セーラー服おじさんや犬面人が大爆走 英国製“なんちゃってジャパン”的ゲーム「Nippon Marathon」が不思議と魅力的

奇っ怪なビジュアルの割には作り込まれていて、アップデート次第で化けそうな予感。

» 2018年02月19日 14時56分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 英国の開発会社「Onion Soup Interactive」によるパーティゲーム「Nippon Marathon」が、Steamに登場しました(価格は1010円、2月23日までは858円)。間違った日本観や異様なキャラクター、ドギツい色彩に満ちたPVが公開されるやいなや、ネットの一部では「熱に浮かされたときに見る悪夢みたい」などと、あながち言い過ぎでもない反響が。ほとばしるバカゲー臭に魅せられて、筆者もさっそく遊んでみました。


PVこそ目がチカチカする仕上がりですが、ゲーム中はそこまででもないのでご安心を

デモ 「日本」でも「マラソン」でもないように見えますが、だいたいあってるはず

 基本的には最大4人で競えるレースゲーム。「エビの着ぐるみを着た青年」「フードにユニコーンのようなツノが付いたジャージ姿の少女」「セーラー服おじさん」「スタイリッシュな犬面人」という、コンセプトに脈絡のない選手たちが町を走って競います。


選手 左から順に、J.ダーウィン、エリザベス西堀、スヌグル・マエストロ、ゼンベイ。節度のない個性に満ちあふれたランナーたち。

 コースは“一応”現代日本がモデルになっていますが、「天秤棒をかついだ魚売り」や「修行僧が修行に勤しむ少林寺風寺院」も登場するカオスな世界。現時点では琵琶湖付近の「Kawa River Run」、京都風の「Mura Temple Village」、大阪らしき都市「Kawasemi」が舞台の「Super Ichiba Sweep」と「Kawasemi City Sight」の4種類が選べます。「川リバー」や「スーパー市場」といった、サハラ砂漠やサルサソースのようなネーミングがたまりません。


ステージ 現状で見えるステージ数は8。現バージョンでは近畿圏の4ステージだけ遊べます

魚売り

少林寺 基本的には日本っぽいのですが、ときどき江戸時代や中国など他の世界観が混ざります

 エントリーを済ませたら、妙に発音の良い外国人ナレーターの「3、2、1、始め!」でレーススタート。ジャンプと「しゃがみ」、高所から長距離を飛び降りれる「ダイブ」といったアクションを使い分け、障害物をかき分けてゴールを目指します。道中で拾ったフルーツを使い、スピードアップやライバルの妨害をすることも可能。例えばスイカを使うと、有名な赤いこうらよりも正確に先行者へ飛んで行きます。


ALT カウントダウンの言葉が「ベギン」「勇敢な」「走る」「行く」、スタートラインには「Ready」の意味であろう「取り掛かる」と、謎の日本語が応酬されるスタート

障害物 障害物を飛び越えたりくぐったりして切り抜ける

観覧車 観覧車へ一気にダイブ

フルーツ フルーツは食べて加速したりライバルに投げたりできます。なかには食べちゃダメな毒キノコも

 「鉄骨を肩にかついでブンブン振り返る作業員」「いち早く乗った者だけが先に進める片道運行のエレベーター」など、コース内の仕掛けはバラエティ豊富。ランナーが近づくとまとわりついてくる柴犬やサンドイッチマンなど、あの手この手でランナーを妨害します。さらに、ゲーム全体に用いられた物理演算が、ちょっと壁にぶつかっただけで川に落ちたり、障害物にはさまれて一切動けなくなったりといったハプニングをもたらすので油断なりません。


作業員 ドリフの大工コントのように襲いかかる鉄骨

エレベーター 乗り遅れると死につながるエレベーター

柴犬 一斉にじゃれてくる柴犬。かわいいけどものすごくジャマです

激突 勢い余って壁にぶつかると……

落下 反動でガケから落下。雲の上から釣り上げてくれるような都合の良い存在はないので、コースアウトは事実上の負けとなります

 そんなカオスを経て、先頭ランナーが後続から一定の距離を先行すると、ポイント(★)が加算。レースは少し前の地点から仕切り直しとなり、次のラウンドが始まります。ランナーが僅差で競り合い続けていると、メテオのごとくスイカが降ってきて両者を襲う、サドンデス的な仕掛けもあってアツい。


勝者 ラウンドの勝者は「あなたは素晴らしいです」とたたえられます

メロン デッドヒートをくり広げていると、「メロン」「すぐに」「死」と、不穏な警告が

メテオ 高速かつ正確に飛んでくるスイカを、いかに避けるかの勝負に

 ラウンドの開始時に、ランダムでミニゲームが始まるパーティゲームらしい要素も。スロットマシンの出目次第でフルーツや柴犬が降ってきて選手たちに有利・不利をもたらします。もっとも、全てがスタート位置へいっぺんに殺到するので、結局全員が酷い目に遭うことがほとんどなのですが。


やめる ラウンド開始と思ったら、突然「やめる!」宣言

スロット なぜか始動するスロットマシン

結果 有利なアイテムも災厄も同じ場所に降ってくるので、結局全員グダグダになります

 また、レポーターが「Kawasemi Cityでの初デートでカップルがしたいことは?」などと、コースにちなんだ質問をしてくるミニゲームも。いくつかの文節を選んで文を完成し、回答が群衆から共感を得られれば「人気ポイント」が得られます。ただし、選択は早い者勝ちなので思うように選べず、たいてい「レトロゲームで串に刺さったJari(砂利?)を買う」といった意味不明な文ができあがります。ちなみに、ここでの正解と思われる文は「串カツを食べてからDENDEN Townに行く」。日本橋でんでんタウンをフィーチャーしているあたり、本当は日本にくわしいであろう開発者が、嬉々として「わざと勘違いした日本観」を構築している姿が目に浮かびます。


レポーター 「決定」と表示され何事かと思ったらレポーターが飛来

回答 質問に対し適切と思われる文節を素早く選んで文を作成。誰かが選んだ文節は選択できません

結果 「どっか行ってでんでんタウンを巡る」という文を作り、好評を得るセーラー服おじさん

 何度かのラウンドを続け、全員がゴール地点にたどり着くとレースは終了。そのときの着順や最終的な★の数、人気ポイントなどから換算された総合得点が勝敗を決定します。得点に大きくは影響しませんが、「最もスイカを投げた人」「一番柴犬になつかれた人」などへの表彰もあって、場を盛り上げるのに一役買ってくれそうです。


表彰 表彰されるのは、主に各フルーツを多く使った人。「SMELLIEST PLAYER(一番くさいで賞)」は、何が基準で決まるのかいまいち分かりませんでした

 同作は「早期アクセスゲーム」としてリリースされた未完成品で、現時点で遊べるのはフリー対戦モードのみ(通信対戦なし)。完成のめどは2018年秋ごろで、キャラクターやコース、ストーリーモードなどの追加や、日本語への対応といったアップデートが予定されています。英任天堂の公式TwitterからNintendo Switch版のリリースも告知されていて、マジかと笑うほかない。


 ツッコミどころの多いゲームではありますが、仕掛けの多彩さや不条理な演出には光るものがあり、アップデート次第でもっと面白くなる予感。完成版は品質の向上に合わせて値上げすると告知されているので、今のうちに買っておいても損はしないかもしれません(得をするとは言ってない)。


(沓澤真二)


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