“AI市長候補”が市長選に出馬して分かったこと 「握手ができないAIは選挙活動が苦手」(2/2 ページ)

» 2018年05月01日 19時30分 公開
[エンジンねとらぼ]
前のページへ 1|2       

松田:市役所内に保存してあるデータのうち、個人情報などを除いて全て公開することを予定していました。また、それらのデータをAIに読み込ませて分析を開始する予定でした。

 また、AIとは直接関係がないかもしれませんが、多摩市ではここ数年で7件の職員による内部通報があり、市は調査中であることを理由にそれらを議会にも市民にも報告していませんでした。通報案件の大部分に副市長が関与しているとされていることから、公約の通り副市長にお辞めいただくことを考えていました。通報内容そのものよりも、それを公開しない体質が問題だと考えています。

「顔」ではなく「政策」で選んでもらえるような仕掛けを

―― 選挙期間中ネットユーザーからはどのような反応がありましたか?

松田:「流行のAIと言えば当選できると思っているようだ」「AIでは政治ができるはずがない、インチキだ」「AIと言いながら人間が介在するなら今までと何ら変わりない」「AIなら忖度(そんたく)しないというが、AIなら学習して忖度をするようになるだろう」「AI推しということ以外何も分からない選挙ポスター 」「隠しごとはしないと言いながら、顔を隠している」というようなネガティブな意見から、「面白い」「AIならいまの政治家よりは高いレベルの仕事をやってくれそう」「いずれこのような時代がくる」「手塚治虫『火の鳥』の未来編を思い出しますね 」などポジティブな意見もいただきました。

 山本一郎さんがYahooニュースに投稿した「多摩市長選、『AI市長候補』を標榜する松田道人氏の『ファイルローグ問題』でやらかした過去を振り返る」という記事は最初は「やめてー」と思いましたが、特に隠している内容ではなかったので、過去を有権者の方に説明をするきっかけとなり結果的には良かったです。

―― 今後理解を得ていくために、どのようなアプローチが考えられますか?

松田:少しずつでも信頼を獲得していくしか方法はないと思います。一方で、有権者全員が満足するようなやり方は存在しないので、AI市長に懐疑的ではない層、不信感を持たない層を中心に政策を訴えていくような活動をしていきたいと考えます。

 さらに、「声をかけてもらったことがある」「握手したことがある」「お祭りやイベントに来てくれた」「自分が作った陶芸を褒めてくれた」「息子の卒業式で訓示をしてくれた」という理由で現職に投票した層に対しては、顔ではなく政策で候補者を選らばざるを得なくなるような選挙の仕掛けを考えていきます。

 いまの多摩市政は、「お年寄り世代」と「子育て世代」などにグループを分け、特定の世代が抱える問題を解決する政策を立てていますが、新しいカテゴリー分類を見つけるのが得意なAIであれば、世代を問わない共通課題(例えば「貧困」など)を抱える新しいグループやカテゴリーを見つけ、そこに対して最適な政策を提言することができます。


AI市長 「握手したもの勝ち」ではない方法を考案していくとのこと

―― このほか、AI市長を生み出すために予定している具体的な行動はありますか?

松田:大部分の有権者が、「会ったことがある人」「握手をしたことがある人」に投票する傾向がある中で、どのような選挙活動をするかについては大きな課題だと考えています。地方選挙への出馬を準備している方々から、AIを使いたいとの相談を受けており、年内に少なくとも2〜3件、選挙協力をする予定です。早ければ6月の選挙を予定しております。


 以上、AI市長誕生を目指す松田みちひとさんへのインタビューでした。「政治は人間が行うもの」といった前提が根強いため、AIの導入は決して簡単なものではありませんが、適切な予算配分による減税効果や直接民主制への移行といった内容は興味を引かれました。

 組織票を多く持つ方が有利とされている日本の選挙システムへの対抗策として「顔ではなく政策で候補者を選ばざるを得なくなるような仕掛け」の考案を行うというのもかなり気になるところです。ひょっとするとそう遠くない未来、どこかの市町村にてAI市長が誕生するかもしれませんね。


AI市長 ロボットが国を動かす未来が近づいている?


エンジン


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/17/news023.jpg 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  2. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  3. /nl/articles/2404/17/news136.jpg もう別人じゃん! miwa、大胆イメチェンで面影ゼロに「まさかのこんな色になってるとは」「だれー!?」
  4. /nl/articles/2404/17/news111.jpg 「ぶち抜きたいです」 辻希美、懇願拒否された13歳長男が“荒くれ反抗”……息子の室内破壊に嫌悪あらわ「言葉が出ない」
  5. /nl/articles/2404/16/news185.jpg 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  6. /nl/articles/2404/17/news029.jpg 「キュウリが冷凍できるとは76年も生きて来て知らんかったなあ」 野菜ソムリエプロが教える冷凍&活用アイデアが328万再生
  7. /nl/articles/2404/17/news117.jpg 「虎に翼」、壮絶過去演じた16歳俳優に注目の声「違国日記の子か!」 「ブラッシュアップライフ」にも出演
  8. /nl/articles/2404/17/news025.jpg 築36年物件の暗くてボロいトイレをリメイク→ぐーんと垢抜け! 驚きのビフォアフに「すごいですね!」「天才」の声
  9. /nl/articles/2404/15/news081.jpg 【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
  10. /nl/articles/2211/26/news054.jpg 辻希美&杉浦太陽、15歳迎えた長女のレアな“顔出しショット”でお祝い 最近は「恋バナ」で盛り上がることも
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」