メニューはあえてボロネーゼだけ! 「パスタ界の二郎」と呼ばれる風雲児「BIGOLI」のこだわりがすごかった
あまりにも素直すぎるので、全種類制覇したいです。
メニューはあえて「ボロネーゼだけ」という、“めちゃくちゃ潔い”パスタ屋さんがTwitterで話題になっています。
そのお店は、「BIGOLIイオンスタイル品川シーサイド店」(Twitter:@bigoli_jp)。大きめのスーパーによくあるフードコート内のお店なのですが、大手チェーン店がひしめく中、まさかのボロネーゼ専門店。なぜそこに出店した……? 写真のボロネーゼもおいしそうだし、とても気になったので、現地へ行ってきました。
「BIGOLI」があるイオンスタイル品川シーサイドは、りんかい線品川シーサイド駅を降りて5分ほど歩いたところにある、ショッピングセンターを兼ね備えた店舗の中にあります。目指す店舗は駅を降りて地下通路を歩いて行き、B1Fの入口を入ってまっすぐ向かった先。時間により色が変わる「BIGOLI」の看板が目立ちます。
お店は大手チェーン店がひしめくフードコート内にあります。フードコートと言っても、全体的に落ち着いた感じの内装になっていて、椅子とテーブルの配置もすっきりしているので、ごちゃごちゃした感じはありません。取材したのは平日の午前中でしたが、恐らく昼時には人であふれかえっているのだろうなと想像します。
店の前にはメニューが書かれたポスターが立てかけてありますが、この写真が食欲をそそるんだ。チーズの破壊力抜群すぎでしょ……。
というわけで、早速このポスターに写っている「濃厚チーズボロネーゼ」をいただきます。注文してお会計を済ませたら、5分程度でできあがり。
- チーズボロネーゼ 850円(税込)
チーズはパルミジャーノ・レッジャーノを使っていて、提供直前に削りたてのものを乗せるのだそうです。チーズがふわっふわです!!! 削りたてのチーズってホントきれいなのね……。
そして肉。ごろっとした牛肉なのですが、うまい具合に主張しているけどくどいわけではないです。食べ応えがあって、適度に赤ワインの風味が残って、いい感じでした。
麺は、生麺である「BIGOLI」を自家製麺で提供しています。太くてもちもちしていて、これがクセになります。実はBIGOLIで提供しているパスタは、一般的なレストランの2倍量であるダブル(380g)が標準。男性にとっても食べごたえのあるボリュームです。
そしてもうひとつ、トマトボロネーゼが気になったので食べてみることに。ミートソースとの味の違いが気になりました。そして、トッピングですごく気になっていたふわふわチーズMAXを合わせてみることに。
- トマトボロネーゼ+ふわふわチーズMAX 850円+300円(いずれも税込)
トマト2個分入っているということで、トマトの酸味や甘みと赤ワインの風味がボロネーゼにマッチしていて、個人的にはこちらの方が好きですね。もしかすると女性が好きな感じかもしれません。
そしてふわふわチーズMAX! パスタがチーズに覆われている……。チーズの壁を割って中のパスタを食べる感じです。チーズ大好きっ子にはたまらないトッピングですが、この迫力はやばい……。
本当においしかったです。そしてボロネーゼ奥深いぜ。
今回、オーナーの石川さんにお話を伺うことができました。写真はNGとのことでしたが、非常に物腰柔らかな方でした。
ボロネーゼの仕込みはどれくらいかかっているか尋ねたところ、トータルで36時間かかっているとのこと。「一気に100kg分を仕込むのですが、1日目は60kgの肉だけをひたすら焼いています。2日目はセロリなどの香味野菜・キノコ類を刻んでオリーブオイルで炒める作業(ソフリット作り)と、赤ワイン21本を使って徹底的に煮込む作業。ここまででできたものを一晩寝かせて、ソースをパック詰めします」。100kg分のソースは3日で使い切るのだとか。また添加物などを一切使わないで仕込みを行うため、野菜の産地や季節によって味の変化があり、味を決めるのが大変なのだそうです。
実は取材前日、味がどうにもうまくいかなくてやむなく臨時休業という苦渋の決断をされました。このようなことは開店以来初めてとのこと。添加物を使わないため味決めが非常に大変ということ以外にも、1カ月前ごろから徐々に混み始めていて仕込みが追いつかなかったなど、さまざまな状況が合わさった結果だったそうです。「もし休まずに営業してもそれなりのものは出せましたが、クオリティを落とすのは嫌だったので休業して仕込みをすることにしたんです」。なんという頑固さ(褒め言葉)。
