中国・無許可ウルトラマンがアニメ映画に出演? 円谷プロ「許諾・監修等を実施したものではない」と今後の対応についてコメント

これをウルトラマンと呼んでいいのか。【追記】

» 2017年07月15日 16時45分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 中国で発表された3DCGアニメ映画「ドラゴンフォース(原題:鋼鐵飛龍)」にウルトラマンがゲスト出演するというトレーラー映像が公開され、「円谷プロダクションの許可を得ていないのでは?」と物議をかもしています。

動画が取得できませんでした
「ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」のトレーラー

 7月10日の「ウルトラマンの日」に、中国のイベントで発表されたのは「ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」のトレーラー映像。「ドラゴンフォース」は、「時空警察ヴェッカー」シリーズなどを手掛け、中国でも活躍する日本のクリエイター・畑澤和也さんが総監督原案を担当した3DCG映画で、2013年には日本でも作品が公開されました。

 今回はその映画の第二作目にあたり、フルCGで表現されたウルトラマンがゲスト出演・活躍する様子が描かれています。作中のウルトラマンの姿は腹筋がシックスパックに割れて筋肉質になり、全身にグレーのラインが入るなどオリジナルデザインに見えます。なお、7月17日に畑澤和也さんに確認したところ、「ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」には畑澤さんおよび2013年に日本で「ドラゴンフォース(原題:鋼鐵飛龍)」を公開した際の日本人スタッフは一切関与していないとのことでした(※)。

(※)【2017年7月17日追記】:当初「ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」に畑澤和也さんが携わっているのかは不明と記載していましたが、その後畑澤さんご本人に取材することができ、一切関わっていない事実などが分かったため、一部加筆・修正させていただきました。


ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) ドラゴンフォースに登場するというウルトラマン(YouTubeより)

 またトレーラーの中には、過去の作品に登場した歴代のウルトラマンや、ハワイ観光局と円谷プロダクションがコラボした企画「ウルトラハワイ」の映像、6月7日にリリースされたばかりの科楽特奏隊「ウルトラセブンの歌」のPV映像、人気親子YouTuberがウルトラマンゼロと触れ合う様子の映像も盛り込んでおり、これらを資料映像として紹介しています。


ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) トレーラーに登場するハワイ観光局と円谷プロダクションがコラボした「ウルトラハワイ」の映像(YouTubeより)

ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) トレーラーに登場する科楽特奏隊「ウルトラセブンの歌」のPV映像(YouTubeより)

ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) トレーラーに登場する日本人気親子YouTuberの動画(加工は編集部によるもの。YouTubeより)

 さらにイベントにはこのオリジナルデザインのウルトラマンも登場しました。

ウルトラマン(?)が登場するドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」イベント

 ところが、このウルトラマンは肌に直接ペイントを施しているため、乳首があったり、はだしだったり、なぜか顎がとがりすぎてしゃくれて見えたりと円谷プロダクションのウルトラマンのデザインとは大きく異なるように見えます。


ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) なぜか顎がとがってしゃくれているウルトラマン(YouTubeより)

ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) 乳首があるなどの違和感(YouTubeより)

ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼) イベントではこんなポーズも披露(YouTubeより)

 これについて日本では「海賊版」「無許可ウルトラマン」「パロディだとしてもクオリティが低すぎる」と怒りの声があがっています。また中国国内からも「恥知らず」「円谷の許可を得てるの?」といった声もあがっていますが、中国系の複数のメディアがステージ上で「著作権侵害はなく、公式のライセンスを使用したリメーク作品だ」との説明があったと報じています。

 なぜ今回の作品が発表されるに至ったのか、これにはウルトラマンの海外での権利関係が複雑に関与しているとみられます。日本国内でウルトラマンの著作権を有するのが円谷プロダクションであるということは広く知られていますが、あるタイ人の実業家が、円谷英二氏の息子である故・円谷皐(のぼる)氏から「ウルトラQからウルトラマンタロウまでのシリーズの海外利用権を譲渡するという契約書を1976年にもらった」と主張。海外での権利利用について1997年から円谷プロダクションと長きに渡り、さまざまな国で争っているのです。

 これらの訴訟についてHUFFPOSTは2013年に、「契約書は真っ赤な偽物」という円谷プロダクション側の主張がタイ王国では認められたものの、日本・中国ではこの主張が認められず、「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA(エース)」「ウルトラマンタロウ」の6作品の中国国内での利用権は、タイ人実業家側にあることが確定したと報じています(HUFFPOST・ウルトラマン裁判、中国最高裁で円谷プロが敗訴 ユーエム社「中国版ウルトラマンでリメイクも」の記事より)。

 こうした背景も踏まえて円谷プロダクションに対し、「ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」へのウルトラマン出演や、見た目が日本版と大きく異なるウルトラマンの登場を把握しているかを問い合わせたところ、広報の担当者は「本件映像作品やウルトラマンキャラクターの利用等について、弊社としては一切関知しておらず、許諾・監修等を実施したものではありません」と回答。

 今後については「権利者としてしかるべき対応をとってまいります」としつつも、これまでの訴訟の経緯が関係しているかについては、「法律的な見解を含め、詳細については今後の対応に関わりますので現時点でのコメントは控えさせていただきたく存じます」としました。

 中国をはじめ、アジア圏でも絶大な人気を誇るウルトラマンシリーズ、今後の対応に注目が集まります。

(Kikka)

関連キーワード

ウルトラマン | 円谷プロ | 中国 | 著作権 | 海外版


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/17/news039.jpg 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  2. /nl/articles/2411/13/news167.jpg 砂が入り交じった汚い石 → 磨いたら……? “まさかの正体”に仰天! “200万円相当”の成果に「すごい」「私だったら気が狂う」【豪】
  3. /nl/articles/2411/17/news048.jpg 「すごっwww」 愛知県まで乗り換えなしで行ける都道府県を調べてみたら……驚きの結果が1000万表示 「日本の中心は愛知ってコト!?」
  4. /nl/articles/2411/18/news017.jpg 約2センチの「まりも」を本気で育てたら2年後…… 想像をはるかに超えた“衝撃の姿”に「こんなに大きくなるの!?」「成長条件知らなかった」
  5. /nl/articles/2411/18/news033.jpg 四角いハギレを全部つなげていくと…… プロの大胆リメイクで“便利グッズ”完成!「目からウロコ」「配色かわいい」
  6. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  7. /nl/articles/2411/17/news029.jpg 沖縄の離島で夜の海を歩いたら…… “まさかの生物”に遭遇しまくり大興奮! 「巨大生物祭りですね」「高級食材いっぱい」
  8. /nl/articles/2411/18/news025.jpg “無給餌”で育てたメダカが2年後、驚きの姿に→さらに半年後…… 放置しておいたビオトープで起きた“奇跡”に「ロマンを感じる」
  9. /nl/articles/2411/18/news013.jpg 寝たい柴犬→お気に入りのクッションに“まさかの”先客が…… 激しい奪還戦に「卑怯なりw」「容赦ないwww」
  10. /nl/articles/2411/16/news013.jpg 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた