒産」は「破産」「民事再生」「会社更生」といった手続きに分かれています。
続いてこの3つの手続きを詳しく見ていきましょう。
「破産」とは
破産手続では、やり繰りのいかなくなった会社の持つ財産をお金に換え、債権者(お金を貸していた人や銀行)に可能な限り配当し、その後「会社は消滅」します。
最近では2016年に、鳥取県で展開していた「やよいデパート」が倒産しました。このときは全ての店舗を閉めて会社自体も消滅、40年以上の歴史に幕を下ろしています。
一方で、破産した会社の経営者は、会社の借金の保証人になっていない限りは個人的な責任を負うわけではありません。「法人」である会社と「自然人」(「個人」をあらわす法律用語)である経営者は別物に扱われます。
民事再生とは
民事再生では、危なくなった会社が確実に債務を返済できそうなプランを作成します。このとき、プランは債権者や裁判所のチェックが入り、その後しばらくの間は絶対にプランに従わなければなりません(無断で新たな借金を作ったりできない、ということです)。
民事再生の申し立ては、「破産しかない」というほど状況がひどくなる前に行うことができます。「まだ頑張れば何とかなる」状態での手続きだからこそ、再生できるのですね。
今回、経営破綻した「ニュートンプレス」は民事再生を選びました。ということはつまり、会社を再建して存続させる意思があることを表しています。
実際、ニュートンプレスの代表取締役や会社からは「雑誌は毎月発行を続ける」「雑誌の存続が当社の使命」などと前向きな発表があり、ぜひとも応援していきたいですね。
次のページでは、「民事再生」と「会社更生」の違いについて解説します。
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