お坊さんが本気で考えた「お寺で きもだめし」の看板が話題に どんな内容なのか聞いてみた
これは思わず足を止める。
道端に設置された「お坊さんが本気で考えた お寺で きもだめし」という看板が話題を呼んでいます。なぜお寺が肝試しを企画したのか、また一体どんな内容なのかを取材しました。
みーや★(@NS944A)さんがTwitterに投稿したのは、大分県別府市にある「本願寺別府別院」が設置した看板で、7月30日に開催された「お寺で きもだめし」を告知するもの。投稿から1日で3万1000件以上の“いいね”を獲得しています。
ツイートには「本物のヒトダマや幽霊を呼んじゃいそう」「レベル100くらいの肝試しかもしれない」「取り憑かれてもちゃんとお祓い出来ますよーってこと?w」「どう見てもモノホンの幽霊が出る流れしか思い浮かばないww」など、お寺ならではの肝試しを期待する声が多数あがっています。
本願寺別府別院に聞く、“肝試し”開催の狙い
それにしても気になるのはなぜお寺が肝試しをやっているのか。編集部が取材を申込んだところ、本願寺別府別院の担当者が快く応じてくれました。
――早速ですが、なぜお寺で肝試しをやろうと思いついたのでしょうか
本願寺別府別院:近年核家族化などで自宅にお仏壇がなかったり、仏教に縁がないという方も増えてきています。そういった方たちにもお寺はもっと身近な存在だと知っていただきたくて、企画いたしました。
――お寺というとどうしても厳かなイメージがあるのですが、肝試しをやってしまっても大丈夫なものなのでしょうか
本願寺別府別院:最近はお寺には「人が亡くなったら行く場所」というイメージを抱く方も多いのですが、お寺というのはもともと仏教の教えを広めるための場所で、いつでも、どなたさまにでも気軽に来ていただける場所です。ですから、どういう手段・方法を取ったとしても結果的に仏教の教えを広めることができれば良いと考えています。
――そういうことなんですね。肝試し自体はどういった内容なのでしょうか
本願寺別府別院:仏教には「地獄(じごく)」「餓鬼(がき)」「畜生(ちくしょう)」と呼ばれる「三悪道」という世界があります。地獄は怒り、餓鬼はむさぼり、畜生はおろかさなどを意味しているのですが、この世界観をお堂の中で表現しています。
――例えば“おばけ”などはでたりするのでしょうか
本願寺別府別院:はじめに通る「畜生道」には真実が見えず迷っている化け物、続いて通る「餓鬼道」には地面を這うもの、最後に通る「地獄道」では鬼が参加者を待ち受けています。これらは実は人間の内面をイメージしており、肝試しを通して「一番恐ろしいのは人間の本性」、つまり煩悩欲望であることを表現しています。恐ろしいおばけというのは人には見せられない自分自身の姿を表しているということですね。最後には鬼が参加者に「本当にこのままで良いのか」と問いかけつつ説教をし、仏様の待つ極楽浄土に移動していただきます。
――極楽浄土の間では何が起きるのでしょうか
本願寺別府別院:ここには仏様がおられまして、僧侶と一緒に合掌していただくことで、仏様への帰依を示しつつ、きもだめしは終了となります。
――ちなみに入場料などはどうなっていたのでしょうか
本願寺別府別院:おさい銭のシステムなので、特に決まった金額はありません。皆さんのお気持ちでとお願いしております。
――きもだめし開催の反響はいかがでしたでしょうか
本願寺別府別院:とても好評をいただいております。昨年に続き2回目の開催となりましたが、今年もたくさんの方にお越しいただけてうれしい悲鳴を上げております。
また開催日を年1回(1日)から延長してほしいとの声も多くあるとのことですが、いわゆる“中の人”は全てお坊さんであることなどから、急な不幸が遭った場合などの対応も考えねばならず、なかなか難しいとのことでした。
お坊さんならではの解釈で人気を博している肝試し。もし機会があれば行ってみたいですね。
(Kikka)
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