藤原道長は「ふじわら『の』みちなが」なのに、足利尊氏は「あしかが『の』たかうじ」でないのはなぜか?(1/2 ページ)

「の」って何? という疑問をまるっと解決。

» 2018年10月31日 11時30分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 日本史の古い時代の人の名前には、「藤原道長(ふじわら“”みちなが)」や「源頼朝(みなもと“”よりとも)」など、名字と名前の間に「の」が挟まるものが出てきます。鎌倉時代以前の人の名前に特に多いですね。

 しかし、時代を追って室町以降になると、「足利尊氏(あしかがたかうじ)」「徳川家康(とくがわいえやす)」など、急に「の」を挟まなくなっていきます。



 なぜ「源頼朝」には「の」がついて、「足利尊氏」には「の」がつかないのか。

 それは、どちらもただの名字のような「源」と「足利」が、実はまったく別の性質のものだからです。


源頼朝の「源」は氏名(うじめい)

 時代をさかのぼって説明します。

 日本史で「名字+個人名」のように思われる形で最初に目につくのは、飛鳥時代の「蘇我馬子(そがのうまこ)」や「物部守屋(もののべのもりや)」でしょう。

 この「蘇我」や「物部」は、祖先を同じくする人々の集まりである「氏集団(うじしゅうだん)」の名前で、「氏名(うじめい)」と呼ばれます。

 ちなみに、蘇我は地名に、物部は朝廷で受け持っていた官職に由来する氏名です。日本でよく見る「服部」も、「はたおりべ」という官職からこの時代に生まれたとされています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

 さて、奈良時代に入っていくと、蘇我や物部といった古くからの氏集団の多くが権威を失うとともに、これから説明する新たな氏名が誕生します。

 669年、大化の改新などに功があった中臣鎌足(なかとみのかまたり)に対して、天智天皇は新たな氏名である「藤原」を授けました。これが「藤原氏」のはじまりです。以降も、手柄を立てた人物などに対して、天皇から氏名が授けられることがありました。

 天皇から賜ったうちの、源氏・平氏・藤原氏・橘氏の四氏は平安時代に特に繁栄し、よく「源平藤橘(げんぺいとうきつ)」ともまとめられます。源頼朝などの「源」も氏名なのです。

 こうした「源」や「藤原」といった氏名には、慣例的に格助詞の「の」をつけて読んでいます。


「名字」の起こり

 「源」や「藤原」が氏名(うじめい)であったことがお分かりいただけたと思いますが、では「足利」「徳川」は氏名ではないのでしょうか?

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」