X-Boxのデモンストレーション
本日(3月10日)に行われたマイクロソフトの「X-Box」発表の記者会見の会場に入ると,既にステージには一体のマシンがドンと置かれ,何人ものカメラマンがフラッシュをたいていた。
Xの文字をかたどったマシンに記者たちも戸惑いを隠せない。まさかもう製品が? それともモックアップか?
近づくとパソコンのモニターほどの大きさで,どうやら実際の製品デザインをかたどったものではなさそうだ。
しかし表面は銀色に輝き,中心部は怪しい緑色の光を放っている。さながらSF映画に出てくる謎の物体といった様相を呈していた。
実際,展示されたのはデモ用に用意されたもので,X-Boxの製品デザインがそうなるというわけではないという。
しかし,驚くべきことにこれは単なるイメージ模型ではなく,デモプログラムのために特別に作られた実際に動くX-Boxマシンだったのだ。
PS2を超える表現力
グラフィックのパフォーマンスは最終製品の10パーセント程度と断りながらも,そこで実演されたデモは1年前に見たPS2のデモと比べても勝るとも劣らないものだった。
まずは,例によってパーティクル(微小な粒子)というプリミティブを使った花火の噴水ともいえるデモから。
PS2のデモでも披露されたCGの機能紹介ではお馴染みのやつだ。ただし,これは学生のインターンが3時間でプログラミングしたものだとデモを行ったブレッド・シュネフ氏は開発の手軽さを強調した。
続いて水の表現。水という流体を正確にモデリングし,波の動きや波紋が底に映る様子や表面の反射,光の干渉などがリアルに表現されている。
面白かったのは,いくつもの物体によってさまざま動きが同時に起こるさまをシミュレートしたデモ。
床一面に敷き詰められた鼠取りにピンポン玉が当たって連鎖反応が起こり,次々と跳ねる鼠取りの動きが物理的にシミュレートされる。まさに並列処理アーキテクチャの威力を最大限に生かした性能といえるだろう。
スローモーションで見ると,ボールがぶつかったときに輪郭がボケる高度な視覚的処理も織り込まれている。こういう一見わからないような処理があって本物のリアリティが実現するのだ。
最後は,巨大なロボットと格闘キャラのアクション演舞。「精細なテクスチャーマッピングにさまざまな光源処理を加えながら,5000万ポリゴン/秒を表示できるのは,どのメーカーのどの尺度に照らしても未曾有のパフォーマンス」とシュネフ氏は胸を張った。
脅威のパフォーマンスの先にいかなるゲームが!
実演されたデモはやはり物理的な現象をシミュレーションするものがほとんどだった。これはPS2の衝撃的な発表を意識したのではないかと思う。
そして,次世代ゲームに共通して言えることだが,実際のゲームにその飛び抜けたパフォーマンスがどの程度の効果をもたらすかは,ゲーム開発者の手にゆだねられる。
しかし少なくとも「あとから出てくるゲームは、より優れたものでなければならない」(マイクロソフトのバイスプレジデントでX-Boxの責任者リック・トンプソン氏)ということは間違いないだろう。
マイクロソフトが満を持して世に問うコンソールゲーム機の性能を確かに垣間見ることができた。
[前田 徹,SOFTBANK GAMES]
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