もう一度、新しいステージに 一発屋芸人を声優に起用する「HUGっと!プリキュア」が描く“再生の物語”サラリーマン、プリキュアを語る(3/3 ページ)

» 2018年07月26日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]
前のページへ 1|2|3       

「なんでもできる、なんでもなれる」を象徴する、一発屋芸人たち

 「HUGっと!プリキュア」では専門職の素晴らしい声優さんが声を当てています。

(個人的にはキュアエール役、引坂理絵さんの、戦闘場面での「どおりゃあーー」って掛け声が「強さ」の中に「優しさ」が内在した本当に素晴らしい演技だと思います。大好きです)

 そして「HUGっと!プリキュア」では本職の声優さんだけはなく、多くのタレントさんも声優として参加しています。

 特徴的なのは、いわゆる「一発屋芸人」と呼ばれている人が多数参加していることです。

  • 吉見リタ役の、キンタロー。さん
  • ジンジン役の、小島よしおさん
  • タクミ役の、山田ルイ53世さん

 ※この方たちが「一発屋」というのは個人的な見解ではなく、タクミ役の髭男爵、山田ルイ53世さんの著書『一発屋芸人列伝』(新潮社)にそう記載されています。

プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール 吉見リタ キンタロー。 吉見リタ(声:キンタロー。さん)

プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール ジンジン 小島よしお タクミ 山田ルイ53世 ジンジン(左、声:小島よしおさん)、タクミ(右、声:山田ルイ53世さん)

 タクミ役の山田ルイ53世さんは、同じニチアサでは「天装戦隊ゴセイジャー」の天知秀一郎役でレギュラー出演していたり、声優さんとしての経験も豊富ですよね。

 その山田ルイ53世さんが書いた『一発屋芸人列伝』は、かつてテレビで人気絶頂だったタレントさんの「その後」が描かれた名著です。自分も話題になったときに購入し、一気に読み終えました(「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞した企画でもありますよね)。

プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール 一発屋芸人列伝 山田ルイ53世 『一発屋芸人列伝』(Amazon.co.jpから)

 そこにはテレビの世界で大人気を博したタレントさんが、次第にテレビでの露出が少なくなっていく様子や、そこで何を思い、どんな行動をして、仕事がなくなった後もそれでも一生懸命、前を向いて歩きだし、新しいステージで精いっぱい輝いている姿が描かれています。

 一発屋芸人列伝のあとがきの中で、こんな言葉があります。

記憶のおもちゃ箱、そこに詰め込まれた一発屋達を、「消えた」「死んだ」と捨て去る前に、もう一度、目次のページを眺めてみて欲しい。
あるものは、社交ダンス世界大会で上位に食い込み、お茶の間の感動を呼んだ。SNSのアカウント上で披露してきたポエムが評判となり、再び注目を浴びつつあるものや、コスプレキャラからの脱皮を見事果たし、今や正統派漫才師の地位を手に入れたものもいる。
(中略)
掲げられた杯は、彼ら一発芸人の復活の狼煙(のろし)、再生の幕開けとなるだろう。

―― 『一発屋芸人列伝』(新潮社、山田ルイ53世著)から引用


 おそらく「HUGっと!プリキュア」の声優さんに「一発屋芸人」を起用したのは意図的なことなのだと思います。

 「もう一度、新しいステージで輝くことができる」。

 それを体現しているのが、まさにこの一発屋芸人さんなのです。

 「なんでもできる! なんでもなれる!」を「表面的な言葉」だけではなく、それを体現し「新しいステージで輝いている人」を声優さんとして起用しているのです。

プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール えみるとルールーも、新しいステージへと進んでいます

なんでもできる! なんでもなれる!

 「自分には何もない、と嘆く若者」
 「失恋したOL」
 「仕事がうまくいかなくなったサラリーマン」

 彼らがもう一度人生をやり直し、次のステージに進んだように、お兄さんだって、お姉さんだって、おじさんだって、おばさんだって、お年寄りだって。

 その人が望むなら、どんな人も、人生をやり直すことができる。

 一歩踏み出し、新しいステージで輝ける未来がある。

 「なんでもできる! なんでもなれる! 輝く未来を抱きしめて!」

 これは、もちろん子どもたちへ向けられた希望のメッセージです。

 しかし、それと同時に、「今を一生懸命生きている大人」へのメッセージなのではないかと、日曜日の朝、「HUGっと!プリキュア」を見ながら、僕は思うのです。


プリキュアを未視聴の人へ

「HUGっと!プリキュア」は残念ながら「見逃し配信」をやっていないので、「HUGっと!プリキュア」がどんな作品か確認したい人は、東映アニメーション公式が配信している「3分でわかるHUGっと!プリキュア」をご視聴ください。きれいに編集されていて分かりやすいですよ。



「HUGっと!プリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」