「エンタメ業界は“在野の才能”を見つけ出せていない」――アニメ原作公募プロジェクト「Project ANIMA」宣伝Pに聞くエンタメ論(1/2 ページ)
あなたが心に秘めていた作品がアニメになるかも。
「2020年代を代表する作品の創出をめざすとともに、次世代を担うアニメ作家を幅広く募集します」――経験・経歴・作品形式“不問”の公募プロジェクトが、DeNA主体でスタートしています。その名も「Project ANIMA」。
DeNA・創通・文化放送・MBSが、サテライト・J.C.STAFF・動画工房の3社と手を組み、公募で寄せられたオリジナル企画をアニメ化していく大規模プロジェクト。つまり「自分の考えた世界が、プロの手によってアニメになる」可能性が誰にでも開かれているというわけです。
8月1日からは、第3弾の「キッズ・ゲームアニメ部門」の募集もスタート。ANIMAの宣伝プロデューサー有田真代さんに、「ANIMAが生まれるまで」と「エンタメのトレンド」を聞きました。
Project ANIMAが生まれるまで
――2018年2月から本格スタートした「Project ANIMA」。オリジナルのアニメ原作を公募するという、かなり珍しい企画です。どういった経緯で企画は立ち上がったのでしょうか。
DeNAは小説投稿サイトの「エブリスタ」や漫画アプリ「マンガボックス」などを運営しています。そこでも、積極的にオリジナル作品を作り上げる取り組みをしていました。例えばエブリスタ発のWeb小説『奴隷区』や『京都寺町三条のホームズ』は書籍化を経てコミカライズ、アニメ化を果たしています。
ただ、小説や漫画にはアプローチできても、アニメをオリジナルで作り上げる――という方向にはアプローチしていませんでした。そこでタイミングよく創通さん、文化放送さん、MBSさん、そしてアニメスタジオ3社との縁があり、すごいスピードでプロジェクトが立ち上がりました。
――毎年存在感のあるオリジナルアニメは生まれていますが、まだまだ“原作もの”の方が本数としては多い印象です。なぜ「オリジナルのアニメ原作創出」が必要になってきているのでしょうか?
アニメに限らず、映画やTVドラマなどでも各社が原作を探していて、人気のある作品は取り合いになっているのが現状です。原作ものだと原作ファンは少なくとも見込めるから、ビジネス的な勝算を立てやすい。一方で「ガンダム」や「マクロス」など、時代を代表するようなシリーズはやっぱりアニメオリジナルなんですよね。クリエイターが作りたいものを作ってヒットにできればそれが一番いい。第1弾に参加してくださった河森正治監督も、「オリジナルの火は絶やしたくない」と仰っていて印象的でした。
また、エンタメビジネスが「IPビジネス」に寄っていっている側面もあります。作家さんにとっても、漫画や小説などの紙のパッケージだけではなく、その外の展開があった方が作品が読まれやすくなっている。アニメや実写、ゲーム化などマルチメディアで展開することで、“IPを広げていく”という考えが一般的になっています。
さらに海外市場の拡大も、オリジナルアニメの重要性を高めています。これまでのエンタメビジネスは国内のファンを相手にするのが主流でしたが、中国をはじめとして海外市場が伸びています。映像作品の配信事業者も増えているなか、世界中で作品のファンを最大化するためにも、原作をもっていることの意味は大きくなっていますね。
――キービジュアルは『クズの本懐』の横槍メンゴ先生を起用しています。ファンタジーのような、SFのような、ジュブナイルのような、いろいろなイメージが湧いてくるイラストですね。
私がこの企画に参加して、初めにした仕事がキービジュアルの依頼でした(笑)。ANIMAはオリジナル企画なので、スタジオさんの名前はあるけれど、プロジェクト自体のカラーがあるわけではありません。決まっていたのが「2020年代のアニメファンにささげる」「男女ともに愛される作品を募集したい」というキーメッセージ。そこで、若いエンタメファンに人気があり、なおかつ男性からも女性からも支持されている作家さんにお願いできればと考えました。そこで「……メンゴ先生だな……!」と。
はっきりとしたイメージがあるわけではないので難しいオーダーだったと思うのですが、メンゴ先生はステキなイラストを仕上げてくれました。もともとメンゴ先生は、ボカロ動画の絵師としても活躍されていました。「普段は1人の仕事だから、他のものから広げる作業は楽しいです」とおっしゃってましたね。
在野にはたくさんの才能がいる
――募集テーマは第1〜3弾でかなり傾向が違いますね。
一緒にプロジェクトを進めていただける制作会社さん3社と相談しながら決めていきました。サテライトさんと言えば「SF・ロボットアニメ」。J.C.STAFFさんは「異世界・ファンタジー」。そして8月1日から募集開始の第3弾「キッズ・ゲームアニメ」は動画工房さんです。
――第1回のテーマは「SF・ロボットアニメ」でした。どれくらいの応募がありましたか?
