「かぼちゃの馬車騒動」スルガ銀行員の“ローン偽装”指示LINEを入手 黒幕は計画倒産詐欺師と銀行か(2/3 ページ)
スルガ銀行「自らの判断の間違いによる損失を不当に転嫁しようとするもの」
ではスルガ銀行はこうした問題を把握していたのでしょうか。
スルガ銀行側の代理人は2017年10月13日に「融資申し込みにあたり、事実と異なる申し出があり、それが、オーナー、販売業者、建築業者との了解のもとで行われているとすれば、オーナーらは虚偽の事実を告げて不正に融資を実行させたものとも言える」との見解を、ガヤルド事件の被害者弁護団、東雲総合法律事務所 池田大介弁護士に送付。
不正融資による損害賠償請求など、被害者救済を求める弁護士団に対して「請求に応じる意思は一切ありません」「自らの判断の間違いによる損失を不当に転嫁しようとするものと言わざるを得ません」と、一連の問題が大きく報道されるまでは強硬な姿勢を示していました。
加藤博太郎弁護士「スルガスキームを主導したのはスルガ銀行」
ところがこうしたスルガ銀行側の主張に対して、「不正融資を主導したのはスルガ銀行だ」と真っ向から対立するのは、わたなべ法律会計事務所の加藤博太郎弁護士です。
加藤弁護士は不動産詐欺が専門で、2017年12月に被害者からの相談を受け始め、スマートデイズとスルガ銀行を中心に独自調査を行っています。その結果、一連の不正融資問題(通称:スルガスキーム)に複数の行員が関わっていたことが見えてきたと話します。
スルガスキームでは不動産投資のためのローンと合わせてフリーローンを組ませていたケースが多く、そのフリーローンの名目がオーナーの知らぬ間に「子育て費用」「介護資金」等になっている不正がいくつも確認されています。これについて加藤弁護士は「行員が具体的に『このローンにしよう』と提案しているものある」とあるLINEのやりとりを見せてくれました。
これはスルガ銀行の行員O氏から販売代理店の従業員に送られてきたもの。「フリーローンの使い道について、御協力頂きたい事がありますので、ご確認お願い致します」「表向きに、介護資金がかかっているというていで、お祖母様、ご両親様の生年月日を事前に教えて頂きたいです」と、行員からフリーローンの名目を具体的に指示した上で、オーナーの祖母や両親の住民票を用意するようにとの要求があることが分かります。
さらに別のケースでは、行員が通帳の画像を交えて販売会社と次のようなやり取りを行っています。
行員:エビどこ間違ってましたか? そこ以外再度確認します
販売代理店:一枚目の一番下ぬけてます
行員:(笑)
行員:間違えております
「エビ」とは「エビデンス」の略で、融資に必要な“資産の証明”のこと。販売代理店が捏造した銀行通帳について、行員が添削している様子が伺えます。
さらに同じ行員は販売会社に対して次のようなLINEも送信しています。
行員:あと5500万
(翌日)
行員:エビどう?
行員:まだなら5700万に変更してほしい
行員:今日夕方までには提出求められてるから
販売代理店:ただ今作成中です。5700万承知致しました。
これは行員が販売代理店に対して、エビデンスの金額を5500万円から5700万円に変更するように求めるという内容。加藤弁護士がこのLINEの送り主を突き止めたところ、「自分のものです」と行員が不正に関するやり取りを認めたと言います。
こうしたやりとりから加藤弁護士は、行員と販売代理店、サブリース会社が融資を通すために無理にローンを付け替えていたことや、通帳の改ざんを把握していたと確信。2018年3月27日、「かぼちゃの馬車」のオーナー13人と共に、「スマートデイズ」とその関係会社に対し、約2億円の損害賠償を求める民事訴訟に踏み切りました。
またゴールデンゲインに対しても近々オーナー11人で提訴する予定とのことです。
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