「BIGOLI」はJR神田駅からすぐそばに1号店があります。元々は石川さんが立ち上げましたが、昨年権利を他社に譲渡し、今はBIGOLIのメニューライセンス店舗として運営されています。ちなみに神田店は、昼はボロネーゼ専門店BIGOLIとして、夜はワインバーという2つの顔を持つお店なのだとか。
そんなお店の2号店がなぜフードコート内なのか尋ねると、「神田のお店でボロネーゼを食べたイオンの関係者がこの味を気に入って、出店を打診されたんです」とのこと。意外な経緯でした。「街のパスタ屋さん的な感じでも良かったんですけど、品川でスーパーの中ってことは、土日は神田にはいないファミリー層がいるってことだから、サラリーマンだけじゃない人たちにも知ってもらえるいい機会かなって思ったんです」。
ちなみにこちらの店舗の客層は7割が男性客とのこと。30〜40代の働き盛り世代が多いそうですが、土日は家族連れがメインで連日大盛況のようです。
なぜボロネーズにこだわったのか、という質問に対しては、「肉と炭水化物が好きで、肉たっぷりのパスタが食べたかった」というシンプルなお答え。
「日本では、ミートソースもボロネーゼも一緒のように扱われていますよね。ボロネーゼを頼んだのに、ミートソースがでてきたりして。値段を上げるためにボロネーゼと名付けられたミートソースがまん延しているように感じます。本当のボロネーゼは肉の煮込みソースですからケチャップ味はしないし甘くもない。ワインの香り漂う大人の味なんです」と石川さん。特にBIGOLIのボロネーゼは挽肉でなくごろっとした牛肉を使うので、そもそもの食べ応えが違うと感じました。
さらにBIGOLIの特徴は、標準サイズが他店の2倍ほどあること。それについては、「イタリアンのコースに出てくるパスタって、大きなお皿にちょこっと。おいしいけど少なすぎる。私は男なので、前菜もデザートもいらないから、あのおいしいパスタだけを、どかっと食べたいと思いました。時間もかかるし、余計なものはいらないので、それだけをどかっと(笑)。B級グルメの大盛りパスタは数あれど、本気のクオリティで大盛りの店を作りたかったんです」(石川さん)。
10種類のうち、お店でいちばん多く出るメニューは何かと尋ねたところ、ポスターにあるチーズボロネーゼだそうで、実にお客の6割が頼むのだとか。次に「トリュフクリームボロネーゼ」が人気とのことです。
SNSのハッシュタグに付けている「イタリアの牛丼」はオーナーが考えたそうです。ごはんの代わりの炭水化物がパスタなんだから、牛肉がごろごろのってるボロネーゼはイタリアの牛丼と言っても過言ではないと思ったのだとか。ちなみに同じくハッシュタグとして付けている「パスタ界の二郎」は、SNS上でお客様がつけてくださったそうです。
なお、今後の展開はと尋ねたところ、直営店は増やすつもりはないが、神田店のようなメニューライセンス店を増やしたいとのこと。メニューライセンスとは、既存のお店がBIGOLI本部から麺とソースを買って、自店のメニューとして提供するシステム。手間をかけることなく、実績のあるBIGOLIのボロネーゼが既存店で簡単に提供できるため、即座に売り上げにつながる仕組み――とお話ししていました。ちなみにBIGOLIの名前は出さずに、このシステムを使って売上をあげているところもあるそう。知らないところでBIGOLIのボロネーゼを食べているのかもしれませんね。
ごちそうさまでした。本当に、個人的に全種類制覇しに行かねばと思った筆者でした。
【店舗情報】
BIGOLIイオンスタイル品川シーサイド店
営業時間 10:00〜21:00(LO20:30)※なくなり次第閉店の可能性もあり
休業日 イオンスタイル品川シーサイド店に準ずる
(あまにょん)
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どう見てもSNSに載せたくなるおいしいハンバーガーでした。
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