「ツボで内臓の調子が分かるってホント?」→正直分かりません! 指圧師が解説する“ツボ”とは何か
ツボってそもそも何? ホントに効果あるの?
こんにちは。指圧師をしている斎藤充博です。日ごろからいろいろなお客さんの施術をしているのですが、その時によく聞かれる質問の1つにこんなものがあります。
「ツボで内臓の調子が本当に分かるんですか?」
この質問、本当によく聞かれます。なんなら「私の悪いところ、当ててみてくださいよ(挑発)」くらいの雰囲気を醸し出してくる方もいます。「指圧師は占い師じゃないんだよ〜!」と言いたくなりますね。
そもそも、ツボとは何でしょうか。僕は一般の人が使う“ツボ”という言葉には、2つの意味があると思います。1つは東洋医学の経穴(けいけつ)。もう1つはリフレクソロジーの反射区です。この2つは、それぞれ全く異なる考え方を持っているのです。
東洋医学の経穴とは
古代の中国では人間は全身に“気”が通っていて、生命活動の元になっていると考えられていました。気には電車の線路のように一定の経路があります。その経路が体表近くを通るのが経穴です。ここを圧したり、温めたり、針を刺したりすることで気の流れを調節できると東洋医学では考えているのです。
気は指先から出てきて、最終的に内臓に入っていくということになっています。気の流れを調節することで内臓の調子が良くなると考えられています。逆に経穴の状態から気の流れを判断して、内臓の調子を推測するということも行われていました。
リフレクソロジーとは
リフレクソロジーは圧すときの刺激が強い台湾式と、ソフトな英国式があります。実は元はどちらも同じで、20世紀にアメリカの理学療法士が考え出したものです。だから使われているツボの図はどちらも同じ。なんとなく中国四千年の歴史がつまっていそうな雰囲気がありましたが、意外と最近のものでした。
リフレクソロジーの理論では、内臓と足の場所がそれぞれ対応しています。したがって内臓が悪くなると、足の一部が固くなったり、痛く感じたりすると考えられているのです。
ぶっちゃけツボで内臓の調子は分からない
先ほど解説した通り、東洋医学における経穴って、気が存在することを前提とした考え方なんですね。これは指圧師だけど、現代人でもある僕には「どうなんだろう……」と思ってしまう部分でもあります。
もちろん「気は存在するし、私はツボを触れば患者さんの内臓の悪いところもちゃんと分かるぞよ」という人もいるのですが、多数派ではないと思いますし、個人的には「本当かな?」という気持ちもないわけではありません。
わりと最近できたツボ、リフレクソロジーの方も考えてみましょう。確かにお客さんの足裏を触ると、人によって固い部分があります。
でも固くなっている部分って冷静に考えれば、足の筋肉ですよね。リフレクソロジーの考え方のように「内臓に対応する足裏の場所が悪くなっている」のか、「単に足が疲れて筋肉が固くなっている」のか区別はつきません。
病院行きましょう
というわけで、指圧師としても実際には内臓の調子って分からないなぁ、というのが本音です。でも、現代医学を全然信用できないタイプの方が、治療家を頼って来院することがあるのですよ。
いや、ホント病院行きましょう。今行っている病院が信用できないのなら、セカンドオピニオンを受けに別の病院に行きましょう。実際にそういうアドバイスをすることもありました。
こういうニーズの受け皿になっているトンデモな治療院が存在するのが、同業者としてなんともつらいところです。でも、そういうところってほんの一部ですよ。目立つ存在ではあるのですが……。
施術って意味がないの?
さてここまで書くと、「指圧なんて全然意味がないのか」なんていわれてしまいそうですね。
僕はそんなことはないと思っています。いや、本当に。施術をした結果「胃がスッキリした」「ぼんやりしていた頭がサッパリした」「目が良く見えるようになった」などと、内臓の調子が良くなった報告をしてくれる人はたくさんいます。
でも、これは特段僕が患者さんの悪いところを見極めたわけではありません。施術をして、なんとなく全身の調子が良くなり元気になったことで、特に調子の悪かった部分が気持ちよく感じられるようになった……ということなのではないでしょうか。
また内臓の不調とは別に、単純に筋肉の固さが原因となっている症状については、改善の可能性がアリです。肩こりや腰痛や疲労感、それから一部の頭痛がある人には施術を受けるのを超おススメしたい。施術者の一人として「特定の内臓の病気は分からないけど、なんとなくダルいときは一度来てみてほしいなぁ」なんて思っています。
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