「憧れの人は成歩堂龍一」 ゲーム「逆転裁判」がきっかけで弁護士を志し、17年後、見事夢かなえた人を取材
1本のゲームが1人の人生を変えた話。
「逆転裁判を初めてプレイしてから約17年、ついに念願のバッジを頂きました!」――1本のゲームがきっかけで弁護士を目指した人のツイートがTwitterで注目を集めています。
話題の投稿を行ったのは、かわいいものとゲームが大好きという、ねっず(@nezzu15)さん。法廷バトルアドベンチャーゲーム「逆転裁判」のプレイがきっかけで法曹の道を志し、2019年1月に弁護士登録を完了。見事弁護士バッジを手にしました。
ねっずさんがこうした経緯をTwitterで明かしたところ、「夢を叶えてすごいなあ!おめでとう〜〜!」「これで弁護士として法廷で『異議あり!』できますね」「あと助手(霊媒師)がいれば完璧ですねw」とお祝いのリプライが多数寄せられた他、「逆転裁判が17年前からあるという衝撃に震える」と時の流れの速さに驚くコメントも寄せられています。
「ゴドー検事に憧れて特濃のコーヒーも……」
ねとらぼ編集部はねっずさんに取材を申し込み、弁護士を志すまでの詳しいお話や「逆転裁判」で好きなエピソードなどを聞いてみました。
――弁護士になる、という夢がかなったとのこと、おめでとうございます。「逆転裁判」シリーズとの出会いについて教えてください。
ねっず:1作目が発売された2001年当時はゲーム公式サイトを回るのが趣味で、さまざまな新作ゲームの公式サイトを見て回る日々を送っていたのですが、たまたま「逆転裁判」の公式サイトにアクセスしました。当時公開されていたWeb体験版を遊んでみたところ、証人のウソを暴きつつ、物語の真相に迫っていくシステムが「面白い!」と感じ、そのままGBA版の「1」を購入するに至りました。
――実際にゲームをプレイしてみて、どんなところにハマりましたか。
ねっず:グイグイ引き込まれていくストーリーや、成歩堂龍一弁護士を始めとする登場キャラクターの熱い駆け引きが魅力的だと思います。その他にも、個性的なキャラクターや細かい部分にまで設定されている軽妙な掛け合いなど、クスッとしてしまうところも多く、遊ぶ人を飽きさせず、色々と試したくなるところが好きです。
――「逆転裁判」のどんな部分にひかれて法曹を志したのか教えてください。
ねっず:作品を遊んでいるうちに、無実の依頼人を信じ、真相を追求し、最後まで諦めずに戦い抜く成歩堂龍一弁護士(※)の姿に強くひかれ、「弁護士ってカッコいいな、自分もこんな人になりたいな……!」と弁護士になりたいと思うようになりました。
(※)成歩堂龍一:「逆転裁判」シリーズの主人公で通称「ナルホドくん」。ギザギザした髪形と青いスーツを着用しているのが特徴。
――となると、好きなキャラクターは成歩堂くんですか。
ねっず:一番好きなのは成歩堂龍一弁護士です。前述もしましたが、無実の依頼人を信じ、真相を追求し、最後まで絶対に諦めずに戦い抜く熱い姿に強くひかれました。(プレイヤーの選択肢の結果ではありますが……)ちょっと抜けているところも魅力的ですよね。
――一番好きなタイトル、エピソードは何ですか。
ねっず:最後にプレイしたのがかなり前なので、だいぶ記憶が朧げになってしまっていますが、一番好きなタイトルは「逆転裁判3」で、好きなエピソードは「華麗なる逆転」です。逆転裁判1〜3の総決算のようなシナリオで、夢中でプレイした記憶があります。ゴドー検事(※)もカッコよくて、当時はゴドー検事の影響を受けて特濃のブラックコーヒーを作って飲んでいました。
(※)ゴドー:「逆転裁判3」に登場する検事。白髪で赤く発光する仮面を着用している。コーヒーが好物で「ゴドーブレンド」というやたらと濃いコーヒーを審理中にも飲んでいる。なお1回の審理で飲んでよいコーヒーの量は17杯と決めているらしい。
――実際に弁護士になるまでの道のりについて教えてください。
ねっず:大学は法学部に進学しましたが、アルバイトに明け暮れて、予習も復習もロクにしない日々を送っていましたので(笑)、司法試験に向けて本格的に勉強を始めたのは法科大学院に進学した2012年4月からになります。法科大学院修了(2015年3月)まで3年、そこから司法試験合格(2017年9月)までで2年半かかりましたので、合計で5年半ほど勉強していたことになり、司法修習も含めると6年半になります。
――勉強中、最も大変だったことは何ですか。
ねっず:大変だったことは、メンタル面の管理です。友人達が大卒で就職し、順調にキャリアを積んでいき、堅実な人生を歩んでいく中、一人大学院に進学した上、司法試験も2回落ち、その他の試験や就活も失敗していましたので、将来に対する不安が常に重くのしかかっていました。口では「弁護士になりたい」と言いつつも、結果が出せず、宙ぶらりんであった時期が長く続いていたので、「周りはみんな自分の人生を着実に歩んでいるのに、自分は何をやっているんだろう」「このまま落ち続けてしまったら、どうやって生きていけばいいんだろう」「周りに合わせる顔がない」とネガティブ思考に陥ってしまい、夜も眠れない日々が数年間続いていました。今となってはすっかり忘れてしまったのですが、当時の日記を読み返すと、かなり思い詰めていたのかな……と感じます。……そんなメンタルを切り替えて、モチベーションを上げるため、趣味のビートマニアを日々欠かさずプレイしていた記憶もあります(笑)
――さすがゲーム好き……! 今後はどんな弁護士になっていきたいですか。
ねっず:2019年1月に弁護士登録したばかりであり、まだまだ理想とする弁護士の具体的なイメージをつかめていないところですが、親身になって、本当に困っている人を助けられるような弁護士になりたいと考えています。
成歩堂龍一との出会いをきっかけに弁護士を目指し、その夢を見事かなえたねっずさん。これからはナルホドくんのような優しく強い心をもった弁護士になっていってほしいですね。
(Kikka)
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異議しかねぇ!
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