高速道路をかっ飛ばすギンギラギン 日本で「トゥクトゥク」に乗りたい! 欲しくなったので調べてみた
ヤダ……高速道路を走るトゥクトゥクって、なんてエキゾチックでカッコイイの……。
「車のような、バイクのような、ヨクワカンナイ謎の乗りものが高速道路をかっ飛ばしてた!」
そんな目撃談を聞き、調べてみると本当でした。
これは……「トゥクトゥク」! 窓もドアもない爽快スタイルとギンギラギンのド派手ボディー。レトロ感満載の車体で、タイ全土で広く普及している三輪タクシーです。
「えっ? でもちょっと待って。トゥクトゥクって高速道路を走れるの? というか、そもそも日本にあるの?」
「ヤダ……高速道路を走るトゥクトゥクって、なんてエキゾチックでカッコイイの……」
何でしょう、異国の危険な香りのするナイスな人に一目惚れしてしまったようなこの気持ち。早速、日本でトゥクトゥクが買えるのか。どうすれば乗れるのかを調べました。
トゥクトゥクって何? トゥクトゥクと日本の意外な関係
トゥクトゥクは、東南アジアから南アジア、南欧の一部で普及している三輪自動車タクシーの、タイにおける呼称です。国によっては「リクシャー」や「バジャイ」などとも呼ばれます。ちなみにリクシャーの語源は日本の「人力車」から来ているそうです。
実は、このトゥクトゥクと日本には深い関係がありました。
1957年から1972年まで、ダイハツ工業が「ミゼット」という軽自動車規格の商用三輪自動車を生産していました。後ろに荷台がある現在の軽トラックと同じ役割を担い、「オート三輪」などとも呼ばれていました。このミゼットが海外へ渡り、現地のニーズに合わせてカスタマイズされた結果、庶民の身近な交通機関として活躍することになったのです。
2018年現在は、日本で廃車になったミゼットが輸出され、改造されてトゥクトゥクに生まれ変わったものから、ミゼットに似たタイ製の車両に日本の軽トラック用エンジンなどを搭載したものまで、多くの車両がバンコクを中心にタイ全土を走っています。その改造や修理にもダイハツ製の部品がよく使われるそうです。トゥクトゥクは日本と深い縁がある乗りものなのですね。
ちなみに古い車体が多く、タクシーとして街中を走るトゥクトゥクは、排気ガスによる環境問題も指摘されています。環境のため、タイ政府は2022年までにトゥクトゥクを全てEV(電気自動車)にする計画を打ち出しています。
ともあれ、日本ではどこで売っているのでしょう。そもそも日本でも乗れるのでしょうか。あの高速道路で見かけたトゥクトゥクは何だったのでしょうか。トゥクトゥクに詳しい、愛知県のトゥクトゥク専門ディーラー「ニューズ」の山形孝君社長に話を聞きました。
ニューズさんはタイでトゥクトゥクのほとんどを再生するEXPERTISE社の国内正規ディーラー。現地のものをベースにエンジン、車体などを完全整備し、日本仕様として販売しています。外装はすべて現地車両と同じものの新品パーツを使用しており、日本への輸出から登録までを全て自社で行っているそうです。
── そもそもトゥクトゥクって日本でも乗れるのですか?
山形さん もちろん乗れます。日本仕様ならば高速道路も走れますよ。
── 三輪車ですが、免許は二輪? それとも四輪?
山形さん 日本の道路運送車両法では「側車付き二輪」に分類されます。「トライク(三輪バイク)」として登録しますが、道路交通法では「普通自動車」とみなされます。つまり運転には四輪の普通自動車免許が必要です。
── ちょっと複雑なのですね。では、オートマ限定免許でも乗れますか?
山形さん AT(オートマチックトランスミッション)仕様にもできますよ。人気は現地と同じMT(マニュアルトランスミッション)仕様ですが、ATもオプションとして用意しています。
── 日本でも本場のようにド派手に改造してもいいんでしょうか?
山形さん このあたりはクルマやオートバイのカスタマイズやデコトラなどの認識と一緒です。本場と同じように飾り付けるのはドレスアップの基本ですね。もちろん、それ以外のテーマで自分好みのドレスアップを図る人もいますし、マフラー交換やタイヤのインチアップなど、走りをよくするカスタマイズを施す人も多いです。
ただし、日本でタクシー営業はできません。
── そもそもトゥクトゥクはおいくらくらいするのですか?
山形さん 当社で販売している「トゥクトゥク スタンダードモデル“バンコク TAXIタイプ”(660cc/5速MT)」で、148万円(税別)からです。新規車検3年付きです。ロールバーやオーディオ、レインカバー、シートカバー、特別塗装などの、より「それらしく」するオプションも多数用意しています。
── そういえば何人乗りなのですか?
山形さん 660ccのバンコク TAXIタイプで、運転席1人、後席3人の4人乗りです。後席2列型で7人乗りの「SABAI(660cc)」というロングタイプもあります。このほかに「チェンマイ仕様」や四輪の「シーロー」などもありますよ。
── 維持費はどのくらいかかるのですか?
山形さん 車両価格以外の諸経費はバンコク TAXIタイプで、自賠責保険(36カ月分で1万4690円)、自動車重量税(5700円)、ナンバー代(520円)、陸送費(東京都の場合は5万4000円)。
また、改造費や整備費、駐車場、燃料費などのランニングコストは人それぞれですが、決まって掛かるコストは660ccのバンコクTAXIタイプで車検代と自動車税の年6000円くらい。税金のほか、任意保険も自動二輪車扱いのものになるので普通自動車より安価です。
── 納期はどれくらいかかるのでしょうか?
山形さん オプションが多かったり、フルオーダーするような特別仕様は半年以上お待ちいただくことはありますが、通常は3〜4カ月です。現地工場の受注状況などによって変わります。
── 日本のトゥクトゥクオーナーさんはどんな方が多いですか?
山形さん やはりタイへ行って、実際に乗って「目覚めてしまった」人がほとんどです。また最近はトゥクトゥクを使ったレンタカー業者さん(沖縄など)にも購入いただきました。
── なるほど、旅先でトゥクトゥクレンタカーという手段も。それは旅がもっと楽しくなりそう。最後にトゥクトゥクの魅力を1行で表すと?
山形さん 「圧倒的な解放感」。そして「とにかく目立つ」ことですね。
トゥクトゥクは、日本でも乗れます。一般的に販売されている普通自動車、軽自動車、オートバイと違い、免許、車両区分、税金、車検などに二輪か、四輪か、どちら側が適用されるかが行ったり来たりする、ちょっと分かりにくい面は若干あります。ここは信頼できる販売店を見つけて相談するとよさそうです。
ともあれ、ド派手で目立つ外見は100点満点。「目立ちたい人」「人とは違うものに乗りたい人」にピッタリです。
日本と縁がありつつも、異国情緒あふれる奥深い乗り物 トゥクトゥク。みなさんも1台いかがでしょうか?
画像提供:ニューズ、はせがわひでおのかばん/(株)H2(@hideo634)さん
(優)
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