マグネットボールの誤飲で幼児の内臓に穴があく事故 国民生活センターが販売者や行政に管理と指導を呼びかけ

磁力が強力なため、複数を誤飲した場合は体内で引き合って内臓を貫通するケースが。

» 2018年04月20日 14時53分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 玩具として販売されている「マグネットボール」について、国民生活センターが誤飲した際の危険性を呼びかけています。複数を誤飲した幼児の内臓に穴があく事故が2件報告されたとのこと。なお、マグネットボールは開腹手術などにより摘出されています。


マグネットボール マグネットボールの例。小さな磁石を組み合わせて立体を作るパズルとして販売されている

 当該製品は球形または立方体の小型磁石が200個ほど同梱されたもので、主に通販サイトで立体パズルとして販売されています。一般的なフェライト磁石の10倍以上の磁力を持つとされる、ネオジム磁石が使用されており、複数で手指を挟むと引き合って留まるほどに強力です。


使用例 手指を挟んだ留まるほどに、磁力は強力

 同センターに寄せられた1つの事例では、3歳児が5個を誤飲し、保護者が気付いて受診。2個が胃に、3個が腸に留まり、互いに引き合って壁を穿通(せんつう)していたといいます。1歳9カ月の幼児が誤飲したケースでは、小腸内3カ所に分散した全37個の磁石が引き合い、圧迫壊死(えし)を起こしていたとのこと。


事例 3歳児の事例。複数を飲み込んだ場合、胃と腸を挟んで磁石が引き合い、内臓を傷つける危険性がある

 報告を受けて、同センターは3月に事故品と類似製品を調査。ネット通販サイト32件の販売表示を確認したところ、大半は知育玩具を印象づける表示があり、30のサイトで子どもの誤飲などに関する注意表示がなかったとのことです。

 調査したサイトで販売されていた製品のうち、事故品と大きさや形状が類似していた7銘柄については詳細に検証。個々の大きさは直径3ミリか5ミリの球体、もしくは1辺5ミリの立方体で、複数個同時に誤飲する可能性が確認されました。


テスト対象 テスト対象の7製品と、比較用のフェライト磁石

 2個を近づける実験では、最短で約13ミリ、最長では約22ミリの距離でも引き合ってくっつくほど強い磁力が確認されました。複数個が連なった場合は、より強力となる結果も出ています。磁束指数の測定では、全テスト対象がST基準(※)の上限値をオーバー。全てのパッケージにSTマークはなく、製造者名や警告表示も記載されていなかったといいます。

※日本玩具協会が定めた玩具の安全基準

 同センターは検証結果を踏まえ、マグネットボールを誤飲した場合は体内に留まる危険性が高いとして、消費者に注意を喚起。販売者へは製品が子ども向けの玩具として販売されないよう管理を要請し、行政にはリスクの周知や指導を要望しています。

 事態を受けて、ヤフーはYahoo!ショッピングやヤフオク!におけるマグネットボールの取り扱いに関し、「誤飲の危険があるため、お子様には与えないでください」「小さなお子様の手に届かない場所に保管してください」といった注意文による対応を表明。また、Amazon.co.jpや楽天市場の商品ページでも、同様の注意文が確認されています。

画像は国民生活センターの資料より

(沓澤真二)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた