「鉄道会社は鉄ヲタを採用しない」という都市伝説は本当か 鉄オタ学生がガチ鉄道事業者と模擬面接に挑む(1/2 ページ)
ともあれ、みんなよくがんばったー。
鉄道ファンの夢。それは昔から愛する鉄道会社に勤務すること。しかし、世には「鉄道会社は鉄ヲタを採用しない」という都市伝説があります。
鉄道知識以外の常識を知らないと思われており、そのために鉄道会社は鉄道好きを敬遠するのだとか……。そんな伝説です。でもこれは本当でしょうか? それを検証しましょうという企画が、ニコニコ超会議2018「向谷実Produce!超鉄道ブース」の「学鉄×鉄道会社 公開模擬面接」です。
会場では、超鉄道ブースに出展した大井川鐵道、京阪電車、JR九州、静岡鉄道、東京メトロ、阪急電車、阪神電車の中の人が登場し、早稲田大学、中央大学、帝京大学の「学鉄」さん4人が「鉄道会社に入る!」ための模擬面接に挑みました。会場にも、同じく鉄道会社の就職を目指す学生が多く訪れました。
どれだけガチなのかというと、「内田クレペリン検査」をあらかじめ受け、その人の適性を計ることからスタートしています。クレペリン検査は鉄道事業者各社のほか、自衛隊などのさまざまな業種でも実際の選考で導入しているという性格検査・職業適性検査です。
今回は「スター誕生」のように、面接して「この人ならば採用する可能性がある人」に札を上げるシステムで行われました。
大学鉄道研究会の精鋭が模擬面接に挑む
1人目は早稲田大学鉄道研究会の児玉直毅さんが挑戦。1人に対して面接官が8人もいて、しかも大勢に公開されるという「究極の圧迫面接(笑)」(向谷さん)という状況のため、かなり緊張している様子です。「人生で一番緊張しています」と児玉さん。がんばれ。
児玉さんは中学生から鉄道研究会に所属。普段消費者として鉄道に乗ることから、鉄道を研究することで企業としての利益を上げるための企業努力について興味を持ったのだそうです。「将来鉄道会社を通じて“街作りに貢献したい”と思って志望しました」。
面接官からはさまざまな質問が飛び交います。「鉄道会社は利益を上げていると感じるか」「あなたが思うリーダー像とは」「あなたが考える交通事業者の地域作りとは」。緊張しながらも的確に答えていく児玉さんに感心する面接官。
鉄道研究会の人はOKなのかという向谷さんの問いに、JR九州の担当の方は「ぜひ来てほしいです」と即答。また「もう札を上げてもいいですかね」とも。かなりの好感触。「必死でした。いままで自分で得たこと感じていること、先輩などから見聞きしたことをフル活用しました」と児玉さん。
クレペリン検査の結果も振り返ります。「作業量はさすが。レベルが高い」「よく言えば元気があるが、安全の適性を考えると運転ではなく、企画などの部門でリーダーシップを発揮するのでは」といった評価でした。
結果は「JR九州」と「東京メトロ」から札が上がりました。JR九州の担当者は「こちらが勉強させてもらっている感じで、将来性を感じた」とコメントしました。
続いて、中央大学鉄道研究会の笠岡悠さんが挑戦。「いままで経験したことのないくらい緊張しています」と笠岡さん。しかし、鉄道会社に就職したいのかというとそれほどでもないとか。オイ大丈夫か?
笠岡さんは「普段使っているので、どんな仕事をしているのかをイメージしやすいから」とシンプルに志望動機を述べます。しかし、冒頭で述べたそれほど強い気持ちがないことに面接官は引っ掛かります。「最も好きな鉄道会社は?」という質問には、「JR東日本が一番親しみがあります」。好きな車両は「E231系です」。「安全に対して自分ができることは?」の問いには「時間を守ることです」と笠岡さんは即答。そして、自分の弱点を「興味がないことに対してやる気が起きないこと。好きなことにはのめり込めるのですが」と述べました。
ここで面接官から「(シャツの)ボタンが掛け違ってますけど……」。「でも、かわいかったんで許せますけれどね」とやさしくフォローする大井川鐵道の方、さすがです。
笠岡さんのクレペリン検査の結果は「作業のスピードが早く処理能力が高い。ただ、最初は高いが、そのあとすーっと下がってしまう傾向はある」でした。「ともあれ、鉄道業界への就職で自身の適性が大きなマイナスになることはないでしょう」と内田さんは説明しました。
結果はお見事、「京阪電車」が札を上げました。「クレペリン検査の結果から、運転士の適性があると思いました。また企業は個人を成長していく場所でもあるので、ぜひ弊社で人間として成長していってほしいです」(京阪電車)
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