最初の目標としては「1000件くらい集まるといいね」と話していたのですが、蓋を開けてみれば数千件の応募をいただきました。応募方法は「小説・脚本」「マンガ」「企画書・その他」形式のどれも受け付けていたので、小説や漫画を送ってきたり、ルーズリーフに手書きで書く人がいたり、直筆のイラストを添付していたり、学生時代に8ミリフィルムで作った映像を送付したり……と、予想した以上にバラエティに富んでいました。
すごいなと思うのは、「面白い!」と感じる作品の中には、添付ファイルを開いて一目見た瞬間に分かるものもあるんですよ。タイトルとペンネームだけでもセンスが感じられるし、作品の売りを作者さんがはっきり自覚されているものは、あらすじもきっちりまとまっていて過不足がない。「しっかり作り込んでくださったんだな」とうれしくなりますね。
――応募者の年齢や性別に傾向はありましたか?
属性は応募時に聞いていないので、傾向は分からないですね。ただ、持ち込み会を開催したときの感じでは、下は学生さんから上は50代までいらっしゃいました。男女比は7:3〜6:4というところでしょうか。「これは明らかにプロの人の別名義だ……!」というものも見受けられます。持ち込み会では地方も何か所か周ってきましたが、「すごい才能がまだまだ在野にいる。でも、それを私たちが見つけ出せていないんだな」と痛感しました。
――才能を見つけ出せていない。
これはエブリスタでたくさんの作者さんと交流を持つうちに思ったことなのですが、意外なヒット作になるのは「それまで小説を書いていなかった人の作品」だったりするんですよ。例えば最初は読み専だった主婦の方が、「自分にも書けるかも?」となんとなく書き始めたら、多くの人から反響を得る……なんてことが少なくありません。エブリスタでは掌編のコンテストを定期的に開催し、書籍化しているものもあるのですが、「プロの作家なんて雲の上の世界で、自分とは関係ないと思ってました」という声をいただくことがあります。
「プロと自分は違う」と感じているけれど才能はある、いわゆる“在野の才能”を見つけていくシステムが、エンタメ業界ではまだ不十分なのかもしれません。小説では「小説家になろう」をはじめとする投稿サイトがその役割を担っていますが、アニメにはない。アニメが大好きな人がアニメの脚本家になりたい! と思っても、どう1歩を踏み出せばいいのか分からないのではないでしょうか。そういう埋もれた才能を見つけ出す役割を、ANIMAが果たせたらいいなと思っています。
関連記事
- 「編集の赤字は無視」「OKが出た後に内容を変える」 型破りすぎるマンガ『このかけがえのない地獄』の作り方
作者のアッチあいとは何者なのか。その一端が分かる!? - 「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない」りぼん編集部異例の絶賛「さよならミニスカート」はどんな物語なのか
「この連載は、何があろうと、続けていきます」。 - 「不倫ものって、基本的に腹が立つんですよ」 不倫×SFマンガ『あげくの果てのカノン』完結までの作者の苦悩
一途女子×不倫×SF。新タイプの“地獄”を切り拓いた同作の完結記念インタビューを実施した。 - 「現実の方がむごい」 “ヤバいマンガ枠”扱いされる“知るかバカうどん×クジラックス”の白熱対談
おお神よ! なぜこの二人を引き合わせてしまったのか! - 表現することが生きることそのもの――のんに聞く「この世界の片隅に」から2年後の自分
のんさんインタビュー!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
-
中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
-
「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
-
ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
-
【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
-
日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
-
「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
-
ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
-
「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
-
「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
- 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
- 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
- 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
- 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
- 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
- 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
- パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
- “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
- 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
- 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
- 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
- 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
- “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
- 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」