「ゲームのエンディング」の持つ意味が変わった? “終わらないゲーム”の時代に思うこと
めでたしめでたし……の時代ではなくなった。
あなたが最近、「ゲームのエンディング」を見たのはいつのことでしょうか? 長年ゲームにハマり続けており、今でも時間を見つけてはプレイしている筆者ですが、ここ数年はエンディングを見る機会が減っているように思います。
今回は、ゲームの変遷と、それに伴って変わってきたように感じる「エンディングの価値」について考えてみました。
アップデートされ続けるゲームの増加
インターネット以前、家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機で遊ぶときは、完成したパッケージのゲームソフトを買ってきて本体に挿して遊ぶというのがほとんどでした。「一度買ったゲームは中身が変わらない」というのが当たり前だったわけです。
一方で現在では、ネット経由でのゲームそのもののアップデートや、いわゆるDLC(ダウンロードコンテンツ)によって、一度発売されたゲームに新要素が追加されることは珍しくなくなりました。新たなステージやキャラクター、アイテムなどが追加されることでゲーム内世界が拡張し、それまでのエンディングの“先”が用意されるようなケースもあります。
こうした状況では、従来のように「一区切りとしてのエンディング」の意味合いは薄れ、相対的にエンディングの持つ価値が低下してきているのではないか? という仮説です。
「大きいエンディング」から「小さいエンディング」へ
スマートフォンを利用した移動時間の合間に遊べる「ソーシャルゲーム」の登場と流行も、エンディングの価値を変えた傾向を強めているように感じます。
従来の大作RPGなどに代表されるように、「一本道のストーリーをなぞって最後に大団円のエンディングにたどりつく」という構造ではなく、ゲームの途中で小さなイベント(クエストとも)をこなし、その都度報酬を受け取るという形式が、ソーシャルゲームでは多く取り入れられています。
SNSでも「イベントを走る」といった言い方をしている人が多いように、イベントをやり通す事がその人にとってのゲームのゴール(エンディング)に近いものになっているのかもしれません。
「オープンワールド型」ゲームも増えてきた
また、近年では「オープンワールド」と呼ばれる世界の隅々まで自由に行き来できるようなゲームも増えてきています。
例えば、2009年に登場した「Minecraft」というサンドボックスゲームがあります。ワールドに登場する全ての土地が立方体の“ブロック”でできていて、プレーヤーは木からツールを作って、洞穴を掘ったり、建物を建てたり、世界を探索したり、自由な遊び方ができるという事で、子どもから大人まで受け入れられている作品です。
2017年3月に登場した、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」はゼルダの伝説シリーズの最新作です。主人公のリンクが、魔王のガノンを倒すため、ハイラル王国を冒険するという内容ですが、オープンワールドを採用したことでさまざまな攻略方法が登場し、高い自由度を持つRPGゲームとして話題を呼びました。
ゲームのストーリーを通して、エンディングを迎え、その後を楽しむというRPGゲームだけではなく、ゲーム内に用意された多様な要素に触れて世界観を楽しめるようなタイトルが増えていることも、「エンディング」という要素の価値を動かす要因になっているのではないでしょうか。
魔王を倒しても終わらない世界
上記に挙げたようなタイトル以外の、いわゆる「王道のRPG」においても、エンディングの持つ意味は変容してきているように思います。やり込み要素などを充実させたゲームが増えたことで、「クリアしてからの楽しみ」が大きな比重を占めるようになってきているためです。中には、「エンディングを迎えて、ようやく半分」といったゲームも少なくありません。
また、ネット上ではたびたび「ラスボスの手前でゲームをやめてしまう病」が“ゲーマーあるある”として語られますが、これなどはまさに、「終わりのあるゲーム」と「終わらないゲーム」の過渡期から見られるようになった現象なのかもしれません。「まだこの世界にひたっていたい」という気持ちと、脇道に反れる要素の多さが、エンディング前でプレイをストップさせる一因になっていたようにも思います。
ラスボスの大魔王を倒して世界は救われ、勇者は姫と結婚してめでたしめでたし……というような「ベタベタなゲームのエンディング」は、既に過去のものとなってしまったのでしょうか。ゲームのエンディング問題、あなたはどう考えますか?
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