クマ牧場跡地に「1頭が悪環境で放置されている」写真が話題 札幌市が「誤解」と否定 健康状態も良好
2004年に閉鎖した「定山渓熊牧場」の跡地で、現在は残ったクマ2頭を管理者が飼養しているとのこと。
2004年に閉園した北海道のクマ牧場「定山渓熊牧場」(北海道札幌市)の跡地において、今なお1頭のクマが劣悪な環境で放置されたままになっているといううわさが、Twitterで注目を集めています。
管轄の札幌市保健福祉局保健所動物管理センターに取材したところ「情報は誤解です」と否定。現在は施設でクマ2頭を飼養している状況ですが、市が年に複数回の立入検査をしており、管理者が1日1回のエサを与えているため健康状態も良好だと説明しました。
「定山渓熊牧場」は1969年に定山渓グランドホテルが開園。その後クマの健康や衛生面の問題、施設の老朽化から2004年に閉園しました。しかし2011年に動物保護団体への情報提供をきっかけに、衛生状態の悪い中で総計13頭のクマが雌雄混在で飼養されていることが発覚。床にごみが散乱し、死後放置されたと思しきクマの骨が散見されるなど深刻な状況で、NPO法人の地球生物会議ALIVEが管理者に飼養の改善を指導するとともに、行政にも定期的に立入検査をするよう要望しました。
しかし2018年8月18日にTwitterであるユーザーが、定山渓熊牧場跡がずっと気になっていたためドローンで空撮したという写真を投稿。コンクリートの構築物内に1頭のクマが写っており、「閉園後も残されたクマたちがまともな食べ物も与えられない劣悪な飼育環境で急速に数を減らし、2013年に確認された雄2、雌6頭以降の情報が全く皆無でした。2018年8月、結果は最後に1頭を残すのみとなっているようです」と報告しました。
ツイートは1万回以上リツイートされるなど話題に。「辛い気持ちになりました」「とてもショックをうけました」とクマの状況に心を痛める声が相次いであがっています。
本当にクマは放置されている状況なのか――担当している動物管理センターに取材したところ、行政では年に複数回の立入検査を実施し、飼育状況の確認と必要な指導を継続していると説明しました。直近では2018年7月26日に実施し、今回のツイートをきっかけに問い合わせが複数来たため、8月22日にも立ち入ったといいます。
現在管理はハマノホテルズが行っており、メス2頭を個別の飼育スペースで飼育。2004年の閉園時からいるヒグマで、推定30歳近くと高齢ですが、施設では給水設備や日陰が確保され清掃もされており、熊はのんびりと生活している様子が確認できるとのこと。食事は1日1回野菜やパンなどを中心に与えており、飼育責任者がクマの体調をみてエサの量を調整しているそうです。
健康状態は動物管理センターの獣医師が確認したところ、野生の個体と比べて毛並や肉付きが良く、リラックスした様子が見られ良好な健康状態と考えられると診断。管理記録でも異常がないことが確認でき、「Twitterにあるような“まともな食べ物も与えられない劣悪な飼育環境”には現在ありません」と否定しました。
2011年当時にいた13頭が2頭にまで減っている理由については「ヒグマの平均寿命は30歳で、当時15〜20歳のクマが多かったことから、病気や老衰で死亡したのではないでしょうか」と推測。2頭を現在も飼育している理由については、「クマをどうするかは基本的に管理者の判断となるのですが、これまで他の受け入れ先を探し続けてきたもののなかなか見つからず、移動は難しいと聞いています」と説明しました。
札幌市としては施設には今後も定期的に立入検査を実施していくとのこと。「専門家や道内の動物園などの助言や協力を得ながら、適正な飼育が継続されるよう状況の確認及び指導を行っていきます。管理者にも協力して、クマの飼育環境の向上に取り組んでいく予定です」(動物管理センター担当者)
(黒木貴啓)
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