大田区区議が「東方」二次創作本をコミケで頒布 サークル参加の理由や政務との両立などいろいろ聞いた
以前から地方議員の実情を描く同人誌で参加。政治資金を一切使わずに活動しているとのことです。
日本維新の会所属の大田区議会議員・おぎの稔氏が、コミックマーケット94(8月10日〜12日)へのサークル参加をTwitterで告知しました。自身が携わった新刊の「東方Project」二次創作同人誌「地方議員の事情本 Vol.2」を、既刊本とともに頒布するとのこと。一部で「オタク議員」として有名なおぎの氏、マジのガチだ……。
あわせて、新刊のサンプルも公開。藤原妹紅(ふじわらのもこう)が現代社会に興味を持ち、やがて政治というものに触れる内容となっています。おぎの氏いわく「もこすみ要素若干?」とのことで……って、現職区議の口から「もこすみ」(※)とか出るなんてこと、ある? Twitterのプロフィールでは「東方」「艦これ」「FGO」の名を挙げるなど、趣味人ぶりを発揮するおぎの氏に、編集部は詳細を聞きました。
おぎの氏は昔からガンダムや少年向けアニメが好きで、漫画誌では『少年ジャンプ』や『コミックボンボン』『少年ガンガン』をよく読んでいたとのこと。中学生のころから、「メモリーズオフ」や「サモンナイト」といったゲームに強い影響を受けたそうです。ゲーム専門誌『電撃プレイステーション』や『G,sマガジン』の影響も大きかったといいます。
コミケには議員になる前の2007年ごろから参加しており、就任してからの参加は今回が4回目。以前の参加時には、地方議員の裏話や苦労話を描くオリジナル同人誌を頒布していました。サークル参加の理由は「より多くのかたと触れ合えるから、そして作品を見てもらう機会につながるから」としていますが、それもコミケや同人誌文化への愛があってのこと。同人誌収集も大好きで、好きなサークルの本が絶版になったときは、まんだらけで1万円以上で購入したそうです。
同人誌制作において、おぎの氏はネームとコンテを担当。作画は作家に依頼しているのだそうです。自身も専門学校に通っており、伊藤剛先生(現・東京工芸大学マンガ学科教授)の教えを受けているのだとか。自分でも描きたいのはやまやまながら、なかなか時間がとれないのだそうです。
1冊の制作にかかる期間は約1カ月半。1週間かけてネームを作成し、作画担当者との打ち合わせを経て4〜5週間かけて完成させるそうです。コマ割りやせりふの修正が何度か発生するため、早め早めに手を打っているとのこと。
政務との両立について聞くと、常に作業時間を意識して作るようにしているとのこと。本業が忙しくて時間が作れず、修羅場になることもありますが、作画担当の苦労を想像し、歯を食いしばって耐えるのだそうです。「なぜそこまでするのかといえば、『好きだから』としか言いようがない」とも。「嫌ならやりません」とすっぱり言い切っていました。
作品は読者から「分かりやすい」「漫画にしてくれれば読める」と好評。イベント会場に「大田区民です」と名乗って訪ねてくれる人もいるそうです。
なお、現在では製作費やイベント参加費に、政治資金は一切使っていないとのこと。最初は寄付を受けた額や自己資金から政治資金という形で出していましたが、今では政治資金とは完全に切り離して、経理を処理しているそうです。政務活動費も使用していないそうです。
最後に、ほかにコミケに参加している議員はいるのかと聞くと、「知っています(苦笑)」との回答。サークル参加する者、スタッフ参加する者、実名を出す者・出さない者、人それぞれだそうです。何気なく会場であいさつした人が、実は現職議員だったなんてこと、案外ありそうですね。
おぎの氏は公式サイトで、政策を伝えるオリジナル漫画も公開しています。子どもの貧困対策や羽田空港新飛行ルート、動物愛護問題などさまざまな話題を取りあげています。
ちなみにおぎの氏が区議を務める大田区は、同氏によると「コスプレ発祥の地の一つ」。10月には区が事務局となり、コスプレコンテストや同人誌即売会を含むイベント「蒲田国際フェスティバル2018」が開催されます。ゲストとしてアニメ監督の大張正己さんや同人サークルのA-Oneさん、豚乙女さん、COOL&CREATEさんなどが参加予定。おぎの氏も公式サイトで、「コスプレ参加しようかなあ」とコメントしており、コスプレ姿が見られるかもしれません。
画像提供:おぎの稔氏
(沓澤真二)
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