46年前からあった「若者の○○離れ」と、今起きている「お金の若者離れ」(1/3 ページ)

今若者が“離れる”理由。

» 2018年05月20日 11時00分 公開
[辰井裕紀ねとらぼ]

 5月5日、朝日新聞に20歳の若者からの怒りの投書が掲載されました。

 その内容は、若者の消費意欲が薄いことを表す「若者の○○離れ」の原因が、若者の意識の低下にあることは間違いで、いまの若者の低賃金からくる「お金の若者離れ」こそが、真の問題である……と語ったもので、ネット上にも大きな反響が広がっています。


若者の○○離れ これは一部。まだまだこれをはるかに超える数の「○○離れ」がある

 表は、各メディアや国の機関などで実際に使われた「若者の○○離れ」を一覧にしたもの。「新聞離れ」「結婚離れ」といった、確かに離れている若者が多いと思わせるものに加え、「ケンカ離れ」「暴力団離れ」「覚せい剤離れ」などの、それは離れたほうが良いのでは……と思わせるものまで、その数は無数にあります。


メディアなどに登場した「若者の○○離れ」一覧

エンタメ:テレビ離れ、NHK離れ、新聞離れ、ラジオ離れ、映画離れ、美術館離れ、読書離れ、雑誌離れ、CD離れ、洋画離れ、洋画の字幕離れ、ファッション離れ、古典文学離れ、クラシック音楽離れ、演歌離れ


食:ビール離れ、酒離れ、日本酒離れ、焼酎離れ、たばこ離れ、コーヒー離れ、お茶離れ、ワサビ離れ、野菜離れ、カレー離れ、みそ汁離れ、フルーツ離れ、リンゴ離れ、和菓子離れ、ピノ離れ、缶コーヒー離れ、だし離れ、ガム離れ、昆布離れ、魚離れ、米離れ、牛乳離れ、おせち離れ、牛丼離れ、餅離れ、ドリンク剤離れ、カルシウム離れ


趣味:競馬離れ、パチンコ離れ、風俗離れ、クラブ離れ、宴会離れ、温泉離れ、カラオケ離れ、車離れ、スポーツカー離れ、バイク離れ、百貨店離れ、ブランド離れ、腕時計離れ、旅行離れ、海外旅行離れ、海離れ、外出離れ


スポーツ:五輪離れ、野球離れ、ゴルフ離れ、運動離れ、フィットネス離れ、スキー離れ、武道離れ


生活・カルチャー:方言離れ、地方離れ、祭離れ、マイホーム離れ、免許離れ、年金離れ、クレジットカード離れ、保健離れ、狩猟離れ、農業離れ、漁業離れ、科学技術離れ、献血離れ、介護職離れ、缶切り離れ、工場離れ、自動車整備士離れ、ものづくり離れ、理工系離れ、留学離れ、土木離れ、中小企業離れ、トラックドライバー離れ、選挙離れ、政治離れ、渋谷離れ、ジーンズ離れ、ネグリジェ離れ、和装離れ、タクシー離れ、信用金庫離れ、銭湯離れ


習慣:恋愛離れ、結婚離れ、セックス離れ、合コン離れ、AV離れ、ラブホテル離れ、「俺」離れ、バルス離れ、折込チラシ離れ、避難訓練離れ、クリスマス離れ、節分離れ、年賀状離れ、福袋離れ


IT・通信:LINE離れ、Tinder離れ、Facebook離れ、SNS離れ、ニコニコ動画離れ、PC離れ、2(5)ちゃんねる離れ、通話離れ、メール離れ、iPhone離れ、ローマ字(入力)離れ、固定電話離れ、


その他:中二病離れ、暴力団離れ、暴走族離れ、覚せい剤離れ、ケンカ離れ、宗教離れ、仏教離れ、日本離れ、夢離れ、モノ離れ、新品離れ、仕事離れ、友達離れ、原子力離れ



「若者の○○離れ」が使われ始めたのはいつから?

 そもそも「若者の○○離れ」という言葉が最初に使われたのはいつでしょうか。あくまでこちらが調べた限りですが、いちばん古い記述では1972年8月号の『図書(岩波書店)』に「若ものの活字離れの元凶は教科書だ!!」という文題が見つかります。


若者の○○離れ かなりの剣幕でテレビ・週刊誌などを批判する(『図書(岩波書店)』1972年8月号より)

 「若者の○○離れ」といえば最近のバズワードにも思えるフレーズですが、少なくとも46年前から使われていた言葉なのです。

 異彩イラストレーターとして活躍した、故・真鍋博氏によるその文章を読んでみると……テレビや週刊誌などの大衆文化を痛烈に批判し、正しい読書空間を取り戻せと強い調子で訴えるものでした。

 いまの文化は“軽蔑の系譜”をもっている。テレビを見ても、ラジオを聴いても、週刊誌を読んでも、実にくだらないことを見せたり書いたりばかりしている。

(中略)

 つまりなんでもバカバカしいと軽蔑できる――見下せるものがこれらの番組の存在価値であり、それがまた文化の主流をしめていこうとしている。

(中略)

 電車のなかで吊皮にぶらさがって読める活字情報はせいぜい週刊誌かスポーツ新聞くらいのものである。だから最近の本は週刊誌化した本ばかりであり、つまりは読みすての本の山である。それは出版物というよりむしろ印刷されたゴミと呼ぶのにふさわしいしろものだ。はっきりいえば活字廃棄物である。


 「若者を本嫌いにする環境が悪い!」とのフォローもされていますが、かなりの強い調子で新しい大衆カルチャーを攻撃し、正しい本のあり方への論述を展開しています。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた