コラム
» 2017年10月01日 11時00分 UPDATE

「罰金3万円」という駐車場の看板、法的な根拠はあるの?

弁護士の見解は。

[高橋ホイコ,ねとらぼ]

 個人や事業者の駐車場で「15分以上無断駐車すると罰金3万円」などという看板を見かけますが、無断駐車した場合、実際に支払わなくてはいけないのでしょうか?

 国民生活センターが発行する消費者問題の専門情報誌「ウェブ版 国民生活」上に、山村行弘弁護士の見解が示されています。


 「罰金」とは、刑罰の一種。罰金に限らず刑罰は、国家が科すものなので、一般国民が刑罰を科す権限はありません。したがって「罰金3万円」という看板には法的根拠はありません。

罰金の説明図 罰金は一般国民は科す権限がないので、看板には法的根拠はない

 ただ、無断駐車は他人の土地を勝手に占有する行為なので、不法行為(民法709条)が成立する可能性があります。不法行為が成立する場合、損害賠償請求ができます。

民法709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

不法行為を説明した図 無断駐車という不法行為に対して損害賠償請求ができる

 では、この場合「3万円」という金額を損害として請求できるのでしょうか? 不法行為で認められる「損害」とは、一般的に不法行為があった場合となかった場合との利益状態の差を金銭で表示したものと考えられています。

 例えば、1時間500円の有料駐車場に1時間無断駐車された場合、この無断駐車がなければ、500円の利益が得られていたはずなので、500円が損害ということになります。飲食店で考えれば、無断駐車がなければ、そこに駐車する客が飲食できたはずなので、無断駐車時間に応じた客単価が損害に相当すると考えられるでしょう。

請求できる損害を説明した図 請求できる「損害」はそこまで高額にならないだろう

 このように考えると、無断駐車で発生する損害額はいずれも少額で、15分で3万円になることは考えにくいでしょう。

 また、民法420条には「損害額の予定」ができることが定められています。

民法420条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

 「損害額の予定」とは、契約違反の場合の違約金額を当事者間であらかじめ定めることです。この看板も「損害額の予定」と同じように考えれば、看板に記載された金額を請求できるようにも思えます。

 しかし、この「損害額の予定」は、あくまで契約当事者間の合意で定められるものです。看板の設置者と無断駐車した人との間に合意が成立していなければなりません。また、金額が不当に高ければ、公序良俗違反にもなるでしょう。

 このように、本件のような看板があったとしても、その通りの金額を支払わなければならない可能性は極めて低いものといえます。

結論の画像 罰金を支払わなくてはいけない可能性は低そう

 この見解によれば、看板で表示された金額の罰金を払わなければいけない可能性は低そうですが、そもそも無断駐車は店にとっては迷惑な行為。慎んだほうが良いでしょう。

高橋ホイコ

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