NHK解約しないと死後も受信料が発生? 「亡き母の受信料を督促された」ツイート話題に NHKに聞いた
「亡くなって何年もたつ母宛に、NHKから多額の受信料の督促状が届いた」というツイートに驚きの声。
「亡くなって何年もたつ母宛に、NHKから多額の受信料の督促状が届いた」
そんなNHK受信料に対する嘆きのツイートが、3万回近くリツイートされるなど注目を浴びている。母の家には死後誰も住んでおらず、NHKの電波を受信できる環境にもなかったと説明したにもかかわらず、コールセンター側は「死後の分まで払え」との姿勢を崩さなかったという。
一人暮らしの親族が亡くなって、NHKの受信契約を解約せずに長期間放置するというのはよくありそうなケースだ。その場合はツイート主のように、解約していない間の受信料を支払うよう督促されるものなのだろうか。前に亡くなったことを証明しても支払う義務は発生するのか。NHK広報部に詳細を取材した。
「死後の分まで払えの一点張り」に批判の声
話題のきっかけとなったツイートは次のような文だった。
「亡くなって何年も経つ母宛にNHKから未払いだと多額の督促状が届いた。家にはもう誰も住んでいないし、屋根には地デジ化前のVHFアンテナしかない。何故今更こんなものが届くのかと電話をすると死後の分まで払えの一点張り。おまけに家族の転居先の情報を全部渡さないと解約手続きが出来ないそう」(原文ママ)
ツイートは拡散されるとともに、「ひどい」「鬼畜すぎるのでは」「不安になった」とNHKコールセンターの対応に非難や疑問の声が次々と寄せられた。「私の叔父の家も本人が亡くなり一年たった頃に滞納の通知が来ました」「全く同じ経験をしました。NHKは死人からも躊躇なく徴収します」と、同様の督促状を受け取ったという意見も集まった。
しかしこのようなケースで本当に契約者や親族に受信料は発生するのだろうか。
日本放送協会放送受信規約によればNHKの受信契約を解約する場合、その理由を含めた届け出をNHKに提出し、受理された日に解約が認められるとある(第9条)。例外として「契約者が非常災害により前項の届け出をすることができなかったものと認めるときは、当該非常災害の発生の日に解約されたものとすることがある」とも記されているが、死去した場合については特に書かれておらず不透明だ。
死亡と一人暮らしが証明できれば 死亡した月で解約扱いになる
一人暮らしの契約者が亡くなった場合、解約はどうなるのか――NHK広報部に質問状を送ったところ、基本的には次のように対応を行っていると文書で回答が返ってきた。
- 受信契約を解約する場合は、「日本放送協会放送受信規約」に基づき、NHKへの届け出をいただいています。
- 一人暮らしの受信契約者が亡くなった場合は、ご家族や親族の方などから届け出で解約の手続きをいたします。
- 一人暮らしのご契約者本人がお亡くなりになった場合については、公的な証明書類を提出いただくなどしたうえで、個別のご事情を詳しくお伺いして、適切な対応をとることとしています。
詳しく電話取材したところ、結論から言えば「契約者の“死亡”と“一人暮らし”が確認できた場合は、亡くなった当月を解約扱いとするので、届け出までの期間の受信料は発生しない」とのこと。
本来であれば契約者が亡くなった場合、親族や大家さんなどから届け出をもらった時点で解約となるが、やはりさまざまな事情で亡くなってから期間を置いて連絡するケースが発生する。そういうときは死亡証明書などを提出してもらいつつ、契約者が本当に一人暮らしだったのか、同居人がいたのではないのか、個別に状況を確認していくのだという。
一人暮らしだったか精査するのは、NHKの受信契約は“世帯別”になっているからだ。契約者が亡くなっても家庭に受信機があり、他に誰か住んでいる場合は、契約の主体はその同居人へと変更されるので受信料は請求される。
もし契約者の死亡と一人暮らしを確認できた場合は、死亡したと証明される日時の当月で解約扱いとなる。届け出までの間の受信料が発生しないだけでなく、例えば契約者が生前に口座からの自動引落で支払っており、亡くなってからも引き落とされてしまっていた分は過払い扱いとして、返金するよう対応しているという。
広報の回答と話題のツイートに食い違いがあるが、「現場では常に今説明したような対応をしています」と担当者。
ツイートの「死後の分まで払えの一点張り」といったような対応が実際にコールセンターで行われていたのか調査したが、「残念ながら特定できませんでした。1日何千件と電話が来るので、Twitterにある情報だけだと確認が非常に難しいです」。NHKのマニュアルと現場とで認識に違いが生まれている可能性もあるが、確認しようがないとのことだった。
いずれにせよ「一人暮らしの契約者が亡くなった場合」は、しっかり証明できれば亡くなった月で解約扱いとなる。高齢化社会、同様のケースは今後も多く発生していきそうなので、不当に支払いすぎてしまわぬよう気をつけたいところだ。
(黒木貴啓)
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