なぜ台湾人はハム太郎ソングでとっとこ走り回ったのか アニソンDJ界の流行「ハム太郎コール」、ルーツを探る(1/3 ページ)

「ハム太郎とっとこうた」に合わせて台湾人が輪を作って走り回った動画が話題に。あの瞬間が生まれたのは、偶然だけではなかった。

» 2018年01月01日 19時00分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 「とっとこ〜走るよハム太郎♪ すみっこ〜走るよハム太郎♪」の歌詞でおなじみ、2000年代アニメ「とっとこハム太郎」のオープニング曲「ハム太郎とっとこうた」。こちらを台湾のアニメソング専門DJイベントで流したところ、100人近くの台湾人がダンスフロアをぐるぐる走り回り続けた動画が2017年11月末にTwitterを駆け巡った。

 フロア客のほとんどは成人男性。大きな輪を作りながら片腕や両腕を挙げて、重低音の打ち込みビートにあわせてぴょんぴょん跳ねるようにして走り続ける。「大好きなのはひまわり種」とハム太郎が歌うと、「「「俺もー!」」」と一斉にコールする。かわいらしい曲調に対してすさまじいカオスっぷりだが、とにかくみんな楽しそうだ。

 参加スタッフが「とっとこハム太郎を流した時の台湾の方々の反応をご覧ください」とTwitterに動画を投じたところ、「台湾でなぜこんなにハム太郎で盛り上がるの!?」という驚きとともに、「平和な世界」「俺もこの中混ざりたいw」とその幸せそうな空間をうらやましがる人が続出。約12万回もリツイートされた。

 実はこの「ハム太郎とっとこうた」で周回してコールする行為は、2017年7月から日本のアニソンDJ界で徐々に広がり、秋ごろから流行しているものだ。年末のイベントでも各地で発生している様子が確認できる。

 曲が発売されたのは2000年――どうして今になってアニソンDJ界で盛り上がっているのか、そこからなぜ台湾人もハム太郎でとっとこ走る瞬間が生まれたのか。流行が始まった瞬間を知るアニソンDJ・いまのさん(@hayato0821)と、台湾のイベントで曲をかけた張本人・DJちっぺさん(@chip_Pe)に、熱狂のルーツを取材した。

ハム太郎 コール アニソン DJ 台湾人 回る とっとこ 走る 動画 MIX 「とっとこハム太郎 ベストソングコレクション」(日本コロムビア)

ハム太郎コールはどうして生まれたか

 いまのさんによると、アニソンDJ界ではこの行為にこれといった名称はついておらず、言っているとしても「とっとこハム太郎のコール」ぐらいだという。以下、「ハム太郎コール」と称したい。

 ハム太郎コールには厳格なルールはないが、基本的にみんな次のような行動をとる。

  • みんなで大きな輪を作りながらぐるぐる走り続ける。
  • 歌詞「大好きなのはひまわりの種」の後に、「俺もー!」と叫ぶ。
  • 間奏部分で、アイドルライブの定番MIX(掛け声)である「タイガー、ファイヤー、サイバー、ファイバー、ダイバー、バイバー、ジャージャー!」を叫ぶ。

 後は輪の中央のスペースや脇でオタ芸をしたりと、自由にしている。別にアニソンDJイベントで「ハム太郎とっとこうた」が流れたら上記の行為をしなくてはいけないわけではなく、ただの流行であることをあらかじめ念押ししておきたい。

 このハム太郎コールの流行の始まりは、7月1・2日にお台場潮風公園で開催されたアニメ×ダンスミュージックの野外DJフェス「Re:animation」の第10回公演だったといまのさんは推測する。

 「DJは特に深い意味はなく、『全員が知っているから』程度の感じで『ハム太郎とっとこうた』を流したんだと思います。すると2、3人が突然走り回り出して、周辺の人がそれに群がっていって、例の絵が完成していました」

ハム太郎 コール アニソン DJ 台湾人 回る とっとこ 走る 動画 MIX とっとこ走り出したアニソンファンたちの様子(画像提供:@super_readerさん)

 当時の様子を収めた動画が残っている。ハム太郎の曲が流れる野外の芝生の上を、70、80人ほどの男の子や女の子たちが輪を作って走り、「俺もー!」と叫ぶ。間奏でのMIXは数人程度しかしていないようだが、あのハム太郎コールがすでに出来上がっている。

 参加していたTwitterユーザー・すぱりださん(@super_reader)がこの動画を7月2日にTwitterで「とっとこハム太郎に合わせてみんなで走ってんのホントクッソ面白いんだけどwwwww」と投稿すると、3万回以上リツイートされるなど話題に。さらにYouTubeに転載されるなどして、「ハム太郎で大人たちが走り回ってコールするおもしろ動画」としてまたたくまに広がっていった。

ハム太郎 コール アニソン DJ 台湾人 回る とっとこ 走る 動画 MIX 楽しそう……

 「Re:animation」第10回以外のアニソンDJイベントでハム太郎コールが起こっている動画は、すぱりださんの動画がバズる以前ではまったく見つからないが、以降ではTwitterやYouTubeで10本近く確認できる。小規模なイベントから、横浜アリーナを使った大規模イベント「ANIMAX MUSIX」まで、あちこちでハム太郎がかかりハム太郎コールが発生しているようだ。

興味深いのは「すーぱーあにおん」におけるハム太郎ビフォーアフター。こちらは流行前の4月。みんなその場でオタ芸を披露する感じだ
そしてこちらが10月。ぐるぐる走るようになっている
ハム太郎 コール アニソン DJ 台湾人 回る とっとこ 走る 動画 MIXハム太郎 コール アニソン DJ 台湾人 回る とっとこ 走る 動画 MIX 同じイベントで「ハム太郎とっとこうた」がかかった現場なのに、流行前と後で全然違う

 この前にどこかでハム太郎コールは起こっていたのかもしれないが、同イベントとすぱりださんの動画が流行の火付け役となったのは間違いない。いまのさんも、「よく半年でここまで有名になったな〜って言うのが率直な感想です。話題の動画の中に自分も写り込んでますが、TwitterやらYouTubeやらでここまで拡散されるとは思いませんでした」と驚いていた。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. /nl/articles/2412/01/news031.jpg 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. /nl/articles/2412/03/news082.jpg 「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
  4. /nl/articles/2412/03/news111.jpg 才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
  5. /nl/articles/2412/02/news009.jpg 【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
  6. /nl/articles/2412/05/news006.jpg 「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
  7. /nl/articles/2412/03/news148.jpg 武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
  8. /nl/articles/2412/03/news092.jpg 大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
  9. /nl/articles/2412/03/news055.jpg ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
  10. /nl/articles/2412/03/news034.jpg 古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」