被災地支援の「『液体ミルク』使われず」報道は誤解か 北海道庁「(利用を控えるよう)連絡をしたつもりない」
水道が復旧していたため、利用した人が少なかったということのようです。【10月6日23時55分再追記】
北海道胆振東部地震で東京都から提供された「乳児用液体ミルク」について、北海道新聞が9月23日に「被災地支援の液体ミルク使われず 東京都が千本提供 道、各町に『利用控えて』」と報じましたが、内容に一部誤解があったのではと物議を醸しています。道災害対策本部などを取材しました。
北海道災害対策本部によると、9月10日に東京都から災害支援物資として乳児用液体ミルクが1050本提供され、それを被災地域に送ったとのこと。物議を醸しているのは、この状況についての報道で、「道によると、道災害対策本部などの職員が11日ごろ、胆振、日高両総合振興局や道立保健所に対し、『液体ミルクは国内で使用例がない』『取り扱いが難しい』として使用を控えるよう各町の担当者や保健師に知らせることを求めた」「各町とも住民に周知せずに保管」としていました。
しかし、道庁に確認をしたという人が「事実関係を確認したが、報道がデマであることが分かった」とSNSで発信して情報が拡散。波紋を呼んでいました。
「そういう連絡をしたつもりはない」
ねとらぼ編集部が道災害対策本部を取材したところ、「ミルクの確保や調理が難しいときに使用すること」「飲み残しは捨てること」など、基本的な注意事項とともに被災地域に乳児用液体ミルクを届けたとのこと。本部や地域医療課からは「水が使用できない状況では有用」とのメモを添えていたといい、「(利用を控えてなど)そういう連絡をしたつもりはない」とのことでした。
また地域保健課は、当時の状況について「東京都からの支援物資が届いた時点では、給水車が出動していた他、水道が復旧していた」と説明。ミルクが作れる環境が整いつつあったことから、「お子さんが対象になる支援物資なので、通常使用しているミルクや母乳を使用していただく方がより良い、ということを前提として各地域の保健師や栄養士にメモ書きを送った」としました。
なお、事実として「国内での流通例がない」という情報も書き添えていたといいますが、これに他意はなかったとのこと。「各町とも住民に周知せずに保管」と報じられた点についても、厚真町等で複数の乳幼児に支援物資が使用されたという連絡が入っていることから、「周知されていないというのは少し語弊があるように思う」とのことでした。
なお被災地では余震が続いていることもあり、乳児用液体ミルクについては「また水道が止まってしまうということも考えられるため、各被災地域でありがたく保管させていただいている」とのことでした。
(Kikka)
10月5日23時55分追記
現在、取材内容と異なる報道が一部でなされており、あらためて道災害対策本部などに事実確認を行っています。
10月6日23時55分追記
あらためて北海道庁に取材したところ、日高町、平取町には一時誤った取扱説明書を送ってしまったことを認めました。ただ、これはメールの誤送信によるもので、日高町、平取町以外の自治体に送った取扱説明書には「使用しないで」などの記述はなかったとのこと。また、日高町、平取町についても後日誤りを訂正したとしています。詳細な記事はこちら。
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