画像「無断転載」の情報開示請求、慣れたら10分でできる 裁判で約90万円勝ち取った写真家インタビュー(1/4 ページ)
実体験を交えて語っていただきました。
個人で対処するのが難しいと思われがちな「画像の無断転載」。大切な写真やイラストが知らぬ間に盗用されているのは悲しいものです。とはいえ、いきなり弁護士に依頼するのもハードルが高く、二の足を踏んでしまいがち。
そこで今回は、弁護士を立てない「本人訴訟」の経験も豊富で、1回の裁判で約90万円の和解金を得た実績もある夜景写真家の岩崎拓哉さんに、無断転載に遭った際の対処方法についてご自身の体験を元に語っていただきました。
メールフォームでコンタクトを取らず、まずは相手の情報開示請求を
――無断転載をした相手に問い合わせる上でまず注意すべき点とは何でしょう?
岩崎:いろいろな交渉の仕方があると思うんですが、特に相手が匿名の「まとめサイト」などの場合、サイトに設置されたメールフォームからの連絡はおすすめしません。運営者情報が書かれていないサイトにいきなり問い合わせても、無視されたり匿名返事であることが多いんですよ。交渉するなら、ある程度相手の身元を特定してからのほうが良いと思いますね。
――こちら側の個人情報を一方的に握られてしまうリスクもありそうですね。
岩崎:私自身、匿名の相手に「メールの内容を公開するぞ」と言われて怖い思いをしたことがあります。実名対匿名では交渉が不利に感じました。最初は面倒くさいと感じる作業もありますけど、プロバイダーが間に入ってくれるので、開示請求をしてからの交渉が絶対に良いです。
情報開示請求の方法は半日で覚えられる
――開示請求は個人でもできるものですか?
岩崎:できます。「プロバイダ責任制限法」に基づく「発信者情報開示請求」という制度があって、慣れれば10分程度で書類が書けるようになります。私自信、過去に110件ほど開示請求を行って、そのうち約80件は開示に成功しています。
――すごい回数ですね……! 開示請求については、調べると「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」による解説ページが出てきますけど、正直読んでいて目がチカチカしてくるというか……。
岩崎:トップページを開いて、いきなりつまづきますよね(笑)。でも実は書く際の書式は決まっていて、実際に埋めなければならない項目って5つか6つくらいしかないんですよ。解説ページを開いて見てみましょうか。
まず開いてほしいのは「発信者情報開示請求」の欄にある「発信者情報開示関係書式」です。一見、「著作権関係書式」などが当てはまりそうですが、こちらは削除依頼用の書式なので間違わないように。このPDFを開くと9ページもあってくじけてしまう人が多いんですが、送るのに必要なのは3枚目までで、実際に書くのは2枚目までです。
自分の住所氏名を書いて、相手が侵害しているページと自身の転載されたページをプリントアウトして「別紙参照」で添付しつつ、相手について知りたい情報や、相手に示したくない情報にマルを付けていくだけです。レンタルサーバのプロバイダーが例ですが、知りたいのは相手の氏名・住所・電子メールアドレス、IPアドレス、侵害情報が発信された年月日および時刻の情報ですね。あとは免許証など身分証のコピーも同封する必要があります。
――こうしてみるとシンプルですね。
岩崎:費用もプリント代と、プロバイダーによっては印鑑登録証明書を求めてくることがあるので、その取得費用の数百円。あとは郵送時の追跡ができると良いので、簡易書留やレターパックにする費用とかで、合わせても1000円もかかりません。
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