インターネットが3D空間になるとき――「internet Adventure〔iA〕」がもたらすものとは:セガの〔iA〕でできること(第1回)(2/2 ページ)
一方で「来訪者が何でもできてしまうと、無法地帯になってしまうのでは?」といった心配もあるが、これについてはサイトの管理者が申請を行い「オーナーアイランド」として登録することで、オーナー自身がアイランドをより細かくカスタマイズしたり、ユーザーの行動を制限したりすることが可能になる(逆に、登録を行っていないサイトは「ファンアイランド」と呼ばれる)。さらに企業向けには、遊園地のようなアトラクションを用意したり、専用のアイテムを販売したりといった、ビジネスやプロモーションの場としてのスキームも用意していくとのこと。例えば現在、セガの公式アイランドではセガ本社の1階ロビーが忠実に再現されており、ユーザーはその中を自由に歩いて楽しむことができる。一般のアイランドでここまで凝ったものを作るのはなかなか難しいが、将来的には3Dのモデリングデータをそのまま配置できるようにしたいとのことなので、いずれはかなり凝ったアイランドも作れるようになりそうだ。
ちなみにアイランドが生成されるのは基本的に、1ドメインに対し1つとなっているが、専用のブログパーツを設置することで、(アメブロやライブドア ブログなど)一般的なブログサービスでも個別のアイランドを持てるのでそこはご安心を。ただ、あくまで“ブログパーツを置ける”ことが条件なので、残念ながらmixiなどの日記には現状対応していない。
βサービスで実装される「ミーム」
これ以外にも、アイランド上を徘徊(はいかい)するモンスターと戦ってレベルを上げたり、お金を稼いでアバターアイテムと交換したりといった、ちょっとしたRPG要素も実装されているが、こちらはまだまだオマケ程度といった印象。いずれは職業やスキルといった本格的な機能も導入していくそうなので、今後の拡張を楽しみに待ちたいところだ。
以上が、現在実施中の「クローズドβテスト2」までに実装されている〔iA〕の基本的な機能ということになる。これに加えて、2月中旬に予定されているβサービスでは、さらに「ミーム」という新機能が実装される予定だ。
これはどういうものかというと、一言で言えば、自分の好きなアイランドに「自分の分身(ミーム)」を残しておけるという機能。分身にはそれぞれコメントを設定しておくことができ、自分がそのアイランドを出た後も、いわゆるNPCとしてその場に残り続けてくれる。これまでは同時にサイトを訪れている人としかコミュニケーションができず、来訪者の少ないサイトだとなかなか他のユーザーに出会えない――といった問題があったが、分身を残しておけば、後からサイトを訪れたユーザーとでも、間接的にコミュニケーションがとれるというわけだ。もちろんコメント部分にはURLも設定できるので、オススメ動画へのリンクとして分身を置いておく、といった使い方もアリだろう。
セガらしいアイデアが詰まった3D空間
先日正式サービスがスタートした「PlayStation Home」をはじめ、ドワンゴの「ai sp@ce」、ダレットの「ダレットワールド」など、最近では「仮想空間」にスポットを当てたサービスが日本でもぞくぞくと立ち上がってきた。そんな中、〔iA〕は3D空間をウリにしつつも、斬新なアイデアと機能を数多く備えた、いかにもセガらしい、ちょっと他にはないユニークなサービスとなっている。
こうした3D空間サービスを運営する場合、しばしば課題として挙げられるのが、「どうすればそこへユーザーを呼び込めるか」、また「どうやってユーザー同士のコミュニケーションを促すか」という点だが、〔iA〕の場合「Webサイト」という土台が根底にあるため、集客については最初からある程度クリアされていると言っていい。またアイランド上で出会った人たちは基本的に、「同じページを見ている人」という共通点があるため、自然と同じ趣味を持ったユーザーが集まり、共通の話題には事欠かない。これまでの3D空間サービスの問題を踏まえつつ、オリジナルの要素をうまく組み込んだ、よく考えられたシステムだと思う。
第2回では、一体どんな人がこのサービスを考えたのか、そしてどのような発想から生まれたアイデアだったのか――このあたりにスポットを当てていってみたい。
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