PTAを退会させてもらえない―― PTA退会を引き留める役員との交渉を描く漫画に理不尽を感じる
運営側もやりたくないのにガマンして参加しているあたりが闇。
子どもが小学校に進むと親の雑事は増え、特にPTAの活動はけっこうな負担になるものです。参加は任意なのだから、やめる選択もあるのでは? そう思って退会届を出したお母さんの体験漫画がTwitterで話題です。いくら交渉してもやめさせてもらえない理不尽。
漫画家・イラストレーターのあほすたさん(@AFOSTAR02)が、3年ほど前に体験した出来事。子どもが高学年に進んだころ、PTAに恩恵を感じられなくなったそうです。休校日に自治体のイベントの交通整理を無給でやるといった活動は、自分にとってマイナスでしかないと考え、彼女は退会届を提出しました。
ところが役員は退会を認めず、「前例がないので困ります」の一点張り。あほすたさんが再度理由を説明すると、「みんなやりたくないけどガマンしてやってるんですよッ!」と返答。つい「自分もそうだ」と本音をもらしてしまいます。それを言ったらおしまいなのでは……。
それならばあなたもやめてしまえば? とあほすたさんが提案すると、役員は「子どもがいじめられたり自分が陰口たたかれたら嫌じゃないですか!?」と、ムチャな反論をしました。これに対し、あほすたさんは「私は自分の子どもの人間関係が『親の行動を理由にいじめられる』なんて脆弱なものでないと信じている」とバッサリ。問い詰められた役員は、「何のもめ事もなく任期を終えたいので、自分の代で退会者が出るのは困る」と、ついに本音を打ち明けました。
1件でも退会を認めたら、追随する家庭が続出するのは容易に想像できますし、役員の事情は気の毒ではあります。しかし、あくまでも任意団体である、PTAから抜ける意思を認めぬ理由にはならないでしょう。
それでも慰留に必死な役員は、「運動会で会費からお菓子が出る」「校内での事故に対応する保険に少額で入れる」「勉強会やサークルに参加できる」など、PTA参加のメリットを思い付く限り列挙します。しかし、あほすたさんにしてみれば、お菓子は欲しければ自分で買うだけですし、保険は既に企業の商品へ加入しています。会合やサークルについても、家庭や仕事をさしおいてまで参加する気はありません。
説得を諦めた役員は、とうとう「私を助けてください」と懇願。「あほすたさんが入会している体裁だけ保って、PTA活動は免除する」という、「実質的な退会」案を示します。
それでもあほすたさんのやめる意思は変わりませんでした。しかし、のちに投稿された補足のツイートによると、退会したうえでPTA会費より高額の寄付金を出すと話しても受け入れてもらえなかったとのことです。最終的にこの一件がどう落ち着いたのか、漫画では語られておらず、末尾に「つづく?」とだけ添えられています。結末が気になる……。
「任意という名の強制が怖い」「子どもがいじめに遭うなどとほのめかす、裏切り者に罰を与えるような考えはおかしい」「横並びを求める姿勢と事なかれ主義は日本の官僚組織そのもの」など、ツイートにはPTAへの厳しい意見が寄せられました。「任意団体にここまで引き留める必要はない。ただ、行政に交渉し学校にエアコンが決まった事例もあるのでPTAの存在意義はある」という、役員経験者の意見もみられます。「PTAの仕組み自体、共働きが普通な現代にそぐわない」との指摘もあり、漫画をきっかけにPTAの在り方があらためて問われています。
なお、あほすたさんは毎日の育児話やトンデモ取材をまとめた初の単行本『マショウのあほすたさん』を発売したばかり。以前、Twitter上でも話題となった「娘の友人の“くにおくん”が大河原邦男だった」というエピソード(関連記事)をはじめ、今回のPTAに負けないような濃い話が繰り広げられているようです。
(沓澤真二)
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2000年1月30日の朝、「クウガ」が起こした衝撃。
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