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» 2018年10月16日 14時32分 公開

不動産サイトで「100円の家」が販売中!? → 誤植だと思ったらガチだった 背景には深刻な“空き家問題”

販売する不動産会社にお話を聞きました。

[辰井裕紀,ねとらぼ]

 不動産情報サイトの「AtHome(アットホーム)「100円」の物件が登場し、SNSで話題となっています。人気観光地・伊豆の温泉付き別荘で、2階建て2DKの物件です。

 全居室の収納、上水道、プロパンガス、縁側も付いています。土地面積335平米、建物面積は74.52平米。確かに築44年と古めの物件ではありますが、画像を見る限りではまだまだ住めそうに見えます。これはいくらなんでも価格の入力ミスでは……? Twitterでも「何があったんだ」「誤植ではなくて本当の値段なんですか?」と不思議がる声がみられました。



1円物件 まだまだ住める

1円物件 2階にある玄関




 果たしてホントに家が100円で販売されているのでしょうか。物件を取り扱う、リライトの田中裕治代表にお話を聞きました。


―― ホントに100円で売っているんですか?


 ホントです。100円というか実際は1円です。アットホームの表示の仕様上、100円(0.01万円)までしか表示できないんですよ。


1円物件 この別荘がまさかの1円

 これ、売り主さんが相続で取得した別荘地なんです。持っているだけで毎月水道料金や温泉料金がかかってしまうので、タダでもいいから手放したいと。


諸々の費用がかかり、総額は220万円ほどに

―― さすがに100円(1円)だと興味を持つ人もいるのでは?

 1日何件も問い合わせはいただきますね。ただ買うときに、水道利用料の他に水道利用権、温泉利用権、それから登記費用や不動産取得税など、もろもろ入れると100万円ぐらいかかります。総額を販売価格として見せることができないので心苦しいですが。

―― 総額を言うとみなさん二の足を踏むと。

 そうですね。あとリフォーム費用もかかりますし。

―― 写真を見ていると、そんなに汚くないように見えますが。

 それでもリフォームしないとダメですね。クロス(壁紙)を張り替えて、ハウスクリーニングをかけて、畳は交換するので、最低限でも60万円ぐらいはかかります。


1円物件 部屋は一見して綺麗に見えるが

1円物件 こちらが和室

 あと物件が汲み取り式で、別荘地の規約で浄化槽を設置しないといけなくて。実際に設置できるかどうかもありますが、それで約90〜100万円ぐらいかかる(ただ40万円ほどの補助金が出る)。全部で220万円ぐらいにはなると思います。

 またソファや机などの残置物はそのままでも暮らせますが、不要な場合は撤去費用もかかります。

―― けっこうかかりますね……。ここをオススメするとしたら、どんなところですか。

 まず「温泉付き」なところ。あとはオーシャンビューですね。今からでも樹の葉の間から見えますが、前の家の木を少し切らせてもらうと、バッチリ海が一望できると思います(前の家の了承が必要)。


1円物件 自慢の温泉

1円物件 樹の葉の間から、海が見える

―― トータルで見て、お買い得だと思いますか?

 はい。ただ現状で車庫がないので、木を伐採して作る必要があります。土地は100坪ありますが、形状を考えると軽自動車程度の大きさの駐車場になるかなと。


1円物件 土台のほうから見たところ

背景には深刻な「空き家問題」

―― アットホームのような不動産販売サイトで、この値段の物件が出るのはなかなかないのでは。

 ないです。というのは、不動産会社から軒並み断られて最終的にうちに来たんです。不動産会社の仲介手数料って、契約金額の3%+6万円しかいただけないんですね(さらに100万円以下になると5%+税のみ)。例えば10万円の仕事をしても手数料ってたかが知れてるんですけど、その一方で不動産会社の責任はすごく大きい。なので普通の不動産会社はなかなかこういう物件を扱おうとしないんです。

―― 儲けが出ないのになぜやってるんですか?

 誰かがやってあげないと売り主さんが困ってしまいますから。ただ交通費は売り主さんにご負担いただくので、いろんな地域を見て、全国と取り引きできたらいいなと。地方のグルメを食べるのも好きですし、そんなこんなで25〜26都道府県の物件と取り引きしましたね。


1円物件 廃墟物件の売却にも成功したことがあるとのこと

―― 不動産会社としてはかなり珍しい部類ですよね……?

 ボランティアや自己満足の世界ですね。

―― こういう投げ売り状態の物件は増えているんですか。

 多いです。少し前に扱った高知の物件だと、20万円で売るために180万円の解体費用を払って手放したり。あとは1円で売買して、固定資産税10年分を売主さんが買主さんに渡して手放すというのもありました。

―― 過去にも今回のような1円物件を売ったことがあるんですか。

 数十回はありますね。

―― なぜそういった物件が増えているんでしょう。

 単純に人が減って、不動産自体が余ってしまっているんです。空き家ばかりで。

―― やはり田舎で多いんですか。

 はい。ただ横浜あたりでも、建て替えのできない物件だと数十万円ぐらいで買えてしまったりします。

―― 横浜で……。

 ただ40万で買ってリフォームして、いま賃貸に出している物件があるんですが、そこは利回り(※)だと1年で回収できてしまったり。そういうものもたまにあります。

※不動産投資額に対する家賃、地代の収入割合


1円物件 北海道の物件も扱っているという田中社長



 ちなみになぜ0円ではなく1円なのか聞いたところ、「贈与」よりも「売買」のほうが税務上で面倒なことが少ないからだそうです。

 今回の物件、売り主さんは売れることを心待ちにしているといいます。もしご興味がある方は、リライトまでお問い合わせください。


※画像提供:リライト


辰井裕紀


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