インタビュー
» 2017年07月19日 11時00分 UPDATE

「年収2000万」ってどんな世界? 戦略コンサルの1日を勝手に再現してみた

知られざる激務と高報酬の世界。

[高野りょーすけ,ねとらぼ]

 東京大学3年生の、高野りょーすけと申します。

 来年に就活を控えているのですが、最近周りで就活生に人気なのが、

  • マッキンゼー・アンド・カンパニー
  • ボストンコンサルティンググループ
  • ベイン・アンド・カンパニー
  • アクセンチュア
  • ローランド・ベルガー

 といった、戦略コンサルティングの会社です。

 名前からしてどことなく強さを感じるラインアップですが、試しにネットを見てみると

  • 激務すぎて、入社2週間で病院送りになる
  • 20代で年収1000万円を超える
  • 内定を取った時点で人生の勝利が決まる

 などと書かれています。

 実際に周りを見渡しても、戦略コンサルティングの会社は就活生に非常に高い人気を誇っており、なにを隠そう僕も、5歳ぐらいのときから戦略コンサルタントになりたいと思って生きてきました。

 そんな、誰よりも戦略コンサルタントに憧れる僕ですが、戦略コンサルタントがどんな仕事か知りません。

 このまま就活に挑むと十中八九落ちます。ここは対策が必要です。

 ……そこで今回は、「現役の社員さんからお話をお聴きして就活に有利な情報をゲット、その勢いで就活に突撃する」という作戦を思い付きました。各企業のインターンも始まることですし、ここで内部の秘密を少しでも握っておけば有利なこと間違いなしです。

 ついでと言ってはなんですが、コンサルタントの方々の1日を勝手に再現することで、お仕事のイメージを膨らませようと思います。

現役のコンサルタントに話を聞いてみよう

コンさん

就活生に人気な戦略コンサル会社で働く、現役社員さん。

取材を受けているのは会社に内緒らしい。




高野

 「戦略コンサルタントって、なんですか?」



コンさん

 「企業さんからお悩みをいただいて、解決策を一緒に考えるお仕事ですね。売り上げを上げるための戦略を模索したり、企業さんの抱えていらっしゃる問題を発見してお伝えしたりします。課題を見つけて仮説を考えて、その仮説を検証し、アウトプットをデリバリーするって感じです」



高野

 「なるほど。なんだか難しそうですね……。給料がスゴくイイと聞いたのですが」



コンさん

 「どうでしょう。入社して数年で年収1000万で、最短なら20代で2000万ほどもらえる人もいますけど」




高野

 「……もっと詳しく、お聞きしていいですか」



戦略コンサルタントの1日

朝は大体6時起床

7時には出社


コンさん

 「忙しいときだと、朝の7時半ぐらいから社内でミーティングです。企業さんにお見せする資料を補強するために、担当チームで話し合って、市場調査やデータ分析を進めます」



高野

 「大企業から『我が社を助けてください!』みたいな感じで、いろいろお仕事を頼まれるんですよね。どのぐらいのお金をもらうんですか?」



コンさん

 「これ、言っちゃだめなんですけどね……。プロジェクト次第なのですが、1カ月で数百〜数千万円、数カ月にまたがって大体数千万〜1億円とかです。戦略コンサルは自分たちの専門分野を持っていることが多くて、弱い分野では値段を下げたりしますけど」



高野

 「……金額高すぎて、全然イメージがわかないですね」



コンさん

 「取引の金額が高いからこそ、お仕事をいただける会社さんが皆さんに知られている大手企業さんに限られてくるんですね。いやらしい話ではありますが」


企業にプレゼンへ


コンさん

 「資料をまとめ終わったら、いよいよ企業さんへプレゼンしにいきます」



高野

 「やりがいはすごそうですが、1億円とかもらっちゃうとハードルもまた高そう……」



コンさん

 「そうですね。この業界でよくある話なんですけど、『今日の資料です』って社内の上司に見せたら、ペラペラめくったあとに『こんなんじゃ無理だ。今日は俺が話す』って言われて。結局その上司が、何の資料も見ずにクライアントの前で1時間喋り倒したっていう。やっぱり、社内でも高い基準のモノが求められています」



