あなたは誰のためにメイクしてますか? 15人の女の告白『だから私はメイクする』が心に刺さる(1/2 ページ)

「会社では擬態する女」を出張掲載。

» 2018年11月02日 20時00分 公開
[青柳美帆子ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 「どうしてあなたはメイクをしているんですか?」。この質問にみなさんはどう答えるだろうか。ハッキリと答えられる? それとも、なんだか責められている気持ちになる?

 「なんとなく」「そうするものだから」以外の答えを自分の中に持っている人が読むと、心に突き刺さる本がある。10月に発売された劇団雌猫編著の『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』(柏書房)だ。

だから私はメイクする あなたがメイクをする理由はなんですか?

 「私たちの周りにはね、たくさんの呪いがあるの。自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからは、さっさと逃げてしまいなさい」――。これは大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」でアラフィフのメインキャラクター百合ちゃんが語ったせりふだ。

 「若い方が価値がある」「20代のうちに結婚するのが普通」「女性は稼ぎすぎていないほうがかわいげがある」といった、なんとなく刷り込まれている“こうあるべき”というプレッシャーを「呪い」と表現した百合ちゃんの言葉は、(石田ゆり子さんの好演もあって)いろいろな人にぶっ刺さった。

 一時期は誰もかれもがこの「呪い」という言葉を使いたがっていて、もしかしたら読者の少なくない人が食傷気味かもしれない。それでもこう言いたい。『だから私はメイクする』は呪いの話だ。「呪いとどうやって生きるか」の十人十色の解答がある。

15人の女たち

 軽やかに乗りこなせる人もいる。例えばCHAPTER.1「自分のために」に登場する「コスメアカウントを運営する女」は、大学3年の就職活動でのストレスをきっかけに、「コスメ垢(SNSでコスメの情報発信をしているアカウント)」の世界に足を踏み入れる。約5年間でコスメに費やした金額は50万円近くに上る。

 〈コスメ垢を始めてから、単調な日々が充実するようになった。予定がない平日の仕事終わりはフォロワーとコスメ談議に興じることができるし、会社に行きたくない月曜の朝も、土日に買ったコスメを使おうと思うと、出社する気になった。私にとってコスメは、コミュニケーションのツールだ〉

だから私はメイクする 「コスメアカウントを運営する女」

 努力で乗り越える道を選んだ人もいる。CHAPTER.2「他人のために」の「デパートの販売員だった女」は、〈この顔になるまで、長い長い時間がかかった〉と語りだす。デパートの販売員として働き始めた彼女は、売り場の店員として求められる容姿になるために試行錯誤を繰り返す。他人の視線と鏡に囲まれる中で、“自分の顔”を作り上げていった。

 〈私はこんな顔していたのか。メイク、笑顔、接客。すべてが、今の私になるために必要だったのだ。正直、自分の顔が好きだと思える瞬間がくるなんて、思ってもみなかった〉

だから私はメイクする 「デパートの販売員だった女」

 一度は押しつぶされた人もいる。CHAPTER.3「何かを探して」の「痩せたくてしかたがない女」。就活に失敗し、来月まで食いつなぐために、スナックとラウンジとキャバクラの面接のアポを取った。しかしスナックの体験入店で起こったある出来事に、〈自己肯定の魔法が解けて〉しまう。

 〈痩せた自分を、自分自身で認めてあげたいと思う。食事を減らし、運動をして、自分とは違う世界のものだと思っていた「キラキラ」や「ふわふわ」を、やっと自分に許せるようになった。あの女の子たちもそうなのかもしれない〉

だから私はメイクする

 本書では、15人の匿名の女たちの15通りの「メイクをする理由」――呪いとの付き合い方が読める。元気になったり、笑ってしまったり、苦しくなってしまったり、読んでいると精神がジェットコースターだ。TBSの宇垣美里アナウンサーやライターの長田杏奈(おさ旦那)さんのインタビューも収録されている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」