「知り合いからしか仕事が来ない慣習を変えたい」 ガキ使・激レアさん担当作家が「日本放送作家名鑑」を作ったワケ(2/4 ページ)

» 2019年06月15日 13時00分 公開
[Kikkaねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

――プロの放送作家から見て「この番組はすごいな」「面白いな」と思う番組は何ですか。

深田めちゃくちゃベタですがTBS系「水曜日のダウンタウン」ですね。最近の新元号が当たるまで帰れないやつもめちゃくちゃ面白かったです。

――「水ダウ」はうちの編集部でもファンが多くて、演出の藤井健太郎さんを取材したこともあるのですが、ぶっ飛び加減が最高ですよね。

深田「水曜日のダウンタウン」は業界人もみんなが素直に「面白い」と認める番組ですね。そういえばインタビュアーのKikkaさんって欅坂ファンなんですよね……? 僕も欅坂ファンなんですが、テレビ東京系の「ひらがな推し」(現・「日向坂で会いましょう」)は面白いっていう業界人多いですよ。

――はい、朝起きて聞くのは「エキセントリック」、満員電車で聞くのは「不協和音」、夜に息を潜めて灯りをつけずに聞くのは「キミガイナイ」というライトな欅坂ファンです。確かに「がな推し」面白いですよね。

深田あの番組って、日向坂46のことを知らない人や、好きじゃない人が見ても単純に面白いんですよ。それってテレビ番組としてすごく優秀な番組ということだと思います。もちろん日向坂46のみなさんがタレントとして優秀で頑張り屋さんだということも大きいと思いますが。

 そもそも日曜深夜の坂道枠・「乃木坂工事中」(テレビ愛知系)、「欅って、書けない?」(テレビ東京系)、「日向坂で会いましょう」を担当している「ケイマックス」という制作会社は、元をたどると「内村プロデュース」(テレビ朝日系)をやっていた会社なんですよ。先に挙げた3番組は「ツッコミテロップが面白い」とよく言われますが、それは「内P時代のノウハウ」がいきているからだと聞いたことがありますね。

 また放送作家だけ見てみても、3番組とも日本でトップを走っている売れっ子たちが担当しているので、面白くならないわけがないと思います。

――ドキュメンタリー番組だとどんな番組に注目されていますか。

深田フジテレビ系の「ザ・ノンフィクション」ですね。話題になった回はなるべくチェックしているのですが、先日放送されたビッグダディの元妻の美奈子さんが出ていた「新・漂流家族」は面白かったです。

――ご自身が担当された番組で、これはよくできたなという仕事はどんなものでしょうか。

深田そうですね……(熟考)。「笑ってはいけないシリーズ」(日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」)は1年目からずっと関わらせていただいているのですが、僕の放送作家人生の中で「一番多くの人を笑わせられた」という意味では、俳優の西岡徳馬さんにやっていただいた「なんでだろう」と「乳首ドリル」のネタですかね。有りもののネタのカバーなので、放送作家として「よく思い付いたな」というネタではないのですが……。

――あれ深田さんが考案されたんですか! 放送時、めちゃくちゃ笑いました。

深田ありがとうございます(笑)。レギュラーの「ガキ使」で「これまでで一番面白かったネタは?」みたいなトークをされていたときに、確か松本さんが「西岡徳馬さんの『なんでだろう』と『乳首ドリル』のネタは今までで一番笑った」くらいのことをおっしゃってくださっていて、それを見たときは僕もうれしかったですね。

 あと個人的に気に入っているのは「絶対に笑ってはいけない大脱獄24時」の回で、刑務所にいる母親に子どもが面会しに来るという場面でやったネタ。「お父さんが亡くなった」という話題が出た際に、お父さんの手紙を読み上げるというシーンで、徐々にオーバーラップして父役の元プロレスラー・天龍源一郎さんの声が入ってくる……っていうのは、面白かったかなと思います。天龍さんの“何言ってるか分からない笑い”はそれまでもあったんですが、ドラマでよく見る演出を「笑ってはいけない」に持ってきたのは良かったんじゃないかなと。

――鉄板な天龍さんと斬新な演出が絶妙な笑いを引き出していましたよね。

深田他には、「笑ってはいけない」シリーズの中で、昼食のランクを決めるために即興替え歌を歌うというゲームをやっていたのですが、あれの元になっているのは「絶対に笑ってはいけない熱血教師24時」の「五・七・五 ちょっと工夫でこの上手さ! お料理即答褒め川柳」という企画なんです。これは「親子丼!」と言われたら、「5・7・5で親子丼を褒める」といったゲーム(※)なのですが、スタッフ間でやっても結構面白くて。高須さんにも「あれは結構良い企画だった」とほめてもらえたり、自分の中でも印象に残っています。

(※)「ステーキ」に対して月亭方正さんが「分厚くて・肉汁たっぷり・おいしいよ」。「月見うどん」に対して松本さんが「僕好きよ・月見があるから・僕好きよ」などの回答。筆者のオススメは「ひつまぶし」に対してココリコ・田中直樹さんが答えた「うなぎの雰囲気・たっぷりまぜて・三度飯」。

ゼロイチから始まる放送作家のお仕事

――ドラマだと“脚本家”、バラエティー番組だと“構成作家”。呼び方が違うようにお仕事の内容も全然違うんでしょうか。

深田ドラマのことはあまり分からないですが、バラエティー番組作りの流れとしては、定例会議(全体会議)で今後やる企画を決めて、その企画の担当が振り分けられます。そして担当になったディレクターと構成作家が「分科会」という小会議をやって企画のベースの構成を考えます。それを番組の定例会議に提出して、総合演出の人を中心に全員でどうすれば面白くなるのかを考えていき、新たに出た課題をまた分科会で話し合うという繰り返しです。もちろん、番組によってやり方は異なりますが。

――1つのネタにはトータルでどれぐらいの時間をかけますか。

深田企画にもよりますが、企画構想から台本にするまでは、1ネタ2〜4週間くらいかけて作っていますかね。定例会議に3回から4回出して、修正しながら収録を迎えるという感じですね。

――放送作家の方って、営業はどうされるんでしょうか。

深田放送作家は普段、テレビ番組での企画・台本作りとは別に、テレビ局員のディレクターや制作会社の人と一緒に番組企画書を作っています。これは番組作りにおける本当のゼロイチの部分なので100案出して1案通るかどうかという感じですし、ギャラは0円です。しかしこれをやっておくことで、そこで企画が通らなくても企画打ちをしたディレクターが別の機会に使ってくれることもあるので、重要な仕事だと思います。なので結果的にこの「企画打ち」がいわゆる“営業”なのかもしれません。

――面白いですね。これ以外にも番組の参加ルートはあるのでしょうか。

深田番組の立ち上がり時にディレクターやプロデューサーが「この番組ならあの人が向いている」といった感じで知り合いを入れることが多いので、このタイミングで呼ばれることもありますし、コアメンバー(局員のディレクターやプロデューサー)が選んだ制作会社のディレクターから呼んでもらえることもあります。あとは番組に入った放送作家から「この人も向いているはずです」と紹介してもらえる場合もありますね。ただ全てに共通するのは知り合いから呼ばれるということです。

――新人さんの場合ってそういう知り合いもいないですよね。その場合はどうなるんでしょう。

深田本当にそこをまずどうするかなんですよね。一回番組に入っちゃえば次からのつながりができるんですが、まず関わりができなければ“呼ばれようがない”んです。それに例えば僕の場合は大阪体育大学に通っていたので、スポーツが得意で、「スポーツバラエティーを担当したい」とずっと思っているんですが、知り合ったことのないディレクターはそれを知らないわけです。放送作家もタレントさんみたいに、知らない人からも番組に呼ばれる状況を作れたらいいなと思ったのも「日本放送作家名鑑」をやろうと思った理由の1つですね。

「日本放送作家名鑑」を作った理由

――「日本放送作家名鑑」のアイデアにはクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で多くの支援が集まりました。具体的にはどんなサイトになるのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」