パリ協定離脱にシュワちゃんも怒り再燃 なぜトランプvsエンタメ界は頻発するのか

この決断は「中国へのすばらしいプレゼント」とメディア。

» 2017年06月07日 07時30分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」からアメリカ合衆国の離脱を表明したドナルド・トランプ大統領。国内外のさまざまな分野から反発が起こっていますが、とりわけエンターテインメント業界では強い拒否反応がみられます。

トランプ大統領を批判するマイケル・ムーア 反トランプ映画も撮ったマイケル・ムーア監督はTwiiterで「人類に対する犯罪」と批判(画像はマイケル・ムーアのInstagramから)


 この動きには、イスラム圏7カ国からの入国を一時的に禁じたときと同じく(関連記事)、AppleやFacebook、Microsoftなどアメリカの大手企業のCEOらも懸念を表明。ウォルト・ディズニーのロバート・アイガーCEOは「信条により、パリ協定離脱をめぐって大統領の相談役を辞めることにした」とツイートしています。


 俳優であり環境保護活動家でもあるレオナルド・ディカプリオは「今日、地球は被害に遭った。これまでよりさらに行動を起こすことが大切になる」とTwitterで発言。Faebookではパリ協定離脱について「トランプ大統領のうかつな決断」と名指しで批判しています。

 また、歌手のケイティ・ペリーは「あなたの子孫がこの決断とともに生きることになることを思い出して」とツイート。ミュージシャンのジョン・レジェンドも「俺たちはこのばかを止めなければいけない。2018年(中間選挙で)、投票しよう」と怒りを燃やしています。

マドンナの息子は反トランプ大統領のイラストTシャツを着る 「Tシャツがいいよね!」のコメントであふれたマドンナの日常風景(画像はマドンナのInstagramから)

 セレブの中でも特にトランプ大統領との根深い因縁が生じている俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事は、SNS上に動画を投稿。「大統領へのメッセージ」として、最優先すべきことや重大な責任は「国民を守ること」だと主張。大気汚染による被害が現実のものだとする例を挙げながら「未来を選んでほしい」と訴え、民衆にも市民運動などの行動を起こすよう呼び掛けています。



 ハリウッドをはじめとするエンターテインメント業界は、選挙キャンペーン時からほとんどがトランプ大統領への反発を隠さず、大統領当選の際には相次いでSNSに絶望の意を表明する投稿も(関連記事)。その理由の1つは、ゴールデングローブ賞で女優のメリル・ストリープがスピーチしたように(関連記事)、エンターテインメント業界ではトランプ大統領が排除するとしている「外国人」が多く活躍しており、さまざまなルーツを持つ人であふれているからだと推測されます。

 トランプ大統領の主な支持層とされるのは、生まれ育った町からほとんど出ることのないような保守的な白人層、環境問題に関心を持つ余裕もなく、男女平等や人種差別撤廃の概念からも遠い支持者らに対し「気候変動は中国のうそ」としていたトランプ大統領は支持を堅固なものにするため、公約だった「パリ協定からの離脱」を守らざるを得なかったのではという見方が多いようです。

 この決断による国際的な信用の低下は避けられず、米The New York Times紙は、「トランプ大統領の決断は中国にとって戦略上のすばらしいプレゼントだった」などと報じ、他いくつかのメディアもこれからは中国が環境問題においてリーダーとなり、あらゆる面でその恩恵を受けることになるのではとの論調で報じています。

 エンターテインメント業界に属するセレブや大手企業CEOらがパリ協定からの離脱を批判するのは、それだけアメリカのイメージや未来を見据えることのできる余裕があるからなのかも。しかし近年ハリウッドは中国の“爆買い”が続いており、その筆頭、中国の複合企業である大連万達集団の王健林会長は2016年に「ダークナイト」「インターステラー」などを制作したレジェンダリー・ピクチャーズを買収した際、「これから中国が映画業界での発言権を広げていく」などとその意図を明確に示していました。


 人道家としても知られる俳優のリチャード・ギアは4月に掲載された米The Hollywood Reporter紙のインタビューで、チベットの独立運動を支援し中国をたびたび批判したことなどで同国への入国を禁じられ、ハリウッドから事実上干されてしまった自身の現状について語っており、王会長の発言がハリウッドのリアルであるように想像させられます。自由や人権を重んじる発言の多いアメリカのエンターテインメント業界ですが、それらのありがたさを知る機会の多い業界でもあるのかもしれません。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/12/news021.jpg 「900円は安過ぎる」 喫茶店でプリンアラモード購入→見本と違いすぎる“激盛り”に仰天 「逆写真詐欺」
  2. /nl/articles/2405/12/news002.jpg 8歳兄が0歳赤ちゃんにぴったり添い寝→2年半後の現在は…… 尊すぎる光景に「かわいい〜!」「成長はやい」
  3. /nl/articles/2405/10/news140.jpg 「怖すぎ」「絵面つよい」 “あの果物”が発火!? 知らないとヤバい「電子レンジに入れてはいけないTOP10」がためになる
  4. /nl/articles/2405/12/news004.jpg 9歳長女の連絡帳にサインしようと見てみたら…… こっそり書かれたママ宛てのメッセージに「ママ幸せだね」「胸がぎゅうってなった」と200万表示
  5. /nl/articles/2405/08/news177.jpg プログラミング言語で書かれた謎の広告→「分かる人」が見ると……? 粋なアイデアが「おしゃれ」と話題 東急に制作背景を聞いた
  6. /nl/articles/2405/10/news123.jpg 「世界一好きな顔かも」 70万再生の“5分メイク”がスゴすぎる……! ゴージャスな仕上がりに驚き【海外】
  7. /nl/articles/2405/11/news023.jpg 【今日の計算】「899×9」を計算せよ
  8. /nl/articles/2405/02/news008.jpg ジャングルのようだった庭が…… 12時間かけた掃除の成果に「感動的な変貌」「素晴らしい」と称賛の声
  9. /nl/articles/2405/11/news024.jpg 大量のゴミ、あふれる食洗機とモノだらけのカウンターが“片づけの変態”によって2時間後…… 何かが憑依したような結末に「師匠と呼ばせて」
  10. /nl/articles/2405/08/news195.jpg なんだこれ……! 1年間掃除していない冷凍庫を掃除→出てきた“とんでもないもの”に驚愕「勇者になれる」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評