完全に見た目がジョッキビール! ビールすぎて頭がヘンになるラーメン「ビール麺」誕生の理由は
味もビールというこだわりよう。
麺とスープをビールジョッキになみなみと注いだ「ビール麺」がSNSをにぎわせています。東京・板橋の「麺屋はちどり」さんが夏季限定で提供しているメニューで、ジョッキの中に麺が飛び込んだ、見た目にはギョッとするような冷やしラーメンです。
ラーメンシーンに風穴を開けた、そんな「ビール麺」を実際に食べてきました。
麺屋はちどりさんは都営三田線の板橋区役所前駅から徒歩3分。道幅が広く歩きやすい旧中山道の不動通り商店街にあります。シックな佇まいで落ち着けそう。
オシャレな店内で、お一人の女性客もいるほど。そんな老若男女が入りやすいお店ですが、壁やメニューから「ぼくのビール麺」という、ただものではない商品名が発見できます。
衝撃の着丼
もちろん注文したのは「ぼくのビール麺」。トッピングを3つまで選べたので、チャーシュー、海苔、味玉をチョイス。そして……運命の着丼。
うおおお! なんだコレ! ホントにビールみたいなスープに、麺がたくさん入っていて、頭で考えていたよりもさらに衝撃。しかも、大ジョッキに入っていて高さがあるから、いっそう迫力があります。箸袋もビールに合わせてあって芸が細かい。
店員さんによると、オススメの食べ方は特になく、好きなように食べてほしいとのこと。ならば……! 少しの間考えるも、やはり正攻法で泡を突き破って麺を持ち上げることに!
泡の下から麺が姿を見せる! これぞホントの新感覚。あまりにもクリーミーすぎる泡を、麺が通り抜ける感覚が気持ちいいです。
そしていざ麺をすすってみると……かつおだしに加え、すだち・かぼすの柑橘系の味が効いています。さらに企業秘密の「苦味と酸味を出すもの」が加わっており……ちょっと、ホントにビールみたいな味がする!
続いては、具材を投入。ビールジョッキに海苔や味玉などのラーメンでおなじみの具たちを入れるのは抵抗がありますが、食べてみるとちゃんとおいしい。頭の中が軽くパニックになりますが、それさえも楽しく思えます。
ただ正直……コレ、ちょっと食べにくいです(笑)。ジョッキの口部分が高すぎて、身長167cmの筆者だと、「座った状態で背伸び」をして食べる感じ。しかも、ジョッキの奥から麺を取り出すのは一苦労。ただお店側もそれは織り込み済みで、できる限り長い割り箸を用意しています。若干の食べづらさはあるものの、楽しんで食べてほしいとのこと。
ちょっと苦労して食べるからこそ、おいしい。カニをどうにか手でさばいて食べるような感覚に似ています。さらにビールのジョッキなので、かさが減っていくのが見た目に分かりやすく、「ここまで食べたぞ!」という妙な達成感も得られます。
しかし、ここで緊急事態発生。ジョッキにスープが残っていることで、底に沈んだ味玉の捜索が困難に。さらに麺も取り出しにくくなってしまいました。……打開策はコレ!
単純明快、ホントのビールみたいにスープを飲めば良い! ゴクゴクと飲み干すと、いくぶんスープが取り除かれた底から麺と玉子が見つかりました。それを食べ……さらにゴクゴクと飲んで……。
「完食!」しかもビールジョッキの形なので、「完飲!」したような快感も同時にあり、2倍の達成感を味わえました。ビールに寄せた苦味と酸味が全面に出た風味は、夏に合いそうな爽やかさでした。
ホントは「子供向け」だった
衝撃のメニューの生みの親、店主の市川博之さんにお話を伺います。そもそもなぜこのメニューを考案したのですか?
「ビールが好きで、大ジョッキで何か出来ないか……と思っていたときにエスプーマ(液体を泡にする機械)を見つけて、ビールみたいなラーメンができるんじゃないか? と思って。あと『ぼくのビール麺』という名前は、ビール禁止の子供でも食べられるラーメンを作りたくて。実は子供向けだったんですよ」(市川さん)
「ぼくのビール麺」を食べた子供たちは、一様にテンション高く喜んでくれるそうです。
「実は去年も期間限定で出していたのですが、あまり話題にならなくて……でも今年はぜんぜん反応が違いますね。1日6食限定ですが、土日は売り切れます」(市川さん)
ビールの泡と黄色い部分の比率は、本物さながらに3:7にこだわっているそう。さらに麺は140g、スープは300mlと、実はレギュラーサイズの量だとか。なお「大盛り」や「炭酸を強めに」や「色を黄色く」などのオーダーは受け付けていないので注意。
中には、本物のビールと一緒に「ダブルビール」を楽しむ人までいるそうです。
この「ぼくのビール麺」は8月3日〜27日まで提供予定ですが、もし反響が大きければ期間延長の可能性もあるとか。1日6食限定なのでご注意ください。
(辰井裕紀)
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