高野

 「なるほど……。お相手の企業とは、モメることはあるんですか?」



コンさん

 「うーん。精神的にうわーとなった話なら、1万回ぐらいありますけど」



高野

 「……多すぎませんか?」



コンさん

 「例えばですね、企業さんにプレゼンするときって……」



実際のプレゼン風景のイメージ


コンさん

 「『御社の課題はここだと思っていて、実際に調査をしてみるとこのような課題が発見できました。その上で見ていくとこういった方向性が考えられて、そうするとこういうボトルネックがあり、これを解決するにはいくらかかってこういう人を必要とするのですが、では、こうしたらよいのではないでしょうか?』みたいな感じなんですけど」



高野

 「……」



コンさん

 「『全然違ってません?』『これだけお金払ってるのに、なんでこれしかできないんですか?』みたいに、企業さんから言われたりすることがあるんですね」



高野

 「えっ……。戦略コンサルタントの方々って、大企業の社員さんにも解決できない問題をじゃんじゃか斬っていく、エリートなイメージがあったので意外です」



コンさん

 「なんだかんだ、しょせんコンサルって業務委託なんですよ。本来は自分たちの会社でやっていただくことの中から、難しい部分を外注していただいているんですね。なので、期待値に応えられなかったらわれわれはクビなんです。日曜夜6時のプレゼン後に、『これの次のステップを明日のお昼までにまとめてください』って言われたら、社内に持ち帰って2時間ミーティングして、仮眠1時間で用意するんです」



高野

 「コンサルが激務なのは、そういうことだったんですね。良い話なので就活で使わせていただきます」



コンさん

 「いただいているお金の10倍のバリューを出していかないと、次がないんですね。1000円の仕事をもらったら1万円の仕事をしないといけない。1100円とかでは、ダメなんですよ」



高野

 「その話も、いただきます」


忙しいときの昼はコンビニ飯で、プレゼンで出た問題を急いで修正し……

もう1度企業にプレゼン。向こうの社長さんが出てくると、現場の緊張感も高まるらしい

社内に帰って、再度ミーティング


コンさん

 「社内に戻ってきたら、今度は翌日のプレゼンに向けたミーティングです。今日企業さんとお話して出た問題点をはっきりさせて、またメンバーそれぞれに調査や分析の役割が振られます」



高野

 「おお。企業さんには何回もプレゼンされるんですね」



コンさん

 「はい。現場で、担当者さんのご意見をしっかりお聞きします。……一方で、板挟みになってモメることがありますけど」



高野

 「板挟み?」



コンさん

 「私は現場の人と付き合いがあるんですけど、私の上司は向こうの経営者とお付き合いしていて、上と下で意見にギャップがあるんですね。どう考えても100億円しか達成できないのに、上司から『お前なにやってんだ、500億目指せよ』『ちゃんとコンサルやってんの? こうすればできるじゃん』って詰められて」



高野

 「……モメるときも、壮大なスケールでモメるんですね」



コンさん

 「あとは、年末に担当のプロジェクトが早めに終わったときがあって。ウキウキしながらクリスマスのチケット取って、海外に高飛びする予定だったんですよ。そしたら急きょ、クリスマスイブに重めのサポート作業を頼まれてしまって。チケットとホテルの予約をキャンセルして、10万円吹っ飛んだことがありました」



高野

 「サラッと言いましたけど、10万円って……。1日の中では、ほかにもキツいことはありますか?」



コンさん

 「夜中0時からの、2時間会議です」





高野

 「なんですかそれ」



コンさん

 「がんばって作った資料が、上司にひっくり返されると起きるんです。『全然ちがーう!』って怒られて、4時間ぐらいかかって作った資料が一瞬にしてゴミに消えて。夜中の会議で問題を整理して、仮眠取りつつ朝5時まで作業、いったん帰宅してから7時の会議に出席するっていう」



高野

 「……その、気になってたんですけど、月の残業時間ってどのぐらいなんですか?」



コンさん

 「最近はマシになりましたが、過去に本当に忙しかったときは200時間を超えました」





高野

 「死にません? 冗談抜きで」



コンさん

 「つらいです。夜22時にオフィスを出ると健全で、0時だとまあこんなもんかな、1時だとちょっと疲れたなって感じです。いつでも社内で寝られるようにアイマスクは常備してますけど、やっぱり時給に換算したら、最初の3年はコンビニ以下ですね。コスパなら商社の方が良かったりします」


会社に泊まる


高野

 「激務というのは本当なんだなというか、ウワサ以上ですね……。最初に厳しい業界に行っておけば、すごく鍛えられるとは思うのですが」



コンさん

 「ただ、逆にいえば、コンサルタントはアウトプットさえできていればいいので、自分の担当しているプロジェクトが安定すればゆとりはあるんですよ。暇なときは10時ぐらいに出社して15時に退社、いろんな所に遊びに行ったりできますから」





高野

 「良いですね。お金たくさんあって、夜遊びは激しそうですけど。キャバクラとか行くんですか?」



コンさん

 「あまり行かないです。私は普通の方が好きなんで」



高野

 「合コンとかは……?」



コンさん

 「しますします。同じ業界は嫌なので、商社や外銀のバックオフィスの子たちとですけど。先輩がパーティルームを用意してくれて、みんなでそこに知り合いの女の子引っ張って」



高野

 「……出ましたね。六本木やら西麻布の高層マンションで、グラス片手に集まってるイメージがしていたので」



コンさん

 「キャビンアテンダントとかはやっぱりそういう場に慣れちゃってますけど、メーカーの女の子や女子大生はかぶれてないので良いですね。ただ、女子大生ぐらいだと戦略コンサルのことを知らないんです。どんなお仕事なんですか、ってよく聞かれちゃって」



高野

 「なるほど。今回のコンさんのお話で、少しでも知っていただければ幸いですが……」



コンさん

 「ただ、知ってたら知ってたで、スれてて好きじゃないです」



なぜコンサルの道へ?



高野

 「どうして、コンサルに進もうと思ったんですか?」



コンさん

 「正直なところ、周りが調子乗って受けてたからですね。アイツが受けるなら自分も受けようかなって。人気じゃないですか、この業界」



高野

 「エリートのコンサルでも、そんな感じなんだ」



コンさん

 「はい。ただ、日本のためになる仕事ってなんなのかなとも考えていて。コンサルタントとして大企業になにか価値を与えられて、業績を大幅に上げられたら、結果的にそこにいらっしゃるたくさんの従業員の方々に、給料アップなどのメリットを提供できると思ったんですね。どんどん流れが巡っていけば、日本経済も良くなっていくと。その意味でコンサルはすごく良いと思ったんです」



高野

 「なるほど、その志望理由もいただきます。……実際のところはいかがですか? お話をお聞きすると、思っていた以上に、企業さんに尽くされているなって。パパッと戦略つくって『これが答えです!』みたいな、スーパーマンのような気が勝手にしてたんですけど……」



コンさん

 「目からウロコみたいな瞬間は、実はほとんどないです。お客さまと二人三脚で緻密に作っていかないといけない。戦略をお伝えしても、『それは分かってますけど、でもできないんですよ』って言われるんですから。頭でっかちな学者タイプではなくて、コミュニケーション力と精神力、実行力のある人が求められるんじゃないでしょうか」




コンさん

 「もし、コンサルタントを目指されるのであれば、私からの1番のアドバイスは『勘違いするな』ってことですね。周りからチヤホヤされる業界ですけど、なんだかんだお客さま商売ですから、人に尽くしてなんぼなんです。そこに喜びを感じられないなら、入ってきても寂しいと思います。私自身、喜びを感じられる瞬間は1%切ってますけど、企業さんに『○○さんのおかげで助かりました』っていう、本当に感謝された瞬間は、喜びがありますので」



高野

 「徹底的なお客さま思考やウワサ以上に激務なこと、1日の流れなどいろいろ知ることができました。お忙しい中、ありがとうございます」



コンさん

 「閉じた業界ではありますからね。1日の流れもあまり知られてないのかなと。お客さまごとは家族にも言えないですし、大事な情報が入ってるPCなくしたら、その瞬間クビですから」



高野

 「……今回の取材が、会社にバレたら?」



コンさん

 「クビですね」

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