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ポカリスエットとアクエリアス、その違いはどこにある?味博士の味な豆知識

夏のオアシスとしての歴史を誇るポカリスエットとアクエリアス。その違いを探ってみました。

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 すっかり暑くなり、清涼飲料水が美味しい季節になりましたね。特にこの時期に毎年売り上げが伸びるのが、スポーツドリンク。さて、スポーツドリンクと聞いてあなたが思い浮かべるのはなんでしょうか。今頭の中にあるのは、青いパッケージ?

 それはポカリスエット? それともアクエリアス?

 夏のオアシスとしての歴史を誇るポカリスエットとアクエリアス。同じジャンルではありますが、もちろん味は同じではありません。世間ではポカリスエットは「甘い」、アクエリアスは「さっぱり」というイメージがあるようですが、果たしてどうなのか、2つの味の違いを「味覚センサー」で見える化してみます。

味覚センサーとは?

 私たちが食べ物を食べると、舌の味細胞が味のもとになる物質を感じ、その刺激が電気信号になって脳に伝わります。このとき味は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つの基本味に分解されて伝達されます(ちなみに「辛味」は痛覚、つまり触覚に近いものであり、基本味には含まれません)。

 味覚センサーはこの仕組みをまねたもので、糖類(甘味)や食塩(塩味)など5つの基本味のもとになる成分を電気的に測定し、さらに人工知能で補正することで、人間が感じる味の強さを測ることができます。機械が人間の舌のように味を“感じ”つつ、それをデータとして見える化できるのです。これによって主観的なものである「味」を客観的に比べることができるようになります。



「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つの基本味をチャート化。1:甘くない、2:かすかに甘い、3:甘い、4:とても甘いというように1→4になるにつれて味が強くなる

 ポカリスエットとアクエリアスの味を「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つの基本味で表してみると、なるほど形は似ています。しかしよく見ると「甘味」と「酸味」に差があり、ポカリスエットの方が甘く、アクエリアスのほうが酸味が強くなっています。小さな差に見えますが、95%の人が違いを認識できるレベルの差です。イメージ通り、ポカリスエットのほうが甘いという結果となりました。アクエリアスの「さっぱり」は酸味成分のクエン酸がもたらすものでしょう。

 甘味が強いということは、糖分濃度が高いということです。糖分はエネルギー源になるため、エネルギー補給をしたいときにはポカリスエットのほうが向いていると言えます。一方、アクエリアスに含まれるクエン酸は運動後に作られる老廃物を分解し、新陳代謝を促進させる効果があるため、疲労回復にはアクエリアスがよいと思われます。

 甘味と酸味には実は、互いの味を抑え合う効果があります。両方の味を同時に取ると、一方の味が弱く感じてしまうのです。いわば綱引きのような、まさに甘酸っぱい関係……あなたの身体に染み入るのは、甘味ですか? 酸味ですか?

筆者「味博士」紹介

鈴木 隆一:AISSY株式会社代表取締役社長、慶應義塾大学共同研究員(兼務)。慶應義塾大学理工学部卒業、同大大学院理工学研究科修士課程修了。大学在学中よりシステム開発の受託などを行いながらSFC研究所研究員も兼務。大学院修了後、慶応義塾大学から出資を得てAISSY株式会社を設立。

味覚や食べ合わせの研究を行い、メディアにも多数出演。通称「味博士」。

最新著書として、『日本人の味覚は世界一』(廣済堂新書)、他にも『味博士のぜったい太らない食べ方』(日本文芸社)『「味覚力」を鍛えれば病気にならない』(講談社)がある。


本稿は「味博士の研究所」を加筆・修正をして掲載しています。



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