季語を決めているのは誰?

スイカが秋の季語ってどうなのよ。

» 2017年06月27日 11時00分 公開
[QuizKnockITmedia]

 夏にスイカが欠かせないように、俳句には季語が欠かせません。桜は春、紅葉は秋というように、季語は俳句の季節感を決定する重要な要素です。

 しかし実は、前述した「スイカ」は秋の季語であるとされています。同様にもうすぐ訪れる「七夕」も秋の季語。これらは現代の感覚と大きくズレています。

 では、どうしてこのようなズレが生まれてしまったのでしょうか。

季語と季節のズレ

 その答えは、ずばりにあります。

 かつての日本では1〜3月を春、4〜6月を夏、というように定めていました。

 この時点で現代人にとってはややこしいのですが、さらに明治期に太陰暦(旧暦)から太陽暦(現在の暦)に変わったことで、日付がまるまる1カ月ほどズレてしまいました。

 具体的には、夏は太陽暦の5〜7月にあたります。これは「夏の至り」と書く夏至が6月中旬に来ることと合致しますね。

 これにより、旧暦7月に行われた七夕は秋、盛りが現在の8月であるスイカも秋の季語とされているのです。

 しかしこれでは、夏に冷たいスイカを食べる様子を詠むことができません。

 また、かつての日本になかったもの、例えばクーラーを題材に詠みたい場合はどうすればいいのでしょう?

季語は誰が決めている?

 そもそも季語というものは、誰がどのように決めているのでしょうか?

 これは難しい問いです。なぜなら、「誰も決めていないし、誰もが決めている」といえるからです。

 季語は『歳時記』というカタログにまとめられています(歳時記は普通に図書館などに並んでいますし、ネット通販などで購入もできます)。決まっている事柄が載る百科事典とは違い、歳時記はそれ自体が季語を決定しています。

 平安時代後期、歌人として高名な源俊頼は、年中見える「月」を秋の季語として定めました。

 その後、鎌倉時代から明治時代にかけて連歌→俳諧→俳句と発展していくにつれ、季語はより多く、より重要となっていきました。

 これらの季語は、当時の歳時記の作者が決めたともいえますし、世俗を意識したという点では、当時の人々皆で決めたともいえます。

 これにならうと、私たちは「クーラー」を夏の季語として使うことはもちろん、「スイカ」を夏の季語として使うことだって許されるはずです。

 俳句を確立した正岡子規は、とある俳人からの質問に「歳時記よりも実情を優先せよ」という旨の返答をしました。

 歳時記は大切な基準ではありますが、それに縛られて窮屈な俳句を詠むのではおもしろくありません。思うがままに詠むのが一番大切なことですね。

※「季語」という語の成立は20世紀初めですが、本記事では分かりやすさのために、過去用いられてきた語も「季語」として統一して記述しています。

制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  3. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」
  4. 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」
  5. 都知事選掲示板に“ほぼ全裸”ポスターが掲出で騒動に→アイドルが懸念示す 「300万円を考えると安いものなんでしょう」「真面目に頑張りたい人が可哀想」
  6. いつも遊びに来る野良猫がケガ→治療するもひどく威嚇され…… 「嫌われた」と思った翌日の光景に「涙が出ました」
  7. あずきバーに砲弾を撃ち込む様子が“そんなわけなさ過ぎる結果”で爆笑 ツッコミが不可避の投稿はどのように生まれたのか聞いてみた
  8. 「別人かよ」「泣けた」 “オタク”と言われ続けた男性が…… “激変イメチェン”に「こんなに変われるなんて」と称賛の声
  9. 定年退職の日、妻に感謝のライン→返ってきた“言葉”が193万表示 「不覚にもウルッとした」「自分も精進します」と反響多数
  10. 0歳赤ちゃん、寝ていたはずがベビーモニターに異常発生!→ママが駆け付けるとまさかの…… 爆笑の光景に「かわいすぎるっっ」「朝から癒やしをありがとう」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  2. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  4. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は…… 斜め上のキュートな活用術に「超ナイスアイデア」「こういうの大好きだ!」
  8. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  9. JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  10. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」