ニュース
» 2017年12月01日 11時00分 公開

え!? 電車やバスの運転士さんって「あいさつ返し」しちゃだめなの? 本当のところを確かめてみた (2/2)

[杉山淳一,ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

JR東日本:乗務員は安全上問題なく業務に支障しない範囲であれば、明確に禁止はしていない

 「乗務員同士のすれ違い時の挙手や礼について、弊社では規程などで禁止はしておりません。ただ、運転士については駅進入時などブレーキを扱っているときの挙手(そもそも、ハンドルから手を放すこと)は禁止しております」

 「また、車掌についても、駅到着時や発車時は列車やホームのお客さまの状態を確認することに専念するよう指導しております」

 「それ以外については、安全上問題なく業務に支障のない範囲であれば、明確に禁止はしておりません」

 JR東日本では、全面的に規則で禁止しているわけではないようです。しかし、ブレーキから手を離してはいけない場面では禁止。また、顧客の安全を最優先する場面では業務に集中するように指導しているとのこと。挙手だけではなく、業務以外の仕草はダメ。でも、安全で業務に支障がなければ明確に禁止はしていません。運転士さんは無理っぽいですが、車掌さんや駅員さんがお子さんに手を振る程度のことは問題なさそうです。

西武鉄道:乗務員の運転基本姿勢を定めており、不用意に姿勢を崩さないように定めている

 「運転士、車掌同士がすれ違い時に挨拶する習慣は、安全の観点からございません」

 「服務規程ではありませんが、乗務員の運転基本姿勢を定めている規程があります。不用意に姿勢を崩さないように定めております」

 西武鉄道は、かなりカッチリとした印象です。規則はなく、安全の観点から習慣がないという回答から分かるように、乗務員1人1人の安全面に対する自覚ができているということでしょう。西武鉄道に限らず、規則で禁止していない会社は「社員の安全意識が高いから規則は不要」といえそうです。

バスでは明確に禁止されている場合がある

 一方、バスでは規約で明確に禁止されているようです。

 例えば、横浜市営バスを運営する横浜市交通局の「自動車乗務員服務規程」によると、「第17条 乗務員は、次に掲げる行為をしてはならない」とする項目の20番目に「運行中に乗務員同士で挙手を行うこと」があります。このほかに「乗客その他から贈物を受けること」「車外の遺失物を拾うこと」などもあり、かなり厳格です。もっとも、ドライバーがむやみにハンドルから手を離す行為は、道路交通法の「安全運転義務違反」に問われる場合があります。

 鉄道の場合は車両が進路を逸脱しませんし、自動列車停止装置などの安全システムがあります。それに比べるとバスの手放し運転は乗客を不安にさせることもありそうです。規則で禁止という事情も理解できます。法令順守、コンプライアンスの問題でもあります。

まとめ:鉄道は車掌さんや係員さんならば「手を振ってくれることもある」 バスの運転士さんは「安全のために、原則はできない」

 まとめると、鉄道では、運転士同士で乗務中の挨拶はせず、また「走行時にマスコンから手を離してはならない」などの決まりがある。車掌さんや係員さんならば、安全上問題なく業務に支障のない範囲であれば、沿線で応援してくれるお子さまやファンに手を振ってくれることもある。バスの運転士さんは、原則はできない。となります。

 よいこの皆さん、安心してください。優しい車掌さんなら手を振って応えてくれるかも。でも、振り返してもらえなくてもガッカリしないでください。嫌われたわけではありません。みんなの安全のために、他にやることがあったのです。また、鉄道会社によっては規則で禁止されている場合もあります。──保護者の方はそのように説明してあげてくださいね。

 ところで、鉄道の旅では、乗客と沿線の人々とで挨拶しあうのも楽しく、心温まります。SL列車や観光列車では、そんな体験も思い出の1つです。よい子の皆さん、電車に乗ったら外にも手を振って挨拶してみませんか。

photo JR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」の車窓から。沿線の民家沿線の民家のワンコが手(前足?)を振リ返してくれました

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ねとらぼに「いいね!」しよう