駅弁「峠の釜めし」が陶器ではなくなる? 益子焼から「紙容器へリニューアル」発表で誤解
実際には益子焼、紙製容器の並行販売。
益子焼の土釜を使用した容器で知られる駅弁「峠の釜めし」が「紙容器へリニューアル」したと発表され、ファンのあいだで「残念」「釜飯らしさがなくなる」と悲しみの声があがっています。
しかし、製造、販売を行う荻野屋(群馬県)に取材したところ、これは「益子焼を使用した同商品が消える」という意味ではなく、今後も益子焼を使った「峠の釜めし」の製造は続けていくとのこと。
東日本の駅弁を集め、グランプリを競う「駅弁味の陣2017」のFacebookページに10月11日ごろ、同イベントに参加する「峠の釜めし」の紹介が。「容器が重いとの声に耳を傾け、益子焼から紙容器へリニューアル」という説明とともに、釜の形状を模したパルプモールド容器を使用した同商品の画像が掲載されました。
これを「益子焼を使用した従来品が製造停止になった」と捉え、「益子焼の釜があってこその『峠の釜めし』」「むしろ、ずっしり感のある重さが良かった」と惜しむ人が続出。陶器を採用したことで、温かいまま食べられる革新的な駅弁として1950年代に誕生して以来、50年超にわたって愛されつづけた「峠の釜めし」らしさを捨てないでほしいという声が寄せられました。
ですが、荻野屋に伺ったところ、これは誤解。実際には益子焼容器、パルプモールド容器の2種が並行して製造されているとのこと。「駅弁味の陣2017」に出品されるのが、パルプモールド容器だけであることなどもあり、発表内容が意図とは異なる意味に受け取られてしまったのかもしれません。
ちなみに、「峠の釜めし」のパルプモールド容器は以前から存在しており、2013年にはグッドデザイン賞を受賞。軽量で持ち運びやすい駅弁を求める消費者の声に応えつつも、同弁当らしさを残した点が「駅弁の食文化を未来につないでいく良質なリニューアル」だったと評価されています。
また、原料にサトウキビの搾りかすを使用したり、売上の一部を寄付したりすることで、環境保全にも配慮しているとのこと。長年のファンにとっては見慣れない外見かもしれませんが、パルプモールド容器もなかなかステキなのでは?
(マッハ・キショ松)
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