“1000回遊べるRPG”を4000回遊んだ男 「SFCトルネコの大冒険」に挑み続けるプレイヤーが語る「不思議のダンジョンには、まだ不思議がある」(2/5 ページ)
求道者のごとく追い求める「トルネコ」の理論的限界。
「こんにちはマイコン」(※)を読んで、子どもながらに「PCってすげえ!」と驚いた覚えがあります。「ゲームセンターあらし」のキャラクターが登場し、プログラミングの方法などが学べる漫画で、プログラミング言語「BASIC」にのめり込むきっかけになりました。
※1982年に発売された、すがやみつるによる学習漫画。コンピュータの歴史や仕組み、簡単なプログラミングなどを学ぶことができ、当時の“マイコン少年”たちに多大な影響を与えた
―― 1970〜80年代に現れた、いわゆる「パソコン少年」「マイコン少年」だったんですね。
中学生のころだったかな。1985年前後に、PCゲーム情報などを扱う雑誌「ログイン(LOGiN)」で、「Rogue」という作品が猛プッシュされました。「トルネコ」を含む、いわゆる「ローグライクゲーム」の元祖となる作品です。
「主人公が1人でダンジョンに潜り、深階層にある『イェンダーの魔除け』を入手した後、ダンジョンからの脱出を目指す」という内容なのですが、ゲーム画面には絵がなく、代わりにASCII文字が使われていました。
―― グラフィックがなく、文字で敵やアイテムを表していたんですよね。今となってはかなり取っつきにくいゲーム画面でしたが、面白さから熱狂的なファンがいたとか。
当時の「ログイン」編集部もハマっていたらしく、同誌オリジナル版作品が作られるなど盛り上がりを見せていました。しかし、残念なことに、私の所有していたPCでは「Rogue」が遊べなかったんですよ……。
21歳くらいのとき、「Rogue」をベースにしたスーパーファミコン用ソフトが発売すると聞き、「うひょーっ!」と飛びつきました。それが「トルネコの大冒険」だったんです。
―― 憧れのゲームがようやく家にやってきたわけですね。ちなみに、初めてプレイしたときのことは覚えてます?
あっさり死にましたね……。
―― ですよね(笑)。「Rogue」よりも分かりやすいゲームになっていますが、やはり立ち回り方が分からないうちは……。
「まどうし(※)をうっかり攻撃 → ラリホーで眠らされ、行動不能になっているあいだにボコボコにされる → ももんじゃ(※)に連行される」という一連の流れは誰もが経験すると思います。
「不思議のダンジョン」攻略後に解放される「もっと不思議のダンジョン」も苦労して、クリアまでに50回くらいチャレンジしましたね。30階以降にある奇妙な箱がようやく地上に持ち帰れたときは、「もう二度とクリアできないだろうな」と思いましたよ。
―― そこから何千回もクリアすることになるわけですが……。
※まどうし:接近するだけなら何もしてこないが、攻撃を加えると目を覚ましてしまう。ラリホーが危険なので、うかつに手を出さないのが基本。
※ももんじゃ:ダンジョン内でゲームオーバーになると、倒れたトルネコをももんじゃが4体がかりで地上まで運ぶシーンが流れた。「やめて、トルネコのHPはゼロよ!」と言いたくなるくらい、わりと乱暴。
アイテム強化にハマった10年間
―― 日記には1986回目のプレイから掲載されていますが、それ以前はどんな風に遊んでいたんですか?
データ的には4000回以上プレイしていることになっていますが、そのうち1000回くらいは「装備などのアイテムを強化するために、巻き物をダンジョンに持ち込んで、リレミトの巻物で帰る」みたいな遊び方だったと思います。そうやってアイテム強化に励んでいた期間が、10年くらいありました。
―― 10年間……! そこまで育てた装備って、どんな感じです?
武器、防具の修正値の上限は「+99」と思われがちなのですが、「もっと不思議のダンジョン」でゲットできるパルプンテの巻物(※)を使うと、さらに上げることができます。やりすぎると、数値がオーバーフローして一気に「−128」まで下がりますが。それを利用して「マイナスと表示されているのに、めっちゃ強い装備」を作りまくったり。あと、「鍛えすぎてなぜか呪いのマークがついた杖」を大量に集めたりもしていました。
※秋川さんのWebサイトによると、「(ランダムに効果が出る)パルプンテの巻物の効果の1つである『アイテムの効果が3上がった』を利用すると、ちからの指輪を鍛えたり武器や盾を+100以上にしたりすることができる」
―― なんか俺の知ってる「トルネコ」と違う